「日本語なし!」ギクシャクしたやりとりも楽しい池袋で海外旅行

2016年から1年4カ月、僕は極東ロシアのウラジオストクに語学留学していました。留学中、何人かの中国人留学生と知り合い、学内にある中華食堂で麻辣麺にはまったこともあり、いつか中国を訪れたい。帰国してからもずっとそう思っていたのですが、そのチャンスは訪れないまま、コロナ禍になってしまいました。

そんなとき、東京ディープチャイナ研究会の中村正人さんがFacebookで珍しい中華料理の投稿をしていたので、面白く感じていました。それらが東京で食べられるということも、ちょっとした驚きでした。

そうこうするうちに、中村さんに誘われて池袋を訪ねました。去年の冬のことです。

とてもおしゃれとはいえない、むしろ猥雑な池袋の街並みや、見慣れない中国語の看板にドキドキしました。都内にこんなにも中華料理店が増えているなんて知らなかった。

しかもどの店も、日本のお客さんはほとんどいません。中国人の経済だけで店を運営できるとは衝撃です。それに、池袋で食べた東北料理は、ウラジオストク留学中に食べたやつじゃん……。なんというノスタルジー。世間の人は、他国のことを≪海外≫と言いがちだけど、実は文化も食事も陸続きだと実感したのです。

僕自身は中国のことに詳しくありませんが、東京で出合ったディープチャイナの世界に魅せられました。これから都内のいくつかの町を訪ねて写真を撮りたいと考えています。

今回はその第一弾。名付けて「山端拓哉の東京ディープチャイナPhotoストーリー【池袋編】」。楽しんでもらえるとうれしいです。

「うなだれタバコ吸い」

全力で働いたから、疲れているのか。そのタバコはうまいのか。かたわらの女の子は、軽やかに一服。裏通りと表通りが混在する街、池袋。

「このジュースおいしいよね!」

中華食材店の入口そばに置かれた中国のココナッツミルクジュースの段ボール箱。このジュース、甘くておいしいよね。美女の缶に口つけてすするのは、ドキドキする? 僕は純情すぎるかな。箱を積み上げて大量入荷。色合いも派手で、ワクワクする。

「ジャガイモ皮の餃子。もちもちして美味しかった」

皮の素材が変わるだけで、餃子の風味もこんなに変わってくるとは! ジャガイモ餃子の別餡のやつも食べてみたい。

「みんなで行くと、いろんな料理を頼めて楽しい」

知り合いと中国朝鮮族料理の店に食事会に行った。テーブルにいろんな料理が載っているだけで楽しい。大陸の食卓って感じ。ガンガン食べて、ガンガン飲みたい……。少し落ち着いたらね。

「最先端の入り口!?」

センサータッチで開く扉。最新の中華カラオケレストラン。料理が本格派でびっくり。その扉は大陸へのマジカルゲート!?

「自動回転串焼きマシーンの羊串。焼けたら上にのせましょう」

日本人になじみのない、羊肉を楽しめるのも、ディープチャイナの魅力。自動回転串焼きマシーン、かわいい動きで楽しい。ミックススパイスが食欲をそそる。

「新しくできたカラオケレストラン。店員の熱唱」

6月にオープンしたばかりの最新カラオケレストランにて。彼はこれで給料をもらっているのか? もしそうなら羨ましい限りだ。歌唱力あり、かなり聞かせてくれる個人リサイタル。ここに来ると、舌だけじゃなくて、耳も中国旅行できる。中国語の歌なので。

「相席したおばさんと友人になる。この屋台感」

ユウギショクフにて。カメラを褒められ、それが会話のきっかけに。この笑顔のすてきな女性は料理教室の先生で、ディープチャイナの話も興味を持って聞いてくれた。この中華オムレツ、うまいよね。

「池袋の夜」

ギラギラとしたネオンの看板は、食欲や性欲の発露なのか。夜になると電気が通って、まざまざと立ち現れてくる。街に漂う欲望の渦に、クラクラと酔いつつ、ドキリとした瞬間に写真を撮る。

「ディープチャイナのへの入口って感じがする」

池袋駅西口(北)出口からすぐの「陽光城」という中華食材店。赤と黄色の色使い、漢字の看板が魔術的に誘ってくるよね。僕はマーラー鍋底とピータン、湯葉をよく買う。

「定番ですが、僕の好きなピータン豆腐」

ピータンうまいよね。豆腐も好きだから、完璧。

「日本語なし!」

赤いマジックでゴリゴリと書かれた漢字を見ていると、めまいがしてくる。そのくせ、気分を盛り上げてくれる、食への入口。中国語を解さぬ僕は、予想をつけて注文するしかない。そのギクシャクとしたやり取りは、けっこう楽しい。ささやかな海外旅行。

Photographer
写真を撮った人

山端 拓哉

プロフィール

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