こんにちは。ライターの文香です。前回に引き続き、1月18日に開催されたガチ中華に関わる方々が集まる「在日中国人シェフ協会」の交流会に参加してきました!
前回のレポートはこちらから!
今回は今年初の開催ということもあり「料理交流会」「放送作家・島津さんによるSNS活用講座」「新年懇親会」と、かなり盛りだくさんな内容でした。交流会は前回以上のカオスさ、盛り上がりでしたよ~それでは早速レポートしていきます!
第1部 料理交流会
料理交流会ではシェフたちが得意料理を実演紹介します。今回は「魚香肉絲(ユーシャンロースー)」と「𰻞𰻞麺(ビャンビャン麺)」が取り上げられました。
魚香肉絲
魚香肉絲(ユーシャンロースー)は、四川料理を代表する伝統的な一皿です。料理名に「魚」の字が含まれることから、魚料理だと思われがちですが、実際には魚は一切使われていません。私も、魚料理かナンプラーのような魚系調味料を使う料理だと思い込み注文したことがありました(笑)

ここでいう「魚香」とは、四川省に古くから伝わる調味法の名称です。泡辣椒(発酵唐辛子の塩漬け)をベースに、醤油、砂糖、酢などを合わせて作られ、甘味・辛味・酸味が同時に立ち上がる風味が特徴です。もともとは魚料理に使われていた味付けを、肉や野菜料理に応用するようになったことから、「魚香」と呼ばれるようになったとされています。

実演を担当したのは、麻辣大先生の張料理長。細切りにした豚肉を手早く炒め、そこに魚香味の味付けをしていきます。工程自体はシンプルですが、「この料理はバランスがすべて」とのことで、酸味、甘味、辛味のどれかが少しでも前に出すぎると、全体の印象が崩れてしまうのだそうです。
そのため、魚香肉絲は料理人の技量がはっきりと表れる一品で、料理人の技術試験の課題として扱われることもあるとのこと。実演は難しさを感じさせない軽やかな手つきでしたが、その奥には経験や技量があるのだなと思ったりしました。

完成した一皿は、甘さ、辛さ、酸っぱさ、そして塩味の調和が見事で、箸が止まらなくなる味わいでした。四川料理というと「とにかく辛い」という印象を持つ人も多いかもしれませんが、魚香肉絲には酢豚を思わせるような甘酸っぱさもあり、辛さ一辺倒ではない奥行きを感じさせてくれます。ただ食べるだけでは気づかなかった「魚香肉絲の難しさ」を知れたのは、実演ならではの収穫でした。
𰻞𰻞麺
ビャンビャン麺は、陝西省では定番の幅広の麺料理です。非常に難しい漢字が特徴的で、近年はコンビニなどでも見かけるようになったため、ガチ中華に馴染みがない人でも名前を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

実演を担当したのは、西北高家の付料理長。麺を伸ばす工程から実演されました。
手のひらサイズの小さな生地を、1メートルほどの長さまで一気に伸ばしていきます。10秒もかからず一本の長い生地へと変わっていく様子は、まさに職人技でした。テーブルに打ちつける際に響く「ビャン、ビャン」という音が、名前の由来とも言われています。この「ビャンビャン」という音が大きいほど、歯触りの良いモチモチとした麺になるそうです。今回はテーブルでの調理でしたが、厨房で作る場合はさらに大きな音が響くとのこと。
茹で上がった麺は、とても大きな器に盛り付けられます。混ぜやすさを重視した形で、陝西省の食文化を象徴した器だそうです。なお、写真の器でも現地基準では小さいサイズとのこと。

仕上げに欠かせないのが、麺の上にたっぷりとかけられる唐辛子です。陝西省産の唐辛子は、辛味は控えめながら香りが非常に高いのが特徴です。
最後に240度まで熱した油を回しかけることで、香りを一気に引き立てます。油の温度が高すぎると麺が焦げてしまうため、ここも料理人の感覚と経験が問われるポイントだそう。油をかけた瞬間の「ジュワッ」という音が、なんとも食欲をそそりました。
完成したビャンビャン麺を早速いただきました。持ち上げた際の麺の迫力はなかなかのものです。モチモチとした麺に甘辛いソース、唐辛子の香り、さらに野菜の歯応えが加わり、全体のバランスが非常に良い一杯でした。西北高家のビャンビャン麺は、ガチ中華麺好きの友人からオススメされていたので料理長直々に作ってくださった麺をいただけて嬉しかったです。

第2部 SNS活用講座
第2部では放送作家の島津さんによる「SNS活用講座」が開かれました。ガチ中華店のSNS運用も手がけている島津さんが、日本人向けプロモーションや映像づくりをテーマに、実例を交えながら解説してくださりました。ガチ中華店の多くが課題として抱えている「日本人への認知向上」の解決に繋がる大変有用な講座だったと思います。

講座では、どのSNSを選ぶべきか、どういったコンテンツを上げるべきか、最低限そろえておきたい撮影機材、動画の構成の考え方など、かなり実践的な話が中心であり、「SNSを使った発信に興味はあるけれど、何から始めればいいかわからない」というシェフや関係者にとって、ちょうど入口になる内容だったと思います。実際に参加者の皆さんも終始真剣な表情で耳を傾けていたのが印象的でした。

私自身も、日頃から写真を撮ったりライターをしたりしていますが、「誰に、何を、どのように伝えるか」を体系的に考えたことはなかったため学びの多い時間となりました。
第3部 新年懇親会
最後は中華料理を囲みながらの懇親会でした。今回の会場である雅亭の張オーナーの乾杯の音頭でスタートしました。

新年懇親会のメニューはこちら。

肉・魚介・野菜・麺類など盛り沢山な14品以上のフルコースでした。宴会中はどんどん料理が運ばれてきて、テーブルに乗り切らない量に圧倒されていました。全てを紹介すると紙面が何ページあっても足りないので、特に気に入った料理をいくつか紹介します!
香辣干锅大虾

青豆魔芋烧鸭

藤椒過水魚

𰻞𰻞麺

同行者はビャンビャン麺初挑戦だったようですが、今度ビャンビャン麺を食べに連れて行って欲しいと頼まれるほどに気に入っていました。懇親会のビャンビャン麺が美味しいものであったのは間違いないですが、やはりビャンビャン麺はガチ中華入門にもってこいだと思いました。
海味疙瘩汤

料理のみならずお酒も沢山提供されました。お馴染みの青島ビールから中国ワインや白酒など、食事と一緒にガチ中華酒を楽しみました。
また新年イベントとして抽選会も開かれました。商品券や中国食材、お酒など豪華な景品が用意され大盛り上がり。

私も景品のお裾分けとして四川ソーセージをいただきました。薄く切って炒め物にするのが美味しいと教えていただいたので楽しみです!

今回は新年会を兼ねていたこともあり、中国人の業界関係者の参加が多く、前回以上の盛り上がりでした。会場は中国語が主に飛び交っていましたが、その熱気に包まれているだけでも十分に楽しめます。
また今回は、ガチ中華初心者に同行してもらいました。カオスな雰囲気に圧倒されないか少し心配していましたが、美味しい料理と賑やかな空気感が楽しかったと言われ、「興味があれば気負わず参加できる場なんだ、思っているより参加のハードルは低いのかもしれない」と感じられたのも良い気づきでした。
ガチ中華という「場」
さて、今回の交流会で特に強く印象に残ったのはガチ中華の”次の流れ”でした。
今回は、公益社団法人 日本中国料理協会、公益社団法人 日本中国友好協会の関係者も参加しており、開会の挨拶では「日中関係にはさまざまな課題があるが、人と人とのつながりは大切にしていきたい。その思いから応援に来ていただいた」という趣旨の紹介がありました。この一言が、今回の交流会の性格を象徴していたように思います。

第2部で、島津さんを講師として招き、日本人向けのプロモーションに明確に焦点が当てられていた点も印象的でした。経営の視点から、日本人にもガチ中華に関心を持ってもらいたいという意図ははっきりしており、プロモーションの一環ではありますが、積極的に外へ開いていこうとする姿勢はポジティブに受け取りました。
ガチ中華は、日本人にとっていまだ馴染みが薄く「入りにくい」「よく分からない」という印象を持たれがちです。今回の交流会を通して、その閉じたイメージを少しずつほぐそうとする動きを肌で感じられました。交流会自体も前回から非会員のガチ中華好きの日本人も参加可能になり、強烈な”リアル中国感”はありますが、日本語の通訳やレシピが用意されるなど、日本人が楽しめる工夫が見られました。
私自身、こうした活動を続け、中国にも定期的に足を運んでいますが、そのことを話したときの周囲の反応に、「中々理解されないなぁ」と思うことはよくあります。最近は日中関係や外国人をめぐる話題も多く、その違和感は大きくなっているように感じます。私が見ているものが全てではありませんが、実際に料理を囲み、人と向き合っていると、外側から語られるイメージだけでは捉えきれないものがあると感じます。だからこそ、ガチ中華という切り口を通して、こうした場の空気や人の温度感を、できるだけそのまま伝えていけたらと思っています。今回の交流会は、その思いを改めて確認する機会となりました。

・・・と、少し真面目にまとめてみましたが、2回目の参加ですっかりこの交流会の”カオス感”にハマっています。次回以降もガチ中華の裏側や現場の空気をお届けしていけたらと思います。
(文香)
会場情報
雅亭 御徒町本店

東京都台東区台東4-29-5 佐竹ビル1F
Writer
記事を書いてくれた人


