友人の故郷の雲南省楚雄彝族自治州の村で過ごした春節の様子をお伝えします

友人の故郷の雲南省楚雄彝族自治州の村で過ごした春節の様子をお伝えします

春節の中国を巡る

中国最大の祝日である春節(旧正月)。日本では1月1日に新年を祝いますが、中国ではこの春節を盛大に祝います。日本でも「国民大移動」や「訪日旅行客」といった文脈で耳にすることがあるかと思いますが、その実際の過ごし方はあまり知られていません。

私は春節の翌日、2月18日から24日にかけて、友人の故郷である雲南省を訪れました。

親族が集まる新年会、爆竹が鳴り響く街、祝日ならではの街の様子・・・中国の春節の空気を少しでもお伝えできればと思います。

雲南省のとある村で春節休みを過ごす

今回の滞在では、友人の親族の新年会にお邪魔し、中国の家庭の春節を体験させてもらいました。訪れたのは雲南省・楚雄彝族自治州のとある村。省都・昆明から車で数時間ほどの場所にある山に囲まれた小さな集落です。

家に入ってまず驚いたのは床一面に敷き詰められた松の葉でした。これは新年の飾りの一種だそうで、青々とした香りが室内に広がっています。

床には松の葉が敷き詰められている、これだけの松の葉を敷き詰めるのは大変な作業とのこと

友人によると、子どもの頃は皆で松の木を取りに行き、家で細かくばらすのが恒例行事だったそうです。テーブルが足りない時には、皿を松葉の上に置いて食事をすることもあったといいます。

飾りの意味を尋ねると「よく知らない」とのこと。そこで中国のAI(Doubao)や文献で調べてみると、雲南省の一部で見られる文化で、松は長寿や繁栄の象徴とされ、邪気を払う意味もあるといわれているようです。日本でもお正月に門松を飾る文化があり、形は違っても、新しい年を迎える節目に松を用いる点は共通していて興味深く感じました。

親戚が集まる、新年の宴会

総勢20人強の親戚が集まると、さっそく昼食が始まりました。

春節を迎えるまでは、餃子、魚、春巻き、年糕といった「正月料理」を食べることが多いそうですが、年が明けた後はそれほど形式ばった料理ではなく、普段の宴会に近い食事になるのだとか。

春節の宴会料理、人数が多いことから2テーブルに分けて料理を囲みました

テーブルには雲南で取れる食材を使った料理がズラリと並び、お酒を酌み交わしながら親戚同士がわいわいと食事を楽しみます。日本のお正月の親戚の集まりとも似ていますが、人数の多さや料理は中国ならでは。食卓の熱気に春節の特別な雰囲気を感じました。

食後は山へ・・親戚あるあるのイベント

食事の後は特に決まった予定があるわけではなく、それぞれが思い思いに時間を過ごします。昼寝をする人、民族楽器を演奏する人、夕食の準備をする人など・・・日本の「三が日」にも似た、ゆったりした空気です。

コンロの数が足りず屋上でも火を起こし調理、鳥を丸ごと1匹使った炒め物を作っている様子

私は散歩に出かけるグループに誘われ、近くの山へ行くことになりました。軽いハイキングかと思ってついていくと、待っていたのはオリーブの実の収穫でした。

山を登り、オリーブの実を摘む

友人によると、親戚が集まると「食後に山へ何か採りに行く」というのはよくあるそうです。日本でいう「みんなで散歩に行く」の延長なのかもしれません。ただし、日本のハイキングのように整備された道はなく、道なき道をどんどん登っていきます。

親戚は慣れた足取りで山を登っていきますが、私にとってはなかなかハードな運動でした。中でも山に詳しい叔父さんは先頭に立って進み、オリーブの実を抱えて持って戻ってきました。その姿を見て、さすがだなと感心してしまいました。

オリーブの実、そのまま食べたり、乾燥させて食べたりします

村に戻った後は、街を散策したり、子どもと遊んだりして過ごし、夕方になると再び親族が集まって夕食の宴が始まります。料理は全て手作り、昼とはまた違う品々が並びます。この品数を作るのは大変だろうなと思いながらいただきました。

春節の宴会・夜の部、全ての料理が手作り

この日は早めに失礼しましたが、夜遅くまで民族楽器の演奏やダンスが続いていたそうです。家庭ごとに違いはあると思いますが、親族で集まり食事を囲んでゆっくり過ごす様子は、日本のお正月と似ていると感じました。

爆竹が鳴り響く

中国では春節に爆竹を上げる文化があります。爆竹を上げることには、厄払いと、旧年を捨てて新しい年を迎える祝いの意味が込められています。

近年では都市部で爆竹が規制されることも増えているそうですが、私が滞在した昆明では、時間や場所の制限はあるものの、あちこちで爆竹が鳴り響いていました。これが想像以上に大きな音で、しかも頻繁に鳴るので、最初はかなり驚きました。

大型の爆竹

爆竹を体験してみた

複数の中国人から「子どもの頃は爆竹で遊んだ」という話を聞いていたので、せっかくならと私も爆竹に挑戦してみることにしました。爆竹は春節の時期になると、街のあちこちに立つ露店で販売されています。 露店には大小さまざまな爆竹が並び、中には業者用?と思えるほど巨大なものもありました。

昆明市内の爆竹露店

村の市場でも小型の爆竹が売られていました。

今回は小型と中型の爆竹を購入し、公園で実際に試してみました。中型の爆竹はまるで手持ち打ち上げ花火で、日本では絶対に出来ない感じの飛行距離で驚きました。

小型の爆竹は色々な種類の爆竹が入っていました。

小型の爆竹、一箱に色々な種類が入っている

遊び方は日本の花火と同様ですが、派手に音が鳴ったり、飛んだりするものがありました。また個体差があったので、勢いよく爆発したり、火がつかなかったり、思わぬ動きをしたりと、思っていた以上にスリルがありました。

小型の爆竹
小型の爆竹、思った以上に空高く飛ぶ

「爆竹を上げるぞ〜」と意気込んでいたものの、いざ火をつけるとかなりビビってしまいました。これは日本では出来ないなと思いながら、楽しい時間を過ごしました。

春節の街は「お休みモード」

春節は街の様子も普段とは少し違っていました。市場や飲食店は閉まっているところが多く、全体的にお休みモードです。

店の大半が閉まっている市場の様子
他方、営業する店は赤い服や装飾があふれ、新年のお祝いムード

そのため、営業している店には人が集中します。Uberを頼んでもキャンセルされたり、注文が集中するため対応できる料理が減ったりすることもありました。そのため私たちは、早めに食事を注文したり、店を分散させたりして対応しました。幾度か昆明に滞在しましたが、このような状態は初めてでした。

幾度かトライしやっと注文できたUber

交通も同様で、タクシーがなかなか捕まりません。私たちは15分ほどで乗ることができましたが、運転手さんから「前のお客さんは30分待ってやっと捕まえた」と聞きました。春節休みの後半になると、徐々にいつもの街に戻っていきました。

観光地は大混雑

一方で、観光地はまったく逆の状況でした。中国では春節の帰省・旅行シーズン「春運」に、延べ90億人以上が移動するといわれています。観光地として人気の雲南省には多くの観光客が訪れ、どこも大混雑でした。

滞在中に大理へ小旅行に行く予定でしたが、普段なら間際でも取れる新幹線のチケットや宿がどこも満席で、断念することになりました。

昆明も観光地をいくつか訪れましたが、どこも人で溢れ、交通渋滞・駐車場が見つからない、入場規制等の対応がされており活気がすごかったです。

昆明の西山の様子、入場を試みる人で溢れています
昆明の中心部の様子、春節休み終盤でも歩くのがやっと

昆明に住む友人の両親も「さすが旧正月の混み具合だ、いつもとは桁がちがう」と言っていました。生活の場と観光地、同じ春節でも場所によって全く違う表情を見せてくれるのが印象的でした。

春節を過ごしてみて

日本では「国民大移動」として語られることの多い中国の春節。しかし実際に現地で過ごしてみると、その姿は想像していたよりもずっと多面的でした。村では親族が集まり食卓を囲み、街では爆竹が鳴り響き、観光地には多くの人が訪れる。同じ春節でも、場所によってまったく違う風景が広がっていました。

また春節を現地で過ごす中で、日本とは文化の違いはあるものの、節目の時期に家族や親戚といった大切な人たちとゆっくり新しい一年を迎える時間という点では共通していると感じました。

中国の春節を体験したことは、日本のお正月を改めて見つめ直すきっかけにもなりました。その中で自分の周りの人たちを大切にしたいという気持ちが生まれたことも、今回の旅の大きな収穫でした。素敵な体験をさせてくれた友人、家族の皆さんに感謝です。

(文香)

Writer
記事を書いてくれた人

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