皆さんこんにちは。中医師の村木亜ゆみです。
朝晩のニュースで「今日はどんだけ暑いか」てな話題を耳にしない日はありませんでしたが、これからが暑さによる体力の消耗がじわじわと現れる頃…。
そしてお江戸は暑さに加えて湿度がすごい…。東北地方に行って東京に戻ったらしっとり感が、いえ、じとじと感が200%増しぐらいに感じました。
このところ、夏バテシリーズを書いてきましたが、
今日の質問は
「羊肉串を食べに行こうと誘われましたが、羊は熱の食べ物と聞いたので断りました。夏に熱の食べ物は言語道断ですよね?」
というものです。
あら、村木も先週羊肉串を食べてきたばかりですわよ。
では、まずは羊肉について。肉類は滋養強壮のはたらきがあり、例外のいくつかのお肉を除けば身体を温めるとされているものがほとんどです。
羊肉の性味は甘・熱で脾と腎に帰経し、お腹の冷えや痛み、足腰の冷えなどによいとされています。
中医学の古典の金匱要略には「当帰生姜羊肉湯」という、このまま羊肉料理のレストランのメニューになりそうな処方も出てきます。
当帰はセリ科の植物で、独特の香りがあり、身体を温めるはたらきがあります。生姜も温めるはたらきがあるので、まさにトリプルパワーで身体を温める! 処方になっています。
羊肉は独特の臭みがあるので、それを消すために香辛料類・スパイス類と併せて使うことが多いのですが、これも身体を温めるはたらきをサポートしています。
ということで、薬膳や食材の性味について書いてある本など開いてみますと、羊肉のページには「のぼせやほてりのある人、熱のこもりやすい人、真夏などは食べるのを避けましょう」と書いてあることが多いのですが、村木は真夏でも食べてよいのでは? と考えます。
なぜなら、真夏とはいえ、私たちは「冷えている」から。
このところの暑さで、建物や乗り物の冷房もパワーアップしています。冷房の効いた建物や乗り物の中に入ると一瞬心地よいのですが、それ以降は冷風にさらされている部分が冷えてしまい、そのうち頭痛がしてきたりします。
「冷えすぎちゃって~困るのお~♪」って私が子供の頃のテレビアンテナのCMソングを真似っこして歌っていましたが、暑い時には、冷房がありがたいですがその後が「冷えすぎちゃって~」困っています。困らない人はそのまま冷風に吹かれていてくださいね。
冷えが健康に良くないことは今まで何回か取り上げてきましたが、冷えの原因は様々、冷房のような外からの冷え、そして飲食物など中からの冷えがあります。
消化吸収を担当する「脾」は冷えが大嫌いなので、冷えるとはたらきが弱くなり、気血水の工場の稼働率が下がるし、脾とつながる手足などに変調をきたします。足がだるくてもつれるような感じがしたら脾のパワーがダウンしていると思ってください。
まさに今年の村木はそんな感じなので、今回羊肉料理を食べに行ってお腹がぽかぽかになって帰ってきました。
同行者があれこれ注文してくれて、羊肉以外にも辛味・酸味・甘味のパンチがガツンと効いたお料理が多くて、食欲が刺激されて箸が止まりませんでした。グルメレポートはないのか? それはまた改めて。
というわけで、冷房で冷えたお腹には温めパワーのある羊肉を!ただし各自の体調、体質に合わせてくださいね~!
次回もお楽しみに~!質問もお待ちしてまーす!
(村木亜ゆみ)