読者の皆さんこんにちは。中医師の村木亜ゆみです。
「暑さ寒さも彼岸まで」といいますが、彼岸の入りになったら、涼しくなってきたような…。
朝晩はその前から涼しくなっていましたが、日中の陽射しがかなりきつかったですねえ。
意外と夜になっても室内の気温は下がらず、寝苦しい日が続いていましたので、これで眠れるようになることを期待するむー先生です。
さて、いつもの年ならこの時季は湿度が下がって、陽射しはじりじりと暑くても、さわやかなお出かけ日和~なのですが、今年はなかなか湿度が下がりません。
昼間に外に出るとむわっと熱気が…。
まあ、建物の中が冷房で冷え冷えなので、外に出て温まったりしておりますが。
今回の質問は
「夏はどんなに暑くても平気なのですが、冬が苦手です。苦手どころではなく、寒さの余り外に出られなくなります。
屋外での仕事なので冬は寒くて引きこもりになるので、ほとんど仕事をしない状況です。どうしたらいいでしょうか?」
というのが来ていますね。どれどれ。
「冷え」は女性によくみられる自覚症状ですが、最近は男性も「冷えがある」と聞くようになりました。私たちはなぜ冷えを感じるのでしょうか?
一つ目の理由は「外から寒邪が入ってくるから」。
北風こぞうのかんたろう~♪を想像しますが、「寒邪の寒たろう」がやってくるイメージです。
![中医師村木の「おしえて!むー先生!」その11 画像1](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2023/10/no284-a.jpg)
以前、邪気の話をしたことがありますね。自然界の季節の特徴の程度が激しくなり、人体の許容範囲を超えると私たちを病気にしてしまいます。
寒たろうは、収引と凝滞といって、何かを縮ませたり、流れているものの流れを悪くしていきますので、気血の流れをのろのろに変えてしまいます。
そうすると身体の隅々まで熱が届かなくなって冷えます。それから、体内の水分の代謝が失調して水がたまると、水は陰なので冷えます。
このほかの理由として
人体が身体を温めようとする力が
不足していることが上げられます。
私たちの「気」、すなわちエネルギーの
総元締めのような存在ですが、
「気」は身体を温めるはたらきも持っています。
人体には「陽気」といって、
身体を温める小さな暖房装置があると
考えてみてください。
その暖房装置が、半分以下の大きさに
なってしまったら…身体は温まらなくなります。
この方の場合は、寒さを受けると
熱とエネルギーが届かなくなることが考えられます。
さらにライフスタイルや既往歴など、
いろいろなことを聞いてみないとわからないことが多くて
的確なアドバイスができませんが、
冬場は温め力の強い生薬が配合された
漢方薬を使いつつ、温める食材を中心に摂り、
寒たろうに負けない体づくりをすることが
よいのではないかと思います。
実際、似たような例が私の周りでありました。
その方も冬になると寒くて引きこもりになり、
仕事ができない状態になるので
冬は南国に移住したいと思っている、
とおっしゃるのでそれもいいんだけど、
と上に書いたような話をしました。
漢方薬は何がいいかというので
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)を
勧めました。
![中医師村木の「おしえて!むー先生!」その11 画像2](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2023/10/no284-b.jpg)
魔法の呪文のような長い名前の処方ですが、
温める生薬がたくさん入っている処方です。
翌日本人から「買ってきました~今から飲みます~」
とメールが来てたまげましたよ!
いやいや、この暑い時期に飲んじゃダメでしょ!
冷えて症状があるからそれを緩和するために飲むのであって、
この時季に飲んだら鼻血ぶーになったりするでしょ。
と、返事をしたら
「じゃあ、冷え予防のために涼しくなったら飲みますね」
ちがう、そうじゃないい…。
予防のために飲むものもありますが、
漢方薬は適応を守って飲みましょう。
![中医師村木の「おしえて!むー先生!」その11 画像3](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2023/10/no284-c.jpg)
むー先生からのお願いだ。
次回もお楽しみに~!
質問もお待ちしてまーす!
(村木亜ゆみ)
Writer
記事を書いてくれた人
![](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2022/01/img_writer_muraki.jpg)