中医師村木の「おしえて!むー先生!」その11「冷えに備える」

読者の皆さんこんにちは。中医師の村木亜ゆみです。

「暑さ寒さも彼岸まで」といいますが、彼岸の入りになったら、涼しくなってきたような…。

朝晩はその前から涼しくなっていましたが、日中の陽射しがかなりきつかったですねえ。

意外と夜になっても室内の気温は下がらず、寝苦しい日が続いていましたので、これで眠れるようになることを期待するむー先生です。

さて、いつもの年ならこの時季は湿度が下がって、陽射しはじりじりと暑くても、さわやかなお出かけ日和~なのですが、今年はなかなか湿度が下がりません。

昼間に外に出るとむわっと熱気が…。

まあ、建物の中が冷房で冷え冷えなので、外に出て温まったりしておりますが。

今回の質問は

夏はどんなに暑くても平気なのですが、冬が苦手です。苦手どころではなく、寒さの余り外に出られなくなります。

屋外での仕事なので冬は寒くて引きこもりになるので、ほとんど仕事をしない状況です。どうしたらいいでしょうか?

というのが来ていますね。どれどれ。

「冷え」は女性によくみられる自覚症状ですが、最近は男性も「冷えがある」と聞くようになりました。私たちはなぜ冷えを感じるのでしょうか?

一つ目の理由は「外から寒邪が入ってくるから」

北風こぞうのかんたろう~♪を想像しますが、「寒邪の寒たろう」がやってくるイメージです。

中医師村木の「おしえて!むー先生!」その11 画像1

以前、邪気の話をしたことがありますね。自然界の季節の特徴の程度が激しくなり、人体の許容範囲を超えると私たちを病気にしてしまいます。

寒たろうは、収引と凝滞といって、何かを縮ませたり、流れているものの流れを悪くしていきますので、気血の流れをのろのろに変えてしまいます。

そうすると身体の隅々まで熱が届かなくなって冷えます。それから、体内の水分の代謝が失調して水がたまると、水は陰なので冷えます。

このほかの理由として
人体が身体を温めようとする力が
不足していることが上げられます。

私たちの「気」、すなわちエネルギーの
総元締めのような存在ですが、
「気」は身体を温めるはたらきも持っています。

人体には「陽気」といって、
身体を温める小さな暖房装置があると
考えてみてください。

その暖房装置が、半分以下の大きさに
なってしまったら…身体は温まらなくなります。

この方の場合は、寒さを受けると
熱とエネルギーが届かなくなることが考えられます。

さらにライフスタイルや既往歴など、
いろいろなことを聞いてみないとわからないことが多くて
的確なアドバイスができませんが、
冬場は温め力の強い生薬が配合された
漢方薬を使いつつ、温める食材を中心に摂り、
寒たろうに負けない体づくりをすることが
よいのではないかと思います。

実際、似たような例が私の周りでありました。

その方も冬になると寒くて引きこもりになり、
仕事ができない状態になるので
冬は南国に移住したいと思っている、

とおっしゃるのでそれもいいんだけど、
と上に書いたような話をしました。

漢方薬は何がいいかというので
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)を
勧めました。

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魔法の呪文のような長い名前の処方ですが、
温める生薬がたくさん入っている処方です。

翌日本人から「買ってきました~今から飲みます~」
とメールが来てたまげましたよ!

いやいや、この暑い時期に飲んじゃダメでしょ!

冷えて症状があるからそれを緩和するために飲むのであって、
この時季に飲んだら鼻血ぶーになったりするでしょ。

と、返事をしたら
「じゃあ、冷え予防のために涼しくなったら飲みますね」

ちがう、そうじゃないい…。

予防のために飲むものもありますが、
漢方薬は適応を守って飲みましょう。

中医師村木の「おしえて!むー先生!」その11 画像3

むー先生からのお願いだ。

次回もお楽しみに~!

質問もお待ちしてまーす!

(村木亜ゆみ)

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