インスタグラムで“お家で作る中国家庭料理レシピ”を配信しているりんさんと、ガチ中華店のオーナーをしているムーさんの出会いから、ふたりのコラボによる実演食事会が実現しました。
会場は、最近ムーさんが開いたばかりの中国家庭料理を提供する「南方急行」です。さっそく私もその実演料理会を楽しんできました!
参加者は約40名。そのうちの8割がインスタグラムを見て応募したそうで、中には名古屋から来られた方も!
今回はその様子を紹介します!

ムーさんはりんさんと出会って「こんなに真面目に(本気で)中華料理を伝えようとしている人がいる!」と感銘し、同じ「家庭料理」の共通点がある南方急行でぜひイベントをしたいと、TDCメンバーと今日の企画を練ってきました。

そんなりんさんとは、どんな方なんでしょう?
福建省出身で7歳のとき、家族と共に来日し、中学時代に日本に帰化。外では日本の文化、家庭では中国文化で育ちます。学校を卒業し、調理師専門学校で調理師免許を取得。ケーキ作りの仕事に携わった後、販売や接客業を経て兄の飲食店を手伝うように。
時間と共に「やはり自分で料理をつくり、人に届けたい」という思いから昨年2024年8月からインスタグラムを開設、調理動画を配信。去年の冬前の投稿が爆発的に拡散されてから今やインスタグラムのフォロワーが8万人、TikTokのフォロワーも4万人にもなりました。
私がりんさんをインスタグラムで知ったのも、去年の冬前の動画が「おすすめ」に流れてきたときだったと思います。どの料理も材料が手に入りやすく、これなら作れそうというレシピで、しかもりんさんがあの照明の動画の中でおいしそ~に食べていると、ついつい見てしまうんですよね。
参加者からも、りんさんのレシピは「こんな風につくることができるんだ」「思ったより簡単にできる」「わかりやすい」と生の声を聞きました。
りんさんに料理をつくるようになったきっかけを聞くと、
「かぎっ子だった小学生の頃、お母さんのために炒飯を作ってみて、多分しょっぱかったと思うけど、それを母がおいしいと言ってくれて、それからです」と言っていました。
現在は「大人になって母の味を思い出して自分でも同じように作ってみたいと思い、作りながら自分の味にしていく」そうです。
小さい頃のお母さんからの一言や、こどもの頃の体験って大事だし、印象に残りますよね…!
では、実演タイムです。
「実演は初めてで緊張します」と言っていたりんさんですが、動画のときと同様に手際よく料理を作るところを、コツを交えて見せてくださいました!

1品目~エビのガーリック炒め(蒜蓉蝦)~
海老はあれば頭付の方が旨味が出て良いこと、臭味を取るために浸けるお酒は、お勧めは紹興酒が良いこと等、下処理の方法も丁寧に教えてくださいました。
海老を先に炒め、取り出してから生姜ニンニクを炒めて水を足し、更に炒めてから海老をフライパンに戻して、混ぜておいた調味料を加えます。

さっと混ぜ、仕上げに花椒をかけたら完成。あれば青山椒もお勧めだそうです。入れると香りがさらにアップしそうですね!

写真:島津秀泰氏提供
できたものを早速試食しました。殻まで炒めることで海老のうまみがしっかり出て、普段は殻は取って食べる料理ですが、今回準備されたものは殻も柔らかかったので、殻までおいしく食べられました!
インスタグラムにも調理動画が公開されています。
りんさんの海老ガーリック炒めのレシピ
りんさんは調理しながら緊張がほぐれてきたのか「私独り言が多いんです。一人だと喋る相手がいないじゃないですか(笑)」と。でも参加者から「独り言が多い人の方が配信に向いていますよ」とみんなが笑顔になる雰囲気もできました。
2品目~カキのチヂミ(海蠣煎蛋)~
現地ではタネづくりに「地瓜(さつまいも)粉」を使用するところ、りんさんは小麦粉と片栗粉に置き換えています。りんさんがおうちで作りやすいようにアレンジしたレシピです。
チヂミに使う小さな牡蠣は中国物産店に行くとあるとのことですが、大きい牡蠣の場合は切ってタネに入れていいそうです。材料の中にナンプラーもありました。りんさんは「ナンプラーは食材のうまみを引き出せて、和食にも合いますよ」と紹介してくださいました。和食と聞いて、私がとっさに「納豆にも合います」と言ったら、りんさんはそれも知っていて共通点を見つけた私は嬉しくなりました!
もう一つ興味深いのは、刻んだセロリもタネに入れていたことです。どんな味になるんでしょう?
いよいよタネを焼いていきます。りんさんは「中華料理は油が多い」というイメージが多いのでそれも払拭したいと思っています。調味料の分量は目安に思っていただき、自分の好みに調整して大丈夫だそうです。
その上で、油はやはり(私達が普段使う量よりも)気持ち多めの方がおいしいとのことです。

油を入れた後、タネを流して両面にきれいな焼目が付いたら、仕上げにごま油を適量かけて完成です!

こちらは特に出来立て重視です。食べてみると、ごま油のおかげで表面がカリッとして、セロリが鼻から抜ける感じが爽やかで「これもあり!」と思える味でした。
実演が無事に終わったので、おまちかねの食事会です。
まずはりんさんのレシピ料理から。南方急行の調理師たちが、りんさんのレシピを忠実に再現してくださいました。
中華大根漬け(腌萝卜)
よく漬かった大根はちょっとピリ辛で、1品目からみんな口々においしいと言っていたのですが、特にお酒が好きな参加者達から人気でした。

福建風酢豚(荔枝肉)
中国語名は「ライチ肉」という意味なので、パイナップルの代わりにライチを使っているのか?!と思っていたら、肉の大きさがライチくらいだから、という意味だそうです。福建省でも酢豚にケチャップを使うそうです。

豚肉の湯葉炒め(炒腐竹)
日本だと湯葉って炒めないですよね。炒めているのにしっとりとまだ少しの弾力が残る湯葉の食感が印象的でした。

マーピー拌麺(福州拌麺)
これもりんさんの故郷の料理です。ピーナツソースは本当に麺に絡みやすく、どこを食べてもムラがなく少し甘いピーナツの味がする麺です。主食で甘いのに病みつきになる味です。

りんさん手作り月餅
なんと、メニューにないりんさんのサプライズです!
実は私を含むTDCメンバーの数人は、林さんの食事会の数日前に「勝手に月餅グランプリ」と題して約30種類の月餅の試食をしたばかりなのです。りんさんの月餅はその日に食べた味にはない「白餡ナッツレーズン」でした! 白餡は日本人にも一定の人気がありますが、月餅ではまだ見たことがありませんでした。
手作りの甘さ控えめの餡と、知らなかった…レーズンと白餡が合うということを!もう一つは定番の蛋黄(アヒルの塩漬け卵)入りで、こちらも甘さと卵の塩加減のバランスが良く、とてもおいしかったです。
「TDC勝手に月餅グランプリ」の詳細はこちら
食事の合間にもりんさんはどのテーブルにも話に行き、参加者との交流を楽しんでいました。

続いて南方急行からの料理を厳選して紹介します。
角春雨の醤油炒め(家庭炒猪凉粉)
春雨も色々な太さがあると知りましたが、これは四角です。参加者もみんな斬新な春雨の形に驚いていましたが、醤油ベースのあまピリ辛味が春雨に染み込んで、日本人の口にも合います!江蘇省の料理だそうです。

海苔と豚肉の炒め物(炒紫菜豬肉)
もはや南方急行の名物!私は今日の南方急行のメニューの中で一番気になっていた料理で一番楽しみにしていました!
一見イカ墨料理に見えますが、全部海苔です。スプーンですくうと少しねばねばしていて、びよーんと伸びるのですが、すぱっと切れるので1杯分をしっかりすくうことができます。それをご飯の上にかけると・・・ご飯がとまらなくなってしまいます!想像よりはあっさりしていましたが、醬油ベースで味がついています。

セロリの青椒肉絲(芹菜青椒肉丝)
ムーさんサービスの一品です。セロリを大胆に使った青椒肉絲です。セロリの食感が活きていて、セロリ好きにはたまりません。ランチメニューでも人気だそうです。

南方急行の料理は、別の記事でも配信されているので、ぜひ読んでみてください。
さて、料理も出そろったところで、インスタを見て参加した方に、このイベントに来たきっかけを聞きました。「りんさんに会ってみたい!」という理由以外では、こんな理由がありました。
なかには
「自分で作ってみたけど、りんさんの味と本当に同じように作れたか知りたい」という方も。また、りんさんの動画を見て実際にせいろを買ったという人もいました。
今回参加してみての感想には
「実際にお会いできてよかった!」
「実演を見て、火加減の調整とかが参考になった」
「作ってみたいと思った」
との感想を聞くことができました。
私もりんさんとお話してみて、とても明るい方で自然体に接して下さり、話せば話すほど親近感が湧く方でした!
そして最後、たくさんのお土産がありました…!
いつもTDC主催の食事会には、青島ビールさんからの協賛で青島ビールが振舞われますが、今回は中華食材・業務用品輸入卸商社の「嘉恒貿易」さんも協賛してくださり、同社が扱う「珠江桥牌(ジュージァングチャオパイ)」という広東省にある中国の老舗調味料メーカーの醤油やオイスターソース、海鮮醤とエプロン、それに大きなエコバックまでも提供してくださいました。
嘉恒貿易
https://www.kakou-trading.com/
さ・ら・に、りんさんからも手作りのお菓子と一言メッセージまで…!


40人分も作るのも書くのも大変だったでしょう、とりんさんに声をかけると、「これくらい全然平気ですよ!」と笑顔で返事が。エネルギッシュでやさしさと気遣いあふれるりんさんのことを、ますますファンになってしまいました…!
りんさんは、インスタグラムに寄せられたみんなのコメントが動画作りの励みになっていると参加者に伝えました。また、今日私が参加者から聞いた「りんさんのレシピは作りやすい」と言っていたことを伝えると、「それが本当に嬉しい」とおっしゃっていました。
参加者が帰られる時も一人一人にお礼の挨拶をしていました。みんな最後まで笑顔でいられた、とっても素敵な食事会でした!
りんさん、ありがとうございました!
(aokinapple)
店舗情報
南方急行

新宿区新宿1-3-8 Ykb新宿御苑B1
03-6380-6558
Writer
記事を書いてくれた人









「動画だとりんさんの横顔しか見たことがないので正面から見てみたかった」
「”りんさんが実際に作った料理”を食べてみたい」