中国南部の家庭料理とクラフトビールが味わえる新宿御苑「南方急行」

中国南部の家庭料理とクラフトビールが味わえる新宿御苑「南方急行」

多くの人が中華料理と聞くと辛さや油っこさを思い浮かべますが、中華料理の世界はそれだけではありません。今回、中村さんとふ味園(FuMIEN)のメンバーが取材に訪れた「南方急行」は、中国南部の家庭で日常的に親しまれている料理と珍しいクラフトビールが楽しめる個性豊かなお店です。

「中華でクラフトビール?」と意外に思う方もいるかもしれません。実は近年、中国ではクラフトビールが安定した人気があり、飲み比べ等を楽しめるお店も増えているのです。

そんな旬の中国のクラフトビールが南方急行には揃っています。中国南部の個性的な銘柄、特産品を生かした銘柄等、日本では中々お目にかかれないものばかり。ガチ中華ファンは勿論のこと、ガチ中華に馴染みのない方やクラフトビールを愛する方にも是非訪れていただきたいお店です。

それでは早速レポートをお届けします!

中国ビールという、知られざる愉しみ

まず驚かされるのは日本では流通の少ない中国のクラフトビールたち。

中国のビールといえば青島ビールが有名ですが、南方急行には上海の上海力波や、江蘇省の蘇州、貴州の原浆等の中国南部の個性豊かなクラフトビールが揃っています。

個性豊かなクラフトビール

パッケージも可愛らしく色鮮やかで、見ているだけでもワクワク旅気分。ラベルを見て選ぶのも、このお店ならではの楽しみのひとつ!

老树普洱は雲南省特産プーアル茶のクラフトビール。一見軽めのビールのようですが、グラスを近づけるとほんのり甘く、香ばしいプーアルの香りがふわり。

ビール独特の苦味にプーアルの風味やまろやかさが加わり、奥行きのある味わいに。まるで上質なカクテルのようなでお酒に強くない人や女性にも好まれる一杯!

生椰拿铁は雲南コーヒー×ココナッツミルクのクラフトビールという、聞くだけで気になってしまう組み合わせ。コーヒー×お酒の組み合わせ多々ありますが、このお酒はミルク感も強く、重みがあるのが特徴で喫茶店にいる気分になる新感覚の一杯。

生椰拿铁|コーヒー×ココナッツミルクのクラフトビール

老長沙は湖南省のクラフトビール。派手でオシャレなラベルが目を引く一本で、香りは高く口当たりはさらりと軽やか。クセの少ない万能タイプ。

老長沙|湖南省のクラフトビール

クラフトビール以外にも料理にぴったりな白酒、紹興酒、ワイン、クラフトジンなども充実。特にじゃぐち紹興酒(飲み放題もあり)、中華料理にシンデレラフィットするキリッとしたお酒として日本のクラフトジンHOLONが取り揃えられているのが魅力的。

じゃぐち紹興酒

料理×お酒のペアリングガイドあるので、どのお酒を飲むか迷ったら参考にしてみてください!

どのお酒を飲むか迷う

優しくて深い味わいの中国の家庭料理

南方急行で味わえるのは、上海・江蘇・雲南など中国南部の家庭料理。中華料理でイメージされる辛さや油っぽさが前面に出ることはなく、どれも滋味に富み、素朴ななかにうまみがしっかりあり、箸が止まらなくなる料理ばかり。今回は取材班が特に気に入った品を紹介します!

豚スペアリブの甘露煮 (糖醋排骨) 

運ばれてきた瞬間に「絶対美味しいやつ!」と確信。黒酢と醤油と砂糖、ケチャップで味付けされたスペアリブは、酢豚のような甘酸っぱさの中に、ケチャップのコクが加わることで洋風感も感じられる小洒落た味。スペアリブの身の柔らかさと脂の乗り具合、タレの濃厚さと奥深い味わいがたまらない逸品です。

豚スペアリブの甘露煮 (糖醋排骨)

汁ハンバーグ100G(清炖狮子头)

優しい鶏ベースのスープと、口の中でふわりとほどける肉団子が疲れた体に沁みる、まさに”ご自愛メニュー”。握り拳大の肉団子というインパクトのある見た目に反して食感も味付けも優しく、お肉はちょっと重いな…と思う時にもこれならいけてしまいそう。

汁ハンバーグ100G(清炖狮子头)

ネギ豆腐の焼き餃子(豆腐巻)

箸で持ち上げるのが難しいほどふっくら柔らかな皮に包まれているのは、なんと豆腐。味もあっさり塩味ベースで、ニンニクとニラがガツンと効いた日本の焼き餃子とは全く違う印象に驚きます。豆腐自体は日本と同じ物だそうですが、柔らかいのに弾力があり初めての食感。付け合わせの調味料が何種類かあったのですが、味変する間もなく完食してしまいました。

ネギ豆腐の焼き餃子(豆腐巻)

角春雨の醤油炒め(家庭炒凉粉)

緑豆のでんぷんから作られた角春雨は口の中でとろけるような食感。初めて出会う食感にテンションが上がりました。角春雨はほんのり豆の風味と甘味がある程度ですが、味付けが醤油とニンニクでしっかりしているので、全体として調和が取れており、箸がとても進みました!

角春雨の醤油炒め(家庭炒凉粉)

酒のつまみが必要、だけどカロリーは気にしなきゃいけないのが大人の辛いところだよなという問題をこの品は解決してくれます。食欲をそそる味であるのと軽い食感なので、夏バテの時にもおすすめの一品。

その他にも、炒めポテサラ、水餃子、焼き餃子、発酵トマトと牛肉のスープ 等、どれも500〜1000円程度で楽しめ、量もちょうどいいのもポイント。数品頼んで楽しむのにも向いています!

ひとりでもふらっと入れる空間

お店は新宿御苑駅から徒歩数分の好立地。店内はテーブル席が中心で明るく清潔感があり、一人飲みにも友達との飲みにもOK。メニューは日本語表記、対応も日本語なのでガチ中華に慣れしていない人も安心です!

とりでもふらっと入れる空間

“料理と酒”で旅する

南方急行のコンセプトは上海から雲南へと向かう架空の列車に乗って、各地の家庭料理を味わう。あっさりした塩味や醤油を使い甘めに味付けの上海、激辛で香ばしい味付けの湖南、どこか東南アジアを想起する雲南・・料理のルーツをたどるとその土地の物語がある。列車が停まるたびにその土地の家庭料理やビールが出てくる…そんな旅をイメージしながら、一皿ずつ、一杯ずつ楽しんでみるのはいかがでしょうか。

店主紹介

店主は大連出身の牟明輝さん(ムーさん)。

ムーさんの蒸鍋館では蒸気で食材を蒸し上げる“蒸気鍋”を取り入れたり、食遇・楼蘭ではハラール中華を手がけたりと、いつも挑戦的なガチ中華を届けてくれます。日本のガチ中華は、四川や東北といった特定の地域にフォーカスし、宴会向けの華やかな料理を提供する店が多い中、今回ムーさんが手がけたのは、“家庭料理”という日常に根ざした中華。しかも、中国南部の複数の地域からセレクトした料理を組み合わせた新しいアプローチ。

店主の牟明輝さん(ムーさん)

「日本の皆さんにも、気軽に本場中華を楽しんでほしい」というムーさんの思いが詰まったお店となっています。ぜひ、南方急行で素敵な料理、お酒と共に旅するようなひと時を過ごしてみてください!

(夏木、こむじゃ、文香「ふ味園」)
写真:夏木

店舗情報

南方急行

南方急行

新宿区新宿1-3-8
Ykb新宿御苑BF1

新宿御苑駅から徒歩2分

Writer
記事を書いてくれた人

代表からのひとこと

ふ味園のみなさん、お疲れさまでした。

文香さんも書いているように、7月にオープンした「南方急行」は、これまでさまざまなタイプのガチ中華を提供してきた牟明輝さんが手がけたネオガチ中華のお店で、「ひとりでもふらっと入れる」ところがいいですね。これまでになかったタイプのガチ中華なので、友人を誘って行きやすいです。

実は、ふ味園のみなさんと南方急行に行った2日後、ぼくは出張で上京してきた高校時代の友人と一緒に再訪しました。友人が赤坂に宿泊していたこともあったのですが、ふだんガチ中華を食べる機会のない地方在住の人を連れて行くのにもってこいと思ったからです。

その日は、今回文香さんが紹介してくれたネギ豆腐の焼き餃子や角春雨の醤油炒め、炒めポテサラなどを注文したのですが、「中華というのは本当にうまいなあ」と彼もしみじみ言っていました。どの料理も食べたことのなかった新鮮な味だったようです。

ぼくは個人的には、この店の3種のジンソーダがお気に入りです。

3種のジンソーダがお気に入り

山椒のようなしびれを感じる。ニラ玉や豆腐の春巻きなどに
HOLON「蜜柑」 

水分を含んだ若葉のような香りがよいん。豚スペアリブの甘い煮つけに
HOLON「雨」 

柑橘の黄色い香りの万能選手。蒸し鶏やトウガラシの利いた料理に
HOLON「晴」

料理にもよりますが、特に「蜜柑」の飲んだあとに口の中に残るさわやかなしびれが新しいと思います。

クラフトビールでは、文香さんが紹介してくれた、雲南省特産プーアル茶のクラフトビール「老树普洱」がおいしいです。また先日新たに飲んだ、バラの花の香りがしっかり漂うクラフトビール「雲南鮮花」も楽しめました。

この店の売りはいくつもありますが、ぼくのような酒飲みには、おそらく日本ではここでしか飲めないお酒があることではないでしょうか。しかも、それらはすべて料理に合う。

ぜひ多くの人に訪ねていただきたいお店です。

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