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牛肉からラム、麻婆までスープと麺を楽しめる池袋の「刀削麺倶楽部」

最近流行の「ガチ中華」麺といえば、ビャンビャン麺や蘭州牛肉麺などが知られていますが、中国山西省発祥の刀削麺は、小麦粉に水を加えた生地から麺を小さな刃物で削り出してつくる麺料理で、実をいえば、日本で最初に広まった「ガチ中華」といえるかもしれません。

1990年代半ばくらいから刀削麺を出す店が都内に現れているからです。うどんともラーメンとも違うあの独特のモチモチした食感は、くの字形をした刃物で手早く麺を削り、そのまま鍋のお湯に放り込んで茹でることから生まれます。

ちなみに、元の時代、モンゴルの統治者が漢民族の反乱を恐れて、金属製の武器を取り上げ、各家庭の包丁まで没収したことから、薄い鉄片で麺を削るという調理法が生まれたことが刀削麺の発祥という説があります。

西池袋にある「刀削麺倶楽部」は2021年9月にオープン。オーナーは同じ西池袋の四川料理店「品品香」の張丹さんです。

「いまでは都内各地に刀削麺の店がありますが、西池袋にはなかったので、やってみることにしました。日本の方は麺料理が好きですから。オープン時から日本のお客さんも多いですよ」と張さんは話します。

この店では、さまざまなタイプの刀削麺が食べられます。ざっと紹介しましょう。

牛肉刀削麺

牛肉刀削麺

この店のいちばん人気のメニューです。牛バラ肉がたっぷり入っていて、ボリューム満点です。スープはつややかな飴色をしたとろみのある醤油風味で「紅焼(ホンシャオ)」味です。中国のインスタント麺でも王道の味で、見た目ほど辛くはありません。

この店では「麻辣」味の牛肉刀削麺もあります。

藤椒酸菜(刀削)麺

藤椒酸菜(刀削)麺

最近売り出し中のメニューで「こだわりの藤椒風味と酸菜の美味しさがクセになる」とお店の壁に貼られた写真付きメニュー紹介に書かれていました。藤椒(タンジャオ)は青山椒とも呼ばれる中国の山椒の一種でフルーティーな柑橘系のスパイスといわれます。中華食材店では「藤椒油」として販売されているのをよく見かけるようになりました。

これに高菜や酸菜、牛バラ肉が入っていて、酸味の利いたスープの新しい味わいが特徴です。

ラム肉刀削麺

ラム肉刀削麺

羊スープの刀削麺です。刀削麺の発祥地である山西省は羊肉を食べるのが一般的。この店の羊スープは濃厚なミルクのような熟成度で、まろやかな口当たりです。日本のラーメンでは羊スープ麺というジャンルは聞かない気がしますから、「ガチ中華」麺ならではの世界といえるでしょう。

鍋に入ったラム肉スープ

メニューには、麺なしで羊肉やダイコンなどが入った「ラム肉スープ」もあります。

ラム肉スープ

最近、都内で羊肉料理を食べられる店が増えていて、このスープは定番メニューとなっていますが、この店のスープは濃厚で味わい深いです。

羊スープにキクラゲや春雨などとともに小さく切ったパン(饃)を入れて、浸して食べる「羊肉泡饃(ヤンローパオモ―)」もメニューにあります。これは相当通な人でなければ注文しないかもしれませんが、現地を知る人には懐かしい一品です。

麻婆刀削麺

麻婆刀削麺

麻婆豆腐好きにはたまらない刀削麺との組み合わせ。麻婆のインパクトを薄めないために、スープなしで麺をからめて食べます。実をいえば、山西省ではスープ麺としてではなく、汁なし麺として刀削麺を食べるのが一般的です。

辛みを利かせたひき肉入りの担担刀削麺もあります。

ひき肉入りの担担刀削麺のメニュー

これらの麺には、煮卵や豚角煮、牛肉の醤油煮込み、豚ホルモンなどが追加でトッピングできます。追加料金で刀削麺の替え玉もあります。

牛肉の醤油煮込み
牛肉の醤油煮込み

麺以外でも各種つまみ系の羊肉料理ともに、いろんな料理があります。

手づくりラム肉水餃子

手づくりラム肉水餃子

山西省など中国西北地方ではラム肉を餃子の具にするのは一般的です。この店では豚肉入りもありますが、ラム肉餃子を口に入れると、シルクロードの香りがします。

ラム肉入り新疆風チャーハン

ラム肉入り新疆風チャーハン

本来新疆ウイグル地区では炊き込みご飯のポロ(新疆手抓饭)を食べますが、これは炒飯です。いわゆる中華料理の炒飯とは違うのは、羊の香りがするからでしょうか。

ロウジャーモー(肉夾饃)

ロウジャーモー(肉夾饃)

最近人気の中華風ハンバーガーです。西安の名物料理で、一般のハンバーガーの違いは、焼いたビーフのパテではなく、煮込んだ羊肉を入れること。またバンズではなく、饃(モー)と呼ばれる硬めの小麦粉パンを使うこと。煮汁が饃に染みこむ感じが新食感です。

ロウジャーモーをさくっとつくっている様子を撮らせてもらいました。

細切りにした羊肉をたっぷりはさんだあと、パクチーを入れます。

刀削麺倶楽部のシェフは、吉林省樺甸市出身の沈彦明さんです。

刀削麺倶楽部のシェフ・沈彦明さん

ランチも充実していて、各種刀削麺とミニ丼のセットもあります。こういう定食はガッツリ系の日本人も大満足でしょう。

刀削麺倶楽部メニュー表

店内はカウンターも含めて25席ほどです。

刀削麺倶楽部店内

池袋で刀削麺を食べるなら、この店に行きましょう。気取らない日本のラーメン屋のような雰囲気の店ですが、「ガチ中華」麺や羊料理を存分に味わえます。

(東京ディープチャイナ研究会)

店舗情報

刀削麺倶楽部

刀削麺倶楽部外観

豊島区西池袋1-38-1 YSステージⅡ1F
050-5868-9141
年中無休

営業時間
11:00~22:30

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