鶴見区生麦の香港マダムの店「マギーズキッチン」でサンミゲールを飲む

神奈川県の横浜・鶴見からレポートさせていただきます。

横浜市には2022年現在、行政区が18区あり、最も東にある(東京に近い)のが鶴見区です。昔から沖縄料理や物産のお店が多く、2022年4月から始まったNHKの連続テレビ小説「ちむどんどん」の舞台のひとつということもあり、昨今ちょっとした盛り上がりを見せている地域です。

今回ご紹介するお店「マギーズキッチン(Maggie’s Kitchen/美記茶餐廳)」は、その鶴見区の「生麦」という街にあります。

日本史を学ばれた方なら、生麦は聞き覚えのある地名かもしれません。江戸時代末期、開国後間もない1862年に薩摩藩の大名行列に遭遇した騎馬のイギリス人たちを、供回りの藩士たちが殺傷した事件(生麦事件)が起こった場所で、事件はその後の日本の歴史上でも大きな意味を持つ薩英戦争のきっかけとなったとも言われています。今でも事件の石碑が残っており往時を偲ぶことができます。

生麦の街は、京浜急行本線の生麦駅を中心にいくつかの商店が集まっていて、駅の南側には多くの飲食店が立ち並ぶエリアがありますが、反対(北側)の住宅街が広がるエリアへと進み小路を入り、「香港料理」と書かれたノボリが目に入ったら、今回の目的のお店、マギーズキッチンです。

店に入ると広東語のラジオが聞こえてくることも。「今はアプリで香港のラジオが聴けるのよ。」と店主のマギーさん。食事メニューが充実していて、ひとりで訪れても美味しい香港料理が味わえるので、私も時々寄らせてもらっています。

茶餐廳ですのでカフェメニュー(スイーツやドリンク)もいろいろとあるのですが、私は食事目的で訪れることが多いため、今回は食事メニューを中心にご紹介させていただきます。

香港チキン

香港チキンは、海南鶏飯(チキンライス)で供されるチキンに少し似ていますが、特製の葱生姜ソースがたっぷりかかっているのがポイントです。

香港叉焼(チャーシュー)

香港叉焼は塩味と甘みのバランスがちょうどよく、ジューシーに焼きあがっています。いずれもビールなどのお酒・ドリンクにも、ライスにも合う一品です。

どちらも、お食事メニューでライスとスープのセットにすることができます。香港チキンと香港チャーシューのどちらも味わえるハーフ&ハーフのお食事メニューもあるのは嬉しいところです。

スペアリブライス(豆豉排骨飯)

柔らかく煮込んだ豚肉が熱々のご飯の上に乗っかったスペアリブライス。蓋を開けると美味しそうな匂いが広がります。木製の器も食欲をそそります。

香港焼きそば(豉油皇炒麵)

庶民の味、香港焼きそば。細目で柔らかい面は、それでいてしっかりと歯ごたえがあります。香港醤油で炒めているので色も味もしっかりと付いていますが、決してしつこくはなく、食べ始めるとスルスルっと喉を通っていきます。

お食事メニューには美味しいチキンスープが付いているのですが、鶏肉の出汁が濃厚に出ていて、塩味も絶妙、じっくり煮込まれた鶏肉は骨から簡単に外れて、ホロホロの食感が私のお気に入りです。スープ単品での注文も可能です。

また香港料理のお店らしく、数種類の点心も楽しめます。

写真はプリプリのエビが美味しい海老蒸し餃子(蝦餃)。

また、ビール好きの私にとって、このお店の愉しみのひとつが香港から輸入した「サンミゲール」。もともとはフィリピンのビールですが、香港新界に醸造所があるため「生力啤」の名前で香港でも広く親しまれているブランド。このお店ではサンミゲールのレギュラーとライトの2種類を味わうことができます。

サンミゲール(左)とサンミゲール ライト。ラベルには「原産国:ホンコン」と記されています。

このサンミゲールと先ほどご紹介したチキンスープのチキンとの相性が非常に良くて、チキンをつまみにビールでほろ酔いになってからお食事をいただくのが、私のお気に入りのルーティーンです。

最後に、マギーさんのお店の人気の秘密、「焼きたてパン」にも触れておきたいと思います。イギリス文化の影響もあるのでしょうか、香港には色々なパンがあることをご存知の方も多いかと思います。不定期ではありますが、マギーズキッチンでも焼きたての美味しいパンが食べられます。

マギーズキッチンのインスタグラムを覗いてみると、美味しそうなパンの写真が並んでいます。

※どのパンも人気なので、売れ切れ御免!でお願いします。

この日にいただいたのは写真の菠蘿包。直訳するとパイナップルパンですね。日本のメロンパンに少し似ています。厚切りバターを挟むのが香港スタイル。

お店では、ご近所の方のほか、香港の方や香港に縁やゆかりのある方、お店の評判を聞いて少し遠方から県をまたいで来られる方もお見かけします。

「中国人しかいない。日本語が通じない。日本人の好みに寄せない」。昨今、そんな言葉で表現されるいわゆる「ガチ中華」とは、少し趣は異なるかもしれません。でも、このお店には多くの人に親しまれ愛されている「香港料理」のひとつのカタチがあります。

横浜でも最も東京寄りの鶴見区。品川から生麦までは時間帯にもよりますが京急本線で30分弱。生麦駅からお店までも徒歩で5分と掛かりません。香港料理にご興味がありましたら、一度、都内からでも足を運んでみてはいかがでしょうか。

キッチンに立つ店主のマギーさん

店舗情報

マギーズキッチン(Maggie’s Kitchen/美記茶餐廳) 

横浜市鶴見区岸谷1-22-16
045-710-032
https://twitter.com/mags_kitchen

Writer
記事を書いてくれた人

青木 邦彦

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