青山椒をふんだんに使った、かなり痺れるよだれ鶏

【ニューオープン】豊洲の「麻辣先生」で特製よだれ鶏と山椒ハイボール

3月8日、江東区豊洲に四川料理店「麻辣先生(マーラーセンセイ)」がオープンしました。

豊洲といえば、「ガチ中華」界では老舗として知られる東北料理店「永利」(1号店の池袋店は1998年オープン)が3店舗もあることで知られています。実は、初めて豊洲を訪ねたのですが、タワーマンションが林立する、これほどモダンな町だとは知りませんでした。

麻辣先生は、駅から徒歩5分くらいの場所にあるプライムスクエアビルの2階にあります。

3月17日にメディア向けお披露目会があり、研究会の山端拓哉さんと林正羽さんと一緒にお招きいただきました。まずはそのとき出されたメニューを紹介したいと思います。

まず前菜の「本場四川やみつきよだれ鶏」。中国語では「口水鶏(コウシュイジー)」。湯通しした鶏肉をぶつ切りにして、中華山椒や唐辛子、ラー油を加えた麻辣ダレをかけたものです。

本場四川やみつきよだれ鶏
青山椒をふんだんに使ったよだれ鶏

この店では2種類あって、左の写真は一般的なものですが、右の写真のように青山椒をふんだんに使った、さっぱりテイストだけど、かなり痺れるよだれ鶏もあり、好みで選べます。左は他の店でも味わえますが、右は少し珍しくて新鮮です。

これは「セロリと干豆腐の塩炒め」。干豆腐のしっかりした歯応えとセロリがよく合います。

「四川鮮花椒酸菜魚」は、これまで本サイトで何度も紹介した、「ガチ中華」の人気メニューです。白身魚を四川風の酸菜と一緒に煮込んだ酸っぱ辛いスープがおいしいです。こちらも青山椒がたっぷり入っています。

痺れる料理の連続にちょっと小休止。甘辛味の「牛バラとジャガイモの煮込み」はあとで触れますが、この店のオーナーの範徳龍(ハン・トクリュウ)さんの出身地である山東省で人気の料理です。

「自家製海鮮4種の春巻き」は、白身魚や貝柱、エビなどを使っています。

さて、四川料理といえば、外せないのが「薬膳香辛料石焼麻婆豆腐」。

この店では、四川省から取り寄せた唐辛子と漢源花椒、ピー県豆板醤に、数種類の薬膳香辛料を使用しているそうです。挽き肉も自家製で、厨房で調理人が肉を細かく切ってミンチにしているとか。

四川省から取り寄せた唐辛子と漢源花椒
ピー県豆板醤に数種類の薬膳香辛料

そして、しめの2品は「本場四川正統派汁なし坦々麺」と「四川ヤーサイと挽肉炒飯」。

本場四川正統派汁なし坦々麺
四川ヤーサイと挽肉炒飯

デザートの杏仁豆腐も自家製でほんのり甘くて、麻辣料理を食べたあとに、口に優しいです。

この店では、料理以外にも山椒を使っています。たとえば、「山椒ハイボール」をご存知ですか? 言葉のとおり、山椒入りハイボールなのですが、グラスに口をつけると、山椒の香りがして、飲むと口の中がピリピリと爽やかに痺れるという不思議なお酒です。

ほかにも「四川山椒漬け紹興酒」というお酒もあります。紹興酒漬けの料理はよくありますが、山椒漬けとは? そうなのです。これをご覧のとおり、紹興酒の中に青山椒がたっぷり入っています。紹興酒の甘い飲み口は変わりませんが、こちらもあとで口の中がシャープに痺れます。

会場には、麻辣連盟総裁の中川正道さんもいました。

麻辣連盟総裁の中川正道さん

中川さんは、5月14日~15日、中野セントラルパークで開催予定の「四川フェス@麻婆豆腐商店街」の告知をしていました。「四川フェス」は2年ぶりの開催となります。

オーナーの範徳龍さんに話を聞きました。

Q. 中国のどちらの出身ですか?

山東省の煙台です。1987年生まれです。

※煙台は山東半島の渤海湾に面した古い港町です。対岸には突き出るように延びる遼東半島の先端にあるのが大連で、両都市は食文化が似ているところがあります。

Q.「80后(バーリンホウ)」ですね。学生時代はどちらで過ごし、来日したのはいつですか?

※「80后(バーリンホウ)」は1980年代生まれの中国人のことで、中国で初めて生まれた消費社会を経験した豊かな世代の走りと言われます。それ以前の年長世代に比べ、進取の気性に富み、海外にも多く出国しています。

地元の煙台大学に進学しました。初来日は2008年で、福岡大学に交換留学生として来ました。その後、神戸の精密機械の会社に勤めましたが、中国支社勤務となったので、退社して再来日しました。その後、飲食業で働き、2015年に独立して四川料理店を開業しました。

※範さんは現在、都内に以下の4店の四川料理を経営しています。麻辣先生は4店めとなります。

  • 【九段下】純中国伝統料理四川料理 芊品香(センピンシャン)
  • 【飯田橋】純伝統四川家庭料理 芊品香別館(センピンシャベッカン)
  • 【神楽坂】正統派四川料理 天香宴(テンシャンエン)
  • 【豊洲】本格四川料理 麻辣先生(マーラーセンセイ)

Q. 範さんは山東省出身なのに、なぜ四川料理の店を始めたのですか?

山東省では、以前は四川料理を食べられる人は少なかったです。私の親の世代はそうです。でも、私が学生時代を過ごした2000年代は、中国全土に四川料理が広まった時代で、私の世代以下の若い人たちは四川料理が食べられます。

というのは、大学のキャンパスの周辺に四川省から来た労働者の人たちを相手にした安くて麻辣味の料理を出す食堂がたくさんできて、学生たちは好んで食べるようになったからです。これは煙台だけでなく、中国全土で起きたことでした。

そのうち、安い食堂だけでなく、本格的な四川料理を出す店が全国に生まれました。私たちは刺激の強い麻辣味に夢中になったのです。

Q. だから、都内の「ガチ中華」の店では、どこでも四川料理のメニューは欠かせないのですね。

はい、いまでは中国人の経営する店ならどこでも四川料理を食べられるようになりましたが、それが必ずしも本格的な四川料理とは限りません。ですから、私は現地から調味料を取り寄せるなどして、なるべく本格的な料理を提供したいと考えています。

Q. 山椒ハイボールとか山椒漬け紹興酒とかいったドリンクも面白いですね。新鮮でした。

はい、料理以外にも、あの刺激を味わってもらいたいと思いました。

麻辣先生は、都内によくある「ガチ中華」の店のように、メニューに書かれているのは中国語で、多くの日本人にはどんな料理かほとんどわからないというのとは違い、メニュー名はわかりやすい日本語が付けられています。だからといって、客層は日本人だけなのかというとそうではなく、近所にはタワーマンション住まいのリッチな中国の人たちも多いそうで、双方の顧客をしっかり押さえているようです。豊洲という地の利をうまく活かしているのですね。

(東京ディープチャイナ研究会)

店舗情報

麻辣先生

江東区豊洲5-6-36
豊洲プライムスクエア2F
TEL:03-5859-5080
https://twitter.com/marasensei2022

Photographer
写真を撮った人

山端 拓哉

プロフィール

青山椒をふんだんに使った、かなり痺れるよだれ鶏
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