中国でいま人気の外食トレンドはザリガニ料理と酸菜魚

「東京ディープチャイナ」という新しい食のシーンの特徴として、中国からたくさんの外食チェーンが出店していることは、すでにお話しました。

火鍋だけじゃない！中国外食チェーンが東京進出する理由とは

2000年後半から日本でのチェーン展開が始まった3大ブランド、福建省が拠点の「沙县小吃」、山東省の「楊銘宇黄燜鶏米飯」、甘粛省の「蘭州牛肉麺」で味わえる料理を紹介します。
リーズナブルに本格的な中国の地方料理を食べれる大型チェーン店ですので、一度はお試しください！

その多くは中国では人気のチェーンばかりです。

中国では毎年8月、外食チェーンのブランド力ランキングのトップ10を決める選考会（中国餐饮营销力峰会）があります。

この選考会では、いくつかのジャンルに分かれて約1000万人のインターネット投票によりノミネートされた外食チェーンが、専門家らによる最終審査を経て選ばれます。

興味深いのは、どのようなジャンルが選ばれているかで、いまどきの中国人がどんな料理を愛好しているか。つまり、中国の外食トレンドがわかることです。

2020年8月の選考会で選ばれたジャンルは、「火鍋」「鹵味」「小龙虾」「酸菜魚」「麺」「快餐」などでした。中国語なのでよくわからないものがあるかと思いますので、今回は前編として、最初の4つのジャンルを説明したいと思います。

2020中国餐饮十大品牌揭晓 品类头部品牌发展潜力大（2020年8月14日）

http://www.ce.cn/cysc/sp/info/202008/14/t20200814_35527012.shtml?from=timeline

まず火鍋のランキング（2020中国火鍋十大品牌榜）です。

トップ10のうち、すでに4つのブランド（1位/海底撈火鍋、4位/小龍坎老火鍋、9位/譚鴨血老火鍋、10位/小肥羊）が日本に進出しています。

海底撈火鍋（新宿店）

小龍坎老火鍋（新宿店）　※残念ながら2021年10月頃、閉店してしまいました。

譚鴨血老火鍋（新宿店）

小肥羊（新宿店）

さらにいえば、そのすべてが新宿に出店していることは驚きです。まさに「麻辣（マーラー）」中華が新宿を席巻しているといえそうです。もっとも、四川の麻辣火鍋は、日本でもずいぶん前から多くの店で提供していましたから、それ自体が珍しいとは感じないかもしれません。むしろ、いま起きているのは、本場中国の人気チェーンが続々登場していることです。

新宿が中国四川の成都？「麻辣（マーラー）」火鍋の激戦区に

四川火鍋は、牛脂や豆板醤、乾燥トウガラシ、中華山椒の花椒を使用した辛さ抜群のお鍋です。成都や重慶に行くと、夏でも汗をかきながら食べています。麻辣ブームにチャレンジできるよう、今回は火鍋の食べ方を「譚鴨血火鍋」さんの協力のもと、徹底解説いたします。

面白いのは、「鹵味」と「小龙虾」です。いったい何でしょうか？

鹵味（ルーウェイ）というのは、ハッカクなどの中華スパイスや漢方を使い、醤油で煮込んだ冷菜のことです。中国の人たちはこれが好物です。特に若い人たちがおやつ代わりによく食べます。

なかでも人気ナンバーワンといえるのが鴨脖（ヤーボゥ）です。

鴨の首（頭や爪、鎖骨、舌なども）をトウガラシや中華山椒の花椒（ホワジャオ）と一緒に煮込んで燻製にしたものですが、こんなに種類がいっぱいあります。

ランキングで2位になっている周黒鴨大夫人は、重慶出身の周富裕という人物が湖北省で1990年代に起業した店がもとになり、2000年代の半ばから大きく発展した鴨脖チェーンです。すでに都内に8つのフランチャイズ店（池袋や大久保、新小岩、西川口、蕨など）があります。

池袋の中華外食チェーン「周黒鴨」でザリガニ料理を実食！

中国の若者に人気のファストフードチェーンが続々東京にオープンしています。そのひとつ「周黒鴨大夫人」では驚くなかれ、ザリガニ料理や鴨の舌の燻製などが食べられます。店を訪ねたのは、学生レポーターの林正羽くん。未知なるチャイニーズ中華の世界をわかりやすく報告してくれました。

そして小龙虾（小龍蝦　シャオロンシア）ですが、なんとザリガニ料理のことです。

日本ではザリガニというと、泥川に生息しているせいか、とても食用というイメージはありませんが、中国では養殖ザリガニが、特に若い人たちの間で好んで食べられています。2000年代前半の頃から上海では、このようなザリガニ料理チェーンがいくつもあって、とても流行していました。

日本人の目にはかなりジャンクに見えますが、味つけはとてもスパイシーかつ濃厚で、ニンニクやショウガ、各種スパイスをたっぷり入れたものです。たいていの店で手が汚れないようビニール手袋を用意してくれます。

ザリガニ料理が、いま都内各地で食べられるようになっています。先ほどの周黒鴨大夫人でも食べられますし、上海料理店でも定番メニュー化しています。

高田馬場の早稲田通り沿いにザリガニ専門店の「蝦道（シャドウ）」（新宿区西早稲田3-21-2）という店も2020年9月にオープンしています。

この店には「ザリガニ丼」なる料理もあるようです。

なぜ高田馬場にこれほど中華料理店が増えているのか？

高田馬場に新感覚の中華料理店が続々オープンしています。それらの店は、早稲田通り沿いに連なるように点在しています。なぜこんなに増えたのでしょうか。2月8日にオープンしたカジュアル中華火鍋チェーン「賢合庄（けんごうしょう）」のオーナーの孫芳さんに聞きました。

中国の外食トレンドはジャンク系フードばかりではありません。いま都内でも食べられる店が増えていますが、酸菜魚（スアンツァイユィ）も人気ジャンルのひとつです。

もともと漁師が売れ残った小魚を農家で野菜の漬物（酸菜）と交換し、鍋で魚と一緒に煮込んだことから生まれたという重慶発祥の酸っぱく辛い発酵魚鍋です。酸味が加わることで、四川特有のシビれが抑えられるので、食べやすいのも人気の理由と思われます。

東京ディープチャイナ研究会では、いまこの酸菜魚はイチ推しのディープ中華の美食メニューだと思っています。

池袋には専門店の「成都姑娘」（豊島区西池袋1-35-2 明徳ビル4F　TEL03-5985-4271）もあります。一品が大きいので3～4人くらいのグループで行くといいでしょう。すでに人気店なので、予約したほうが無難です。ぜひお試しください。

（東京ディープチャイナ研究会）

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