なぜ高田馬場にこれほど中華料理店が増えているのか?

コロナ禍のさなか、高田馬場に中華料理店が続々オープンしています。それらの店は、早稲田通り沿いに連なるように点在していて、本研究会が名付けた「ディープ中華」の店ばかりです。

※ディープ中華とは、海を渡って日本に来た中国語圏の人たちが調理している本場の中華料理です。

今年2月8日にオープンした新感覚のカジュアル中華火鍋チェーン「賢合庄(けんごうしょう)」は、中国の芸能人で、人気テレビドラマ『愛情公寓』の主演俳優である陳赫(チェン・フー)さんによる出資が話題の海外第1号店です。

『愛情公寓』は、中国でヒットしたシェアハウス型賃貸マンションで暮らす男女7人を描いたコメディタッチの青春恋愛ドラマです。コロナ禍のため実現できませんでしたが、陳赫さんは2月のオープン時には来日して店のプロモーションに一役買う予定だったそうです。

陳赫さん主演の「爱情公寓 EP01」はこちら

高田馬場駅下車徒歩1分以内という近さにある賢合庄の店内は、以前本サイトで紹介した「譚鴨血老火鍋(タンヤーシュエラオフオグオ)」の伝統的な四川火鍋のスタイルとはまったく異なり、明るくポップな色合いの内装で、エレベーターの入り口に置かれた陳赫さんの等身大人形や、彼の友人の芸能人たちのサインや写真が展示されていて、ファンでなくても楽しめそうです。

4月12日にオープンしたばかりなのが、中国で5000店舗以上展開している人気麻辣烫チェーンの「楊國福麻辣烫(ヤングオフーマーラータン) 高田馬場店」です。2019年12月に池袋に初出店した同店は、昨年末上野御徒町、そして都内3店目として高田馬場が選ばれました。5月には大久保にもオープン予定だそうです。

個人オーナーによる小さなお店も4月19日にオープンしています。タピオカドリンクと上海風ランチを出す「金午陽(ジンウーヤン)」は、蘭州出身のオーナーが始めた店だそうで、上海に近い嘉興出身の女性が接客しています。

では、いつ頃から高田馬場にチャイニーズ中華の店が増えてきたのでしょうか。

地元メディア「高田馬場新聞」https://babashinbun.comの向井直也編集長によると「高田馬場に新しい中華料理店が増えだしたのは2018年頃からで、同年6月福建省の外食チェーンである沙県小吃がオープンしたのが始まり」といいます。

同店のオープンについては、当時日経クロストレンドというネットメディアでも報じていました。

沙県というのは、福建省の省都福州市の西側にある三明市の一地方のことで、中国全土にご当地スープ(炖罐)やワンタン(扁肉)、蒸し餃子(蒸餃)、和え麺(拌面)などを出すフランチャイズ店が6万3000店もあるという大チェーンです。

沙県小吃について

さて、当研究会では2021年4月現在、高田馬場の早稲田通り周辺にあるディープ中華の店を46軒確認していますが、そのうち2018年以降にオープンしたのは29軒でした。全体の3分の2を占めることから、この3年で店舗数が3倍増したことがわかります。ちなみに、2017年以降で調べると、33軒で72%を占めました。

なぜディープ中華のオーナーたちは高田馬場を選んだのでしょうか。

賢合庄の女性オーナーである孫芳さんは「高田馬場に目をつけたのは中国人留学生の存在です。いま火鍋の激戦区になっている新宿を避けたことも理由です」と話しています。

留学生が多いことが出店の動機となったのは、2019年9月に早稲田通り沿いにオープンした「阿香米線(アーシャンミーシェン)」のオーナーである周琴さんも同じでした。同店は中国に約600店チェーン展開している雲南名物の米線(ライスヌードル)の日本初のフランチャイズ店です。

こうして高田馬場は都内在住の中国の若者をターゲットとした出店が加速していきました。

実際、高田馬場は中国人留学生数の多い早稲田大学に近く、中国人向けの日本語学校や大学進学塾が多いことで知られています。それはディープ中華の顧客が潜在的に多くいることを意味しているのです。

本サイトの第1回目の記事である<「東京ディープチャイナ」事始め、都内に急増チャイニーズ中華のなぜ?>の中に次のような記述があります。

<背景にはいろんな事情がありますが、ひとつには日本に留学し、卒業後に都内で働く若い中国人が増えたことで、日本人客だけを相手にしなくても経営できる環境が生まれたことがあります。彼らは中国のさまざまな地方の出身者です。ディープ中華の調理人たちも、彼らの口に合う料理を提供し始めたというのが、「東京ディープチャイナ」の真相なのです。>

若い客層が多いことから、中国の最新の食のトレンドが真っ先に持ち込まれるのが高田馬場といえます。今回紹介した各店は、これまで日本になかった中国の外食シーンの最前線なのです。

いま高田馬場に生まれつつある新感覚のディープ中華は、これまでの日本の中華料理のイメージを大きく変えつつあるといっていいでしょう。

これらの店については、別の機会で報告したいと思います。

(東京ディープチャイナ研究会)

店舗情報

賢合庄

新宿区高田馬場4-8-7 3F
03-6908-9882

楊國福麻辣烫 高田馬場店

新宿区高田馬場2-14-8 
03-4362-8308

金午陽

新宿区高田馬場4-11-10
070-1463-3285

沙県小吃

新宿区高田馬場2-8-6
03-6205-6225

阿香米線

新宿区高田馬場2-14-9 アティレビル2F
03-6302-1887

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