最近、ある西池袋にある「ガチ中華」系の若いオーナーと話をしたのですが、彼の店では、いつも深夜23時から3時くらいまで客でぎわうのだそうです。
しかも、その客層の大半は、日本を訪れた西洋人ツーリストの人たちだというのです。
その店とは、2022年7月にオープンした中国系チキンバーガーの店「CALL A CHIKEN(コール ア チキン)」。
中国出身や現地で駐在、留学経験のある日本の方ならご存知だと思いますが、上海などの大都市圏では数多くの店舗を展開するファストフードチェーンです。
そのような店が東京にあることも驚きですが、なぜこの店は深夜だけ、客でにぎわっているのでしょうか。
同店オーナーは、その理由をこう話してくれました。
「西池袋にはたくさんのビジネスホテルがありますが、そこに宿泊している西洋人ツーリストたちは、夜の飲食を楽しむ先として、知名度のある新宿方面に行ってしまいます。
そんな彼らは新宿で食事を済ませて池袋に戻ってきた後、もう少しホテルの周辺で遊びたいなと思っても、深夜に開いている飲食店は少ないうえ、彼らにわかるのはハンバーガー店かコーヒーショップくらいなので、うちの店に集まってくるのです」
なんと、そういうことが起きているのですね。
残念なのは、大勢の西洋人ツーリストがステイしているのに、池袋には多言語化された飲食店情報が少ないせいで、スルーされてしまうというわけです。もっと豊島区にお金をおとしてもらうためには、池袋の外国人向け情報発信をもっと充実させるべきですよね。
ある日の午後、CALL A CHIKENを訪ねました。
それほど広くはない店内にいたのは、やはり若いバックパッカー風の西洋人カップルでした。
店内は「ガチ中華」とはまったく無縁のアメリカ西海岸風のポスターが貼られています。
では、この店ではどんなハンバーガーが食べられるのでしょうか。メニューを見ていきましょう。
ぼくもこれを注文してみました。KFCとの違いは、味つけにあります。
というのも、この店のハンバーガーには、以下のような「ガチ中華」風の調味料がトッピングできるからです。
メニューにはこう書かれています。
「トッピングをお選びください。
クミン
にんにく
甘梅
麻辣
ブラックペッパー
塩コショウ」
そう、クミン味や麻辣味のチキンバーガーが食べられるというわけなのです。
ほかにもこんなメニューがあります。
ペキンツイスター 560円
1人前Aセット 930円
スパイシーチキンウィング 420円
衣がしっかりついたフライドチキンで、味はスパイシーです。
チキンレッグ 830円
ボリュームたっぷりの骨付きフライドチキン。
そして、丸鶏のフライもあります。
フランス丸焼き 1880円
本格丸鳥フライドチキン オリジナル 1980円
とまあこんな感じの小さな店なのですが、漢字がわからない西洋人ツーリストのみなさんは、吸い込まれるようにこの店に入っていくのです。
ところで、すでにお気づきの方もいるかもしれませんが、高田馬場や上野にも、同じような上海発チキンハンバーガーチェーンらしき店があります。
たとえば、高田馬場の店はこちら。
ただ看板をみるかぎり「J.CHICKEN」であり、「CALL A CHIKEN」ではありません。
しかもイメージキャラのチキンのデザインがそもそも違います。
池袋店は、ギターを弾いているポップなキャラですが、高田馬場店のは、ゆるかわ系のかわいい感じのキャラなのです。
オーナーによると「実はどちらも中国に実在するハンバーガーチェーンですが、フランチャイズ展開としては大きく2つの系列があり、うちのような『CALL A CHICKEN』と『J.CHICKEN』があるんです。
でも、面白いのは、中国語の店名は『叫了个鸡排』なので、同じなんです」
そんなことになっているんですね。そのゆるさがいかにも中国らしいというべきか。
いつの日か、深夜の西池袋を訪ねて、この店のにぎわいを確かめに行ってみたいものだと思います。
(東京ディープチャイナ研究会)
店舗情報
CALL A CHIKEN(コール ア チキン)
豊島区西池袋1-41-1
03-6907-2897