6月23日、いまや「ガチ中華」界を代表する味坊グループの新店「香福味坊(こうふくあじぼう)」が秋葉原にオープンしました。
プレオープン中、研究会のメンバーたちとひと足先に店を訪ねました。場所はJR秋葉原駅昭和通り口徒歩1分のビルの地下です。これまでの味坊とはちょっと違う、モダンな内装の店です。しかも、過去最大規模(106席)の店内に用意されたロングテーブルが目に映えます。
味坊グループはこれまでタイプの異なる以下の8店舗を展開してきました
神田味坊(神田) | 味坊集団の原点。中国・東北地方の家庭料理 |
味坊鉄鍋荘(湯島) | テーブルに埋め込まれた鉄鍋で味わう中国・東北地方の郷土料理 |
羊香味坊(御徒町) | ラム肉特化型の味坊。名物・羊串とスペアリブは必食。 |
老酒舗(御徒町) | 北京の大衆酒場を再現。小皿料理と紹興酒飲み放題が人気。 |
香辣里(三軒茶屋) | ハーブや発酵食品、燻製を駆使した、珍しい湖南料理 |
宝味八萬(代々木八幡) | 熟練点心師がその場で包むこだわりの点心と広東料理 |
味東京(六町) | 味坊工房に付属する貸し切り宴会スペース。羊の丸焼きが名物。 |
好香味坊(学芸大学) | 中国の裏路地にある「小吃」を完全再現。13席の小さなお店。 |
香福味坊は9店舗目で、各店舗のいいところを集めて凝縮し、さらに深化させるのがコンセプトだそうです。朝7時〜翌朝5時までの22時間営業なので、早点(中国式朝食)からひとり飲み、大卓の宴会までさまざまな食のシーンを楽しむことができます。
プレスリリースでは、以下のように朝昼夜の食事シーンを説明していました。
● 朝(朝食バイキング): 早点と呼ばれる、豆乳、包子(肉まん)、お粥、味つき卵、油条(揚げパン)などの中国式朝食を7:00から提供
● お昼(ランチ): リーズナブルで親しみやすい中華定食ランチ
● 午後: ポット入りお茶と点心で飲茶やティータイム。ビジネスミーティングにもおすすめ。
● 夜: 味坊各店舗のそれぞれのスタイルで。
- 老酒舗スタイル……小皿のつまみを少人数で。二次会にも。
- 宝味八萬スタイル……広東風点心+ワインで女子会にも。
- 羊香味坊スタイル……ひとりでさっと羊で1杯。
店内のしゃれた雰囲気の中では、配膳ロボットも活躍していました。
厨師さんのTシャツもかっこいいです。前から思っていたのですが、この店の厨師のみなさんは体形も坊主頭も梁さんそっくりの人が多い?
この店のメニューを紹介します。「前菜(冷菜)」「点心」「焼き物(烧烤)」「揚げ物(炸)」「蒸し・煮料理(蒸・煮菜)」「炒め物(炒菜)」「麺・ご飯物(麺・飯)」「甘み(甜品)」に分かれます。「ラムの丸焼き(烤全羊)」※時間限定販売 もありますが、これはあとで紹介しますね。
さっそく人気の小皿料理から。
左上から四川料理の「よだれ鶏(口水鸡)」。その下は味坊でおなじみの「茹でラム肉(白切羊肉)」、中国では骨付きが一般的で「手扒肉(ショウバーロウ)」といいます。右は「玉子と青唐辛子焼き(尖椒煎鸡蛋)」で、やわらかいタマゴの中の青唐辛子のしびれが食を進ませます。
こちらは東北料理でおなじみの酸菜鍋の「ラム肉と発酵白菜煮込み(羊肉酸菜粉丝)」ですが、羊肉を使うところが味坊らしいです。
これはこの店オリジナルだそうで、「干しえびと凍り豆腐煮込み(金钩海米冻豆腐)」。中国でよくある肉や春雨入りの「砂锅豆腐(豆腐土鍋)」に似ていますが、こちらは干しエビ入りで上品な味でした。何より手づくりのしっかりした豆腐が美味。
もうひとつの注目が「自家農場採れたて野菜(自家农园时蔬)」。味坊さんの自家農園でその日にとれた旬の野菜の炒め物です。これは山東菜(さんとうな)というそうで、歯応えがしっかりしていて、野菜のうまみが感じられます。
厨房を覗かせてもらうと、おお、これは「ラムスペアリブの香り揚げ(酥炸羊排)」だ。
実は、このスペアリブの竹の器はオーナーの梁さんの手作りだそうです。梁さんは日本に来る前、美術の講師をしていたそうで、お店の内装など、自分の手でいろいろやりたい人なのです。素敵ですね。
それからこの「ニラ饅頭(韭菜饼)」、ニラが本当にたっぷり入っていて、肉汁も含めてアツアツがおいしいです。
研究会のメンバーにも感想を聞きましょう。植田美佳子さんは「胡麻団子(芝麻球)と聞くと、一口サイズのものを思い浮かべる人が多いと思うんですが、これはサイズが大きくて、中に入っているのもこし餡ではなく、黒ごまです! 甘すぎないので何個でも食べられてしまうんですよね。ごまが好きな方はひとりで3つは余裕でいけちゃうかも(実際、彼女は2コ食べてました笑)。おしゃれな照明でテーブルも広いのでゆっくり話をしながら落ち着いてご飯を食べられるのがいいと思いました」
永井美有さんが気に入ったのも中華スイーツの「金糸ナツメの冷餅(金丝枣凉糕)」。「もち米をつくのではなく、そのまま蒸していて、おばあちゃんのおはぎを思いだしました。すっきりさっぱりとした甘さで食べやすく、白ワインにも合うのではないかと思います。お料理はすべて少しずつ盛られているので、一度にたくさんの種類が楽しめます」。
そうなんです。この店にも当然、味坊名物のナチュラルワインが常時50種類ほど用意されているそうです。この日は、ちょっと珍しいジョージアワインの白をいただきましたが、中華によく合います。
さて、それから数日後、メディアを招いた食事会がありました。
この日のメインイベントは、なんといっても「羊の丸焼き(烤全羊)」です。オーナーの梁さん自らドーンと提供してくれました。
頭にタオルで鉢巻きした厨師さんたちが専用ナイフで肉を切り取っていきます。なかなかの迫力です。
メディアのみなさんも夢中で撮影していました。
切り分けられた羊肉は4種のスパイスを好みで付けていただきます。
上から「クミンなど羊用ミックススパイス」、右側はニラの花を塩漬けして乳酸発酵発酵させた「韮菜花」、下は生の唐辛子を塩水に漬けて乳酸発酵させた「泡辣椒(パオラージャオ)」、左は羊の丸焼きといっしょにオーブンで焼いたナスやピーマンなどの夏野菜のペーストだそうです。これ野菜の甘みが肉と合います。
さて、テーブルの並ぶ店内こそモダンでおしゃれですが、厨房はほかの味坊のお店と一緒で活気にあふれる様子がよく見えます。特に点心を蒸すとき、厨房内は蒸気で真っ白になります。そんな様子を眺められるのも魅力ですね。
特にこの店の「広東焼売(海鮮烧売)」はおいしいです。
ドリンクの話もしましょう。おなじみの「羊香トマトハイ」にはクミンが振りかけられていて、トマトの甘みにシャープなアクセントを加えていて、羊料理に合いますね。
それから中国酒、特にアルコール度数の高い白酒も揃っています。確かに羊料理には白酒は合います。左から茅台酒と五粮液のふたつの特徴を併せ持つという「小郎酒(しょうろうしゅ)」、中国の薬草白酒の「中国勁酒(ちゅうごくけいしゅ)」、最近売り出し中の四川発「舎得酒」シリーズのひとつ「沱牌六粮(だはいろくりょう)」、銘酒五粮液と同じ原料、製造方法を用いた姉妹品でアルコール度数控えめの「五粮醇 (ごりょうじゅん)」などです。
最後にオーナーの梁さんと娘さんの俊美さんの親子ショットをどうぞ。「開店おめでとうございます!」
(東京ディープチャイナ研究会)
店舗情報
香福味坊
千代田区神田佐久間町1-21 Chiyoda Terrace
(千代田テラスビル)B1F
03-3527-1658
https://www.ajibo.jp/shopinfo.html