「ガチ中華」を楽しむ10カ条! おいしい料理にありつくための道筋

「ガチ中華」を体験したいという人が増えています。

でも、「中国語でしか書かれていないメニューが読めないと、何を注文していいのかわからないのでは」「言葉が通じなかったらどうしよう」……。そんなためらいがあるかもしれません。

これは御徒町の「老酒舗」の看板に書かれた中国語の料理名。全部わかったらすごい?

実際にはそんな心配は必要ありません。お店の人に聞けば、喜んで教えてくれるはずだからです。なぜなら、店を訪ねてくれた日本のお客さんに自分たちの料理を食べてもらえるのは、彼らにとってもうれしいことだからです。それは、私たちが日本を訪れた外国人に和食を食べてもらうときの心持ちと一緒です。

そこで、あらかじめ知っておくと、戸惑わずにおいしいものにありつけるお役立ち作法を紹介しましょう。

名付けて、「ガチ中華」を楽しむための10カ条。

 

まず初級編から。

その1 シビれる辛さ=「麻辣(マーラー)」のシャープな味わいを試してみよう


広大な中国にはさまざまな地方料理があります。それぞれ味も食材も違います。

今日の「ガチ中華」を代表しているのは、麻辣の本場四川料理です。これまで日本人は本物の「麻」=シビれる辛さを知らずにきました。でも、いま日本にいながら本格的な味を体験できるのです。

麻の特徴は、口に入れた一瞬はわからないのですが、食べ物を飲み込んだあと、口の中にシャープなシビれが広がっていくというものです。唇がピリピリしてきます。でも、そのシビれがついには心地よい快感に変わっていくのです。

その2 味つけに注文をつけるのは悪いことではない


中国では客があれこれ料理の味に注文をつけるのは普通のことです。むしろ客の特権と考えられています。だから、遠慮しないで辛さの好みや塩加減などは事前に伝えましょう。特に麻(=シビれ)はトウガラシなどの辛さとは別物です。無理する必要はありません。あまり得意でない人は「微辣(ウェイラー)=ちょい辛」と伝えましょう。

その3 おすすめ料理は何かを聞こう


「ガチ中華」の店のメニューには、驚くほどたくさんの料理が並んでいます。この料理の数の多さが町中華との違いといってもいいかもしれません。

最近はどの店でも人気の四川料理は食べられます。それは上海料理や福建料理のような辛さはまったくない料理の専門店でもそうです。だから、メニューの料理の数が増えるのです。

こんなにたくさん料理があって何を選べばいいのだろう? そんなときは、あんまり難しく考えないで、店員さんに直接おすすめ料理を聞きましょう。喜んで教えてくれるはずです。

中国語でおすすめ料理は「推荐菜(トゥイジェンツァイ)」「特色菜(トゥスーツァイ)」といいます。おすすめ料理は食材の調達などの理由で、季節によって変わるので、たいてい店の黒板などに手書きされていることが多いです。もし読めなくても、それが何か尋ねてみましょう。

このあたりから中級編です。

その4 本当のおすすめ料理は店の壁に貼られている!


最近、ガチ中華の店ではランチや定食でもガチ料理を出すところが増えていますが、やはりランチだけでは本当のおすすめ料理とはいえません。せっかくガチ中華の店に来ているのに、それだけでは残念です。

さらにいうと、店に置いてある印刷したメニューでも、その店で食べられる料理のすべてが載っているわけではないというのが、ガチ中華の店の特徴です。

では、そんな特別なメニューはどうやったら食べられるのか。

実をいうと、その店のオーナーや調理人がお客さんに本当に食べてもらいたい料理は、なんと店の壁に貼られていることが多いのです。

これは「老酒舗」の店内の壁に貼られているおすすめ料理です。この店では壁中至る所に貼り出されています。

こちらは西武新宿線武蔵関駅前にある四川料理と大連海鮮料理を出す「翔ちゃん」の店内の壁に貼られたおすすめ料理。この店は私鉄沿線にあるので、地元では町中華的な存在でもあり、印刷したメニューにはチンジャオロース(青椒肉絲)や酢豚のような一般的な料理しか載っていませんが、壁には麻辣燙など、四川生まれのご主人が腕をふるう本格的な四川料理が食べられます。

また、ガチ中華の店では、よく新作料理を提供します。黒板などに「上新菜了(新作メニュー)」と書かれているので要チェックです。

これは高田馬場の湖南料理店「李厨」の店の外に置かれた黒板メニューで、新作料理が書かれていました。

その5 「打包(ダーバオ)」=持ち帰りはお気軽に


デリバリーが普及したいま、食べきれなかった料理のお持ち帰り(中国語で「打包」という)はまったく問題ありません。中国では日本よりひと足先にデリバリーサービスが普及した経緯があるため、ガチ中華の人たちは手際よく料理をパックしてくれます。

こんな感じで料理をパッケージしてくれます。なかには、その場で真空パックしてくれる店もあります。

その6 常連になって毎回違うメニューを頼んでみる


もし自分の気に入った味の料理がひとつでも見つかったら、その店の常連になって、いろんな料理を試してみましょう。そのうちだんだん「ガチ中華」の世界が見えてくるはずです。

さて、このあたりからは上級編。

その7 オーナーの出身地を聞いてみよう


表向き四川料理をうたう店でも、必ずしも四川出身のオーナーとは限りません。それは日本だからではなく、中国でも同じです。誰もが自分の故郷の料理を出すとは限らないのは、商売だからある意味当然かもしれません。

それでも、オーナーや調理人が中国のどの地方の出身かで料理の味は違ってくるのも確かです。出身地を聞くことで、その店に対する理解が深まり、おいしい料理にありつける可能性が高まるでしょう。

またオーナーや調理人と同郷の人たちが宴会をするケースも多く、そのときは店のメニューにはなく、普段は出さない郷土料理が供されることもあります。オーナーや調理人と親しくなるうちに、とっておきのまかないメニューや裏メニューにだってありつける日が来るはずです。

その8 日本語のコミュニケーションが難しいと感じたら……


基本的に日本語を話せる店員がいる店が多いですが、ガチ中華の店では、そうではないときもままあります。でも、相手を責めても始まりません。お互いの意思を通じさせるために苦労するのは海外旅行みたいなものと考え、その場を楽しもうというくらいの気持ちになってはどうでしょう。

ガチ中華のお店で使える中国語会話はこちら↓

その9 中国と同じ味にするには限界もあることも理解しよう


ガチ中華いえども、現地とまったく同じ味が実現できているとは限りません。まったく同じ食材や調味料を揃えられないせいでもあるし、そもそも水が違うということもあります。

それでも、最近は中華食材の種類も相当豊富になりました。食材にこだわるオーナーも増えています。そんな店を発掘していきましょう。

その10 彼らは日本人の来客を心待ちにしている


苦労して来日し、商売を始めたのですから、日本人に自分たちの料理を味わってほしいと思うのは人情です。店が増えたからこそ、本場の味で勝負したいと彼らは考えています。その気持ちを理解することも、おいしい料理にありつくための道筋といえるでしょう。

(東京ディープチャイナ研究会)

最新情報をチェックしよう!