最近、女性を中心に人気の麻辣燙(マーラータン)について、私の好きなお店の紹介と、なぜ人気になったかを自分なりの視点で分析してみました。
麻辣燙は唐辛子や花椒の他、いくつものスパイスからなる薬膳スープです。そこに麺類を入れるのが一般的です。
まずはお店の紹介です。
墨田区錦糸町駅南口にある縁苑(えんえん)というところです。最近の人気上昇もあいまって夜も並んでいるようで、今回夜行った際に私達が食べ終わる頃も7組程並んでいました。
2021年に開店した縁苑。内装の雰囲気はどちらかというとカフェにもありそうな感じです(でも男性が入りにくい、という雰囲気ではありません)。
オーナーと妹さん、他のスタッフさんとで運営しており、全員日本語が話せる中国人です。
お店は小さくてもベビーカーの赤ちゃんに優しく声かけていて、お母さんも快く居られそうでした。 席数は少ないのと、すぐに満席になってしまうため、昼休みはいつも席だけ予約してから行っていました。
常時50種類程のトッピングがあり、日本食にはない「鴨血(鴨レバー部位を絹豆腐のような食感にしたもの)」、「干豆腐(豆腐を固めて平べったくしたもの)」もあります。こちらでは5品で麺かご飯を選び1020円(税込み)です。
その他に、水餃子、ワンタン、芋団子(福建番薯丸)、魚丸・牛肉丸(中国版つみれ)等がそれぞれ120円から選べます。辛さは大辛までは無料、それ以上は追加料金です。
麺類は春雨、板春雨(幅広の春雨・寛粉)、ラーメン、刀削麺又は麺無しでご飯を選ぶことができます。
私は以前、職場がこの近くにあり、おいしいので麻辣燙を知らない職場の何人もの人に勧めたり連れていったりして麻辣燙の伝道師のようなことをしていました。
昨年9月にはテレビ「マツコの知らない世界」で麻辣燙を食べ歩く女性が好きな上位の店として取り上げられ、私の好きな店と同じ店が映っていて興奮しました。
職場が移転する最後の昼休みに店員に事情を話すと驚かれましたが、「没关系,下次晚餐可以来!(もんだいないよ、次は夜来てね)」と明るく話してくれました。
なので、今回は約束の夜訪問です。今回も伝道師として麻辣燙が初めての友人を連れて行きました。初めての人には、わかる人には火鍋、わからない人には鍋料理に何を入れたいか想像して選ぶといいということと、一番下の葉物も入れるとカサが増すよと話しています。
私は今回、羊肉、茎わかめ、エリンギ、カリフラワー、パクチーを中辛で、オプションで芋団子を選び、いつも刀削麺のところ、今回は雑炊ぽく食べたかったのでご飯にしました。
いよいよ出来上がりました!
パクチーは必ず最後に上に乗せてくれます。中辛は辛いのが苦手でなければ食べられる辛さです。
ここの麻辣燙はさらっとしていて飲みやすく食べやすいのが特徴です。
麻辣スープスパイスの配合が絶妙で、もういいかなと思ってもまた飲みたくなるのと、これがまた来たくなるのだとも思います。入れたラムは少しでもラムの味の存在感があり、茎わかめやカリフラワーと色々な食感を入れたのも楽しめます。日本では鍋にカリフラワーは入れませんが、中国では火鍋にカリフラワーやじゃがいもは定番で合う食材です。
今回トッピングした芋団子は食感が好きで他でなかなかお目にかかれないのでリピートしました。外側がさつまいもでん粉生地でプルプルしていて、中に青菜や肉が入っています。福建省の伝統料理だそうです。もしかしてオーナーが福建省出身かと思いきや、その通りでした。スープを飲む合間にスープをかけて食べるご飯はおいしいです。
そして、この店の良いところは卓上にすりごま器があるところです!
レンゲの上に好きなだけすりごまをかけてスープを飲むと、ごまの香ばしさが口の中に広がって麻辣燙のおいしさを引き立ててくれます。また、黒酢もあるので最後さっぱりしたい時はこれをたらすのもお勧めです。
友人はピリ辛の春雨を選びました。きれいな白湯も見えます。ちなみに辛さなしは白湯となり、これはこれですっきり系豚骨スープを味わえます。少し塩気が強いので、可能ならピリ辛でも辛さを足した方が味のバランスが整います。
ここの春雨は日本のスーパーで見るものより少し太めです。モチモチしているので食べ応えがあります。私はちなみに麺なら刀削麺がお勧めです。お腹いっぱいになれます。
中国人女性のお客さんが多い印象ですが、男性客もいますし、夜は中華居酒屋メニューのもみじ(鶏の爪)等の一品料理を注文する方もいます。以前送別会で利用した時に食べた油淋鶏や麻辣香鍋(汁なし麻辣燙)もあり、これらもおいしかったです。
オーナーの杉野さんが、忙しい時間にも関わらず快く取材に応じて下さいました。ありがとうございました!
皆さんもぜひこの麻辣燙を味わっていただければと思います!
さて、これからが本題です。
どうして麻辣燙(マーラータン)はこんなに人気で、受けているのでしょうか。
テレビでも取り上げられた他、数年前から韓国でも麻辣燙が人気になってきていて、韓国の有名人が麻辣燙を食べているのもを見て、これまで食べたことのなかった有名人のファン特に若い世代が食べ始めたと聞いていますが、私はそれよりも根本的な視点から見ていきたいと思います。
主に日本人の健康志向があると思います。以下、私が考える4つの理由です。
❶ 野菜が一度に取れる
最近は若い頃から健康志向の考えを持つ人が以前よりも多いと言われています。筋トレやタンパク質の話題も身近にありますし、コンビニではサラダチキンは今もなお売り手には外せない商品で、惣菜には1日の〇分の1の野菜が取れるという表示をよく見かけます。
近年セブンイレブンではカップデリ(透明の小さめのカップに副菜が入ったシリーズ)やスープの種類が増えて、いわゆる「弁当」の売上が落ちているそうです。
その理由もカップデリやスープの方が一度に野菜が取れるからだといいます。麻辣燙も一度に野菜が取れるスープです。
❷ グルテンフリーが選べる
ジョコビッチがグルテンフリーを取り入れてパフォーマンスがよくなったという話から、日本でも認知されるようになったと言われているグルテンフリーですが、小麦粉を食べて健康に影響はない人でも、グルテンフリーに安心感を持っている人は少なくありません。
少し前に話題になった香港の米線(米粉麺)の店「譚仔三哥(タムジャイサムゴー)」になぜ行くかとの街頭インタビューに、「グルテンフリーなので食べていても罪悪感がない」との回答がありました。小麦麺の方が、麺が水分を吸うので体重が増えやすいことは、私も体験済みです(笑)。
ちなみに私は疾患で一時期小麦粉が食べられなかった時期があり、そのような人にも助かりますし、一緒に行く方にグルテンフリーの方がいても、食事を共にすることができる店は日本ではまだ少ないので、そのような選択肢があることは嬉しい限りです。
❸ 既にある春雨と火鍋の認知度
春雨で思い出す商品といえばエースコックの「スープ春雨」ではないでしょうか。ロングセラーで、コンビニでご飯を済ませるときに買う人も多い商品です。そして春雨もまた、低カロリーで人気食品です。
また、火鍋は食べたことがなくてもテレビ等で見たことがある人も多いので、この2品が世に出ているからこそ、「辛いスープに春雨を入れた料理」または「1人用の火鍋」という説明が成り立ち、食べたことがない人にも想像しやすく、更に辛さも選べると聞けばチャレンジしやすいのではないでしょうか。
また、火鍋は好きでも複数人揃わないと食べにくい点もありますが、麻辣燙なら1人でも気軽に食べられます。
❹ トッピングを選ぶときのワクワク感
日本食で最初から食品を自分で取って選ぶ店は讃岐うどん店かバイキングくらいですが、麻辣燙の店では自分で具材を選ぶ店がほとんどです。常時50種類以上あるものからいくつか選ぶのは数えきれないパターン数があり、今日はとてもお腹すいているから煮卵も入れようとか、次回は違うものを入れてみようとか、日本食レストランにはない「食の楽しさ」があると言えます。
以上のことから、どちらかというと男性より健康志向が高い女性にとって、麻辣燙は受け入れられやすいのではないでしょうか。
(aokinapple)
店舗情報
縁苑 2号店
墨田区江東橋2-17-1