【上海発】旬のいま、水餃子なら山東系老舗と進化系の海鮮水餃子専門店へ

留学時代から今に至るまで、上海でずっと食べているなと思うものといえば、水餃子です。

と書くと、「上海で? 水餃子は東北地方の名物では?」と思う方もいるかもしれません。

が、上海は意外に水餃子が人々の日常に入り込んでいます。

上海市内には東北料理店ももちろんたくさんありますが、水餃子専門店の主流は「山東水餃」。最近は浙江省系、大連系の海鮮水餃子も人気です。湖南料理店や新疆料理店でもその地域らしい水餃子を用意しています。今は店舗数ゼロになってしまいましたが、10年ほど前までは常州発の「大娘水餃」も上海の定番でした。

水餃子は上海でも日常的に食べられています
水餃子は上海でも日常的に食べられています

というわけで今回は、上海で水餃子を食べるならぜひ選びたい山東系の人気店と、最近注目を集めている海鮮系水餃子のお店をご紹介したいと思います。

まずは山東系の老舗『山東手工水餃館』。

街の中に昔からある古い餃子屋さんという印象だったのですが、取材や仕事で会う地元の20代たちが数年前からこのお店の話をするようになったので気になっていました。

店舗のある延慶路はここ2〜3年で話題のカフェやショップが点在するストリートに変貌しましたが、それら目当てでやってきた若い子たちが昔からあるこのお店の魅力に気づいた形のようです。

メニューは山東水餃子ならではのエビ入り「鮮蝦水餃」のほか、ニラ玉入り「韮菜鶏蛋水餃」、スタンダードな豚肉の「純鮮肉水餃」など約10種類。1両6個で、2両からオーダーできます。
この2両という量が、普通にお腹が空いた状態の胃の大きさにぴったり。「両」という単位は、胃のサイズで作ったのではないかと思うほどです(人より食べる人、すごくお腹が空いている人は3両がちょうどいいかも)。

山東水餃子
2両は12個。ぴったり胃に収まる量

お勧めは豚肉とセロリ入りの「鮮肉芹菜水餃」(1両10元)と、定番の白菜入り「鮮肉白菜水餃子」(1両10元)。

八角や酸菜など、風味にややクセを感じる水餃子もありますが、こちらのお店のものは豚ひき肉、セロリ、白菜など素材の味だけなのが気に入っています。

ところで、日本で水餃子を頼むとお皿に5個くらいで出てきますが、上海の専門店ではこの量が基本。おかずは食べず、ひたすら水餃子だけでお腹を満たすのが普通です。

山東水餃子 セロリ入り
やっぱりセロリ入りがおいしい。具材と皮の小麦粉の風味のみのシンプルな味

そして、いっしょに頼みたいのが「餃子湯」(無料)。

餃子を茹でたお湯で、日本でいう「そば湯」のようなもの。店員さんに言うと出してくれます。これを飲むことで消化を助け、体を温める効果があるのだそう。

ただ、餃子湯は「必ず飲むもの」「通なら知っているもの」ではなく、「出してくれるお店で飲みたい人が飲めばいいもの」という感じ。

「餃子湯」と聞くと、味がついた餃子入りのスープを思い浮かべる人も多いようです。なので、知っていても知らなくても良く、出さないお店の方が多いです(出さないから悪い店ということでもなく)。
でも、『山東手工餃子館』は「餃子湯」、出してくれます。

餃子湯
餃子の茹で汁です
餃子湯と水餃子
こんなふうに、水餃子と一緒に

ブームの兆しを感じる海鮮系水餃子のお勧め店は『喜鼎』。

『山東手工水餃館』とは真逆の、最近できたやや高級なレストランです。場所は人気モール『長寧来福士』の敷地内にある古い建物内。近代の作家・張愛玲が在学した聖瑪利亜女中(女学校)の旧校舎をリノベーションした建物のなかにお店があります。

このお店の本店は大連だそう。海鮮系水餃子のほか、創作海鮮メニューを揃えています。
水餃子以外の個人的なお勧めは、「麻」の風味が強いラー油でイカを食べる「紅油墨魚仔」(78元)です。

イカラー油
話はそれますが、このイカラー油、お勧め

水餃子の看板メニューは「原汁海胆水餃」(22元)。なんとウニ入りです。皮の中にはふわふわに蒸されたウニが。つけだれは使わず、ウニそのものの味を楽しんでください、とのことでした。

海鮮系水餃子はほかに卵とエビ、アワビ、ナマコなど6種類あったのですが、つい「こういうお店が作る普通のを食べてみたい」と思い、定番の「西芹鮮肉水餃」(42元)を頼むことに。

結果、もう完璧な水餃子でした。茹でたて(湯気が見えるように撮ってみました)で、セロリと豚肉の味のみで完成されていて、皮もツルツル。ひと口で食べられるサイズもベスト。

妥協せず、奇をてらわずに進化した水餃子という感じでした。

ベストな状態の水餃子
ベストな状態の水餃子。いくつでも食べられます

という感じで、今後も進化系水餃子のお店は出てきそうな気がします。

最初にご紹介した『山東手工餃子館』は、ああいう感じの店構えながらストリート系のオシャレな若い子でいっぱいになっている日もあったりします。背景には不景気もあるのかもしれませんが、若い人たちに「映え」や「面子」ではないものが注目され始めているように、食もシンプルで簡単だけどこだわりがあって、リラックスできるものが支持されていくのかもしれません。

(萩原晶子)

店舗情報

山東手工餃子館

山東手工餃子館

上海市徐匯区延慶路14号
7:00-22:00

喜鼎

喜鼎

上海市長寧区長寧路来福士広場東区2号古建1-2階
11:00-15:00 17:00-21:00

Writer
記事を書いてくれた人

萩原晶子

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