中医師・村木のディープチャイナ漢方 Vol.6「夏の冷え対策とズボラ薬膳」

皆さんこんにちは。中医師の村木亜ゆみです。

今年は寒暖の差が激しいですね。どんな夏になるのかと心配しつつ、早く梅雨が明けてほしいと思いながら過ごす毎日です。

※実は今週6月27日(月)に早くも関東は梅雨明けしてしまいました。「異例の早さ」とのことで、これはこれで心配です。

梅雨が明けたら暑い夏がやってくる……と暑さ対策をすることが必要になりますが、昨今では夏の冷房対策も必要になってきました。「冷えは万病のもと」とよく聞きますね。

今日は前回も登場した「冷えはなぜ身体に悪いのか」について話しましょう。

まずは、「寒邪」の話をします。

前回は自然界の季節の移り変わりに伴う特徴、暑さや寒さ、湿気や乾燥の程度が激しくなったり、逆に程度が低すぎたりすると、人体に悪影響を及ぼすものとなる、と書きました。

※漢方では、人を病気にする原因を「邪気(じゃき)」と呼びます。邪気には、それぞれ季節ごとに「風邪」「熱邪」「湿邪」「燥邪」「寒邪」「暑邪」があります。

寒さも冬には必要ですが、程度がはなはだしくなると私たちの健康を害します。

漢方では、この「寒邪」が人体の気血の流れを滞らせると考えます。

寒いと私たちどうなりますか? 身体が縮まって動きが鈍くなりますよね。これが人体でも起こるというわけです。

漢方を知るきほんのき その6のイラスト-1

私たちの身体にはエネルギーである「気」と栄養である「血」を全身に運ぶルートがあります。道があるといったらわかりやすいでしょうか。

私たちの体内に気血を作る工場があって、そこから気血を積んだトラックがその道を走り、全身に届けているというイメージです。

この道を「経絡(けいらく)」と呼びます。これはまた改めて詳しく話をしますが、私たちの臓腑と全身をつなぐ道です。だから、トラックの積み荷が少なかったり、道が渋滞していたら不調が現れると考えます。

寒邪が人体を襲うと、寒さで体が縮こまりますが、経絡も同様に縮こまるので気血の流れが悪くなります。

つまり、気血を積んだトラックが走っている道が普段は6車線80キロだとすると、それが2車線に縮まるものの、トラックの台数は変わらないので渋滞が起きます。お届け先になかなか届かないということになります。

そんなわけで、「冷えると免疫力が低下する」とか巷ではいわれますが、漢方的には、冷えると身体のエネルギーと栄養が届きにくくなるので、身体が弱ってしまうと考えるわけです。

漢方を知るきほんのき その6のイラスト-2

というわけで、夏でも冷えには要注意。

冷房で冷えすぎないように着衣や飲食で工夫していくことが必要です。特に「くび」のつくところといわれますよね。首、手首、足首、そして「くびれ」で腰、この四か所は冷やさないようにといわれるようになりました。

冷えやすい場所だから、ということではありますが、漢方的に見ればここにさっき出てきた気血の通り道「経絡」が通っているからです。ここが冷えると縮まって気血の流れが悪くなるため、と考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

さて、夏の食養生のポイントは、「身体の熱をとる食材」と「身体を温める食材」をバランスよく摂ることです。

温めるといっても冬のようにがんがん温めるわけではなく、冷えすぎないように心持ちプラスすればOK。でもそれって、実は皆さんが既にやっていることなんです。

例えば、そうめん食べるときに、つゆに「薬味」を入れますよね。ネギとか生姜とか紫蘇とかミョウガとか。さすがにパクチー入れる人は見たことないですが、意外と合うかも…。

この「薬味」、は身体を温める性質があります。もちろん美味しくなるから入れるのですが、薬膳的に見れば理にかなっているわけです。冷奴も然り。知らないうちに薬膳の考え方を取り入れて、陰陽のバランスをとっているんですよね。

漢方を知るきほんのき その6のイラスト-3

薬膳は、あれこれ食べちゃダメというわけではなく、今の自分に必要なものを必要なだけ食べること、生薬が入っていなくても漢方の基本に基づいて食材を選んで料理すればよし、なかなか緩いです。村木は「切るだけ、煮るだけ、混ぜるだけ」、誰でもできるズボラ薬膳めざします。

さて、今回のズボラ薬膳は「鷄肉とアスパラのスパイシースープ」です。

鷄肉とアスパラのスパイシースープの画像

材料


  • 鶏肉(安かったので手羽先を使いました)
  • アスパラガス4本
  • ねぎの青いところ1本分
  • 生姜ひとかけ

今回は青唐辛子と台湾小白菜も入れました。

 
ねぎの青いところ1本分の画像
アスパラガス4本の画像
台湾小白菜の画像

作り方


アスパラガスはさっと茹でます。

アスパラガスをさっと茹でているところの画像

ねぎと生姜をごま油(材料外)で炒めます。

ねぎと生姜をごま油で炒めている画像

香りが出たら鶏肉を入れ、料理酒を加えて蒸し焼きにします。

蒸し焼き中の画像

鶏肉に火が通ったら、アスパラガスと水を加えて煮ます。気を補うなつめとクコも入れるとなおよし。

アスパラガスと水を加えて煮ている画像

今回は、台湾小白菜を追加しましたが、食材の性質を知って加えましょう。

台湾小白菜を追加した画像

今回の食材とその性質

食材性質
鶏肉甘、温 帰経は脾。食欲のないとき、疲れが取れないときなどに。
アスパラガス甘、涼 帰経は脾・肺。身体の熱を取る、食欲を増進させる。
白菜甘、平 帰経は脾・肺。身体にこもった熱を冷ます
ねぎ辛、温 帰経は脾・肺。身体を温め、食欲を増進させます。
しょうが辛、温 帰経は脾・肺。身体を温め、食欲を増進させます。
とうがらし辛、熱 帰経は心・脾。温めるはたらきが強いので、熱がこもりやすい人は要注意。

次回もお楽しみに~。

Writer
記事を書いてくれた人

村木亜ゆみ

プロフィール

最新情報をチェックしよう!