中医師・村木の“教えて!むー先生”その9「首を冷やしちゃいけませぬ」

読者の皆さんこんにちは。中医師の村木亜ゆみです。

今年は梅雨明け前から猛暑、酷暑の日が続きましたね。

長期予報では10月ぐらいまで続くとかなんとか……しばらくは暑さ対策が必要になりますね。

毎年様々な暑さ対策グッズが登場しますが、今年はみんな首になんか巻いてる……巻いているというか首にかけている? 何やらチューブ状のものを首につけている人をあちこちで見かけます。

ネッククーラーと呼ばれる類のものなんですね。ネットで調べると、いろんなものがあることを知る。

今回いただいた質問は、

「首のツボから風邪(ふうじゃ)や湿邪(しつじゃ)が入ってくると聞いていますが、今どきみんな首にかけているあれは大丈夫なんでしょうか?」

中医師・村木の“教えて!むー先生”その9「首を冷やしちゃいけませぬ」画像1

ふむふむ。ではこの質問について考えてみましょう。

まず「今どきみんな首にかけているあれ」、何のために使うかというともちろん「冷やすため」

この原稿を書くために熱中症についてネットでいろいろ調べましたが、熱中症にならないように、また熱中症の症状が出たら、首や脇の下、足の付け根を冷やしましょう、と書かれています。

この3か所には太い血管があり、そこを冷やすことによって血液が冷やされ、結果的に全身を冷やすことになるから。

体温は高ければ高いほどいいわけではなく、適正な温度ってものがあります故、生命の危険を感じる前に適切に冷やしましょう。

では、中医学的に見てみると。まず、質問にあった「風邪」と「湿邪」。私たちが生活していく中で、風が吹いたり適度な湿気があったり、暑さや寒さといった自然現象がありますね。

これらが人体の許容能力を超えて悪影響を及ぼす場合に「邪」という字をつけて表します。

風が吹くと窓や扉がバタバタ開いて家の中に風が入って来たり、気の枝を揺らしたりしますが、それが人体にも同様に起こると考えます。

だからかぜの初期は風邪が私たちの毛穴をぐりぐり開かせようとするし、私たちがめまいや痙攣をおこすのも、風邪が私たちを揺らすから、と漢方では考えます。なんか不思議でよくわからないと思いますが、いずれまた説明します。

湿度が高い日は、身体がだるかったり、重い感じがしたり、食欲が落ちたりしますね。それは湿気が体内に入ってきて溜まってしまうから、というのが漢方の考え方です。

私たちの身体にはきれいな水が流れていて適度に潤っているのが理想ですが、何らかの理由でその水がさらさら流れる春の小川ではなく、春のどぶ川のようになってしまうと身体のどこかに溜まってしまいます。

というわけで、風邪と湿邪が人体に入り込むと様々な不調があらわれるわけですが、「邪」にならない場合は人体にとって心地よいものとなるわけです。

熱中症になるより冷やして健康なほうがいいわけで。ただし、うちの業界では首、手首、足首、「首のつく場所」を冷やしてはいけないとよく言います。

これは、この3か所にはエネルギーである「気」と栄養である「血」の通り道である「経絡」が通っているので、そこを冷やしてしまうと私たちが寒い時に縮こまるように、経絡も縮こまって身体に気血が届くスピードが遅くなってしまうためです。

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ですので、適度に冷やすのはよいのですが、冷えすぎると筋肉も冷えて硬くなりますし、気血も届かなくなるので、冷やし過ぎは要注意です。屋外では首にかけっぱなしでもいいと思いますが、室内ではほどほどに。むー先生からのおねがいです。

というわけで、皆さん熱中症には気をつけて。水分、塩分、クエン酸必須。レモネードに塩をちょっと入れるといいかもね。

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次回もお楽しみに~!質問もお待ちしてまーす!

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