「カレー移民」と「ガチ中華移民」の著者ふたりがトークイベントやります

このたびTDC編集長の中村は『ガチ中華移民 日本で増殖する「本場中華料理」の謎』(太田出版)という書籍を上梓することになりました。

ガチ中華移民 日本で増殖する「本場中華料理」の謎』(太田出版)

ガチ中華移民 日本で増殖する「本場中華料理」の謎
https://www.ohtabooks.com/publish/2026/03/25201128.html

ぼくが東京を中心にガチ中華の店を訪ね歩くようになったのは、コロナ禍に入ったばかりの2020年春ことでした。

その後、約1年間のガチ中華発掘の成果をまとめた『攻略!東京ディープチャイナ 海外旅行に行かなくても食べられる本場の中華全154品』(産学社)と名付けた書籍を2021年夏に刊行、TDCのウェブやSNSの運営を始めると、多くの人たちが呼応し、このグループで情報をシェアしてくれるようになりました。それはぼくにとって心強い同志を得たのも同然でした。

それから今日に至る経過は、この5年間のウェブやSNSの履歴を振り返ると、いきいきと蘇ってきます。

最初は、中国のどの地方のどんな料理を供する店があるのか、いまでいうガチ中華の実態を把握することが目的でした。でも、少しずつそれが見えてくるうちに、なぜこれらの店が現れたのか、いま東京で何が起きているのだろうか、という問いに変わっていくのに時間かかりませんでした。

ぼくにとって意味深かったのは、多くの魅力的なガチ中華オーナーや調理人たちに出会ったことです。彼らはコロナ禍という苦境を乗り越え、大きく発展していきました。

また2023年頃から、ガチ中華の出店が多い池袋や上野で多くの人たちを案内しながら、それらの店で食べられる珍しい料理や経営者について説明し、新奇な事象の細部や出現の経緯を時系列に沿って解説するという「ガチ中華街歩きツアー」を実施するようになりました。

そのときツアーに参加してくださり、ぼくの話に深い理解や共感を示してくれたのは、現地事情をよく知る知的で情報感度の高い中華ファンの人たちとともに、いまの時代を生きる好奇心にあふれる若い人たちでした。

この本は、これまでTDCのSNSに投稿してくださった大勢のみなさんやウェブ記事を書いてくれたライター、そしてこれまで実施してきたイベントをサポートし、参加してくださった方々のおかげでかたちになったと言っても過言ではありません。みなさんへの感謝の気持ちでいっぱいです。

さて、簡単にこの本の内容を紹介させてください。

まず第一章では、これまでぼくが多くの人から尋ねられた、ガチ中華にまつわる疑問を9つに整理して、簡単にお答えすることから話を始めます。

第二章では、ガチ中華と呼ばれる、多くの日本人にとって未知なる21世紀の中国を体現したグルメシーンの特徴を解説し、そうした事象が次々に日本で生まれていることの意味を考察します。

ガチ中華移民 日本で増殖する「本場中華料理」の謎』(太田出版)

第三章では、日本各地の、特に大都市圏を中心に局所的にみられるガチ中華が集中的に出店している地域それぞれの諸相を、第四章では、ガチ中華の出現の時期や歴史的経緯を深堀りし、日本国内のみならず、世界各地にみられるグローバルな共時的現象であることを指摘します。

第五章では、ガチ中華の主な担い手である中国の人たちの胸の内や真摯な取り組み、彼らを支える日本のグルメ愛好家やファンのコミュニティの活動を通じて、今日の多文化社会に相互に向き合う人たちの姿を紹介します。

ガチ中華移民 日本で増殖する「本場中華料理」の謎』(太田出版)

そして終章では、さまざまな課題や矛盾を抱える、ガチ中華という現象の今後の展望や可能性を述べていくというものです。

本の紹介(太田出版ホームページより)
https://ohtabookstand.com/2026/02/gachityuka-01/

本書のタイトルは、出版業界の慣例により出版社が決めたものですが、本文には「ガチ中華移民」というワードは一度も使われていません。もしかしたら、このワードに違和感を覚えた方もいるかもしれません。

この造語は、多くの読者に、ガチ中華なるものが今日の「外国人問題」に象徴されるひとつの社会現象であることを気づかせるために考え練られたものなのです。でも、この本は取材者が対象を一方的に記述していくルポルタージュというよりも、書き手であるぼく自身が彼らの世界に身を置き、関係性を築きながら、内側から観察した事象を綴っていったものです。

そのため、親しい中国人オーナーたちは、このように自らを名づけられたことに驚くかもしれないと思わないでもありません。ではなぜこのようなワードが採用されたのか。こうした込み入った事情について、彼らに説明することも、自分の役割なのだと思っています。

実を言えば、担当者(30代の若い編集者です)に聞いたところ、「ガチ中華移民」なるワードは、ぼくの知り合いでもあるライターの室橋裕和さんの著書『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』(集英社新書)から着想を得たものだと言うのです。

『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』(集英社新書)

この本、冒頭の「はじめに」の次の一文が実に面白いです。

「ナン、おかわりどうですか?」

室橋さんは続いてこう書いています。「カレーとナンのセット800円。このメニューはいったい、いつ、誰が考えたのだろうか?」

こうして室橋さんは「なぜインドカレー店は日本のどこにでもあるのか?」という謎を紐解いていくわけです。その姿は、実を言えば、ぼくの共感を呼ぶものでした。「ここに、自分と同じようなことを考え、訪ね歩いている人がいる」。そう思ったものです。

そして、うれしいことに、室橋さんには、ぼくの本の帯の次のようなコピーを書いていただいています。

「読めないナゾ漢字の向こうには日中関係のリアルがある。
胃袋から現代を知る、美味しいドキュメント」

確かに中国文化に接する機会の少ない人たちには、まず簡体字という中国でしか使われていない簡略な文字を「読めないナゾ漢字」と思うのは不思議ではありませんね。室橋さんもまた、今回のぼくの本が、彼の仕事と同様に、食を題材にした謎解きをテーマにした内容であることに共感してくれているのだと思いました。

さて、このたびジュンク堂池袋店で開催される、ぼくの新刊の発売記念トークイベントに、室橋裕和さんが登壇してくださることになりました。

ジュンク堂による概要はこちらです。

「これまで日本人が慣れ親しんできた中華料理とはまったく異なる、本場の味を楽しめる〈ガチ中華〉のお店が東京を中心に各地で急増しています。ガチ中華とは、いったいどんな料理で、誰が、なぜ、どのようにして日本に持ち込み、東京を中心にこれほど多く出店されるに至ったのか――東京ディープチャイナ研究会代表・中村正人さんが、〈ガチ中華〉という社会現象を通じて日本の多文化社会の姿を描いた『ガチ中華移民』が、3月27日に太田出版より刊行されました。

本書の刊行を記念して、同じく日本各地で見られるインドカレー屋の実情を書いた『カレー移民の謎』(集英社)の著者・室橋裕和さんとの対談イベントを開催いたします。ガチ中華とインドカレーの共通点、相違点とは何か。経営・管理ビザの要件厳格化はそれぞれにどのような影響があるのか。お二人に思う存分語り合っていただきます。

なお当日は池袋にある『ムーさんの蒸鍋館』にガチ中華料理をご提供いただく予定です。美味しいガチ中華とともにトークをお楽しみください」

ということで、全国に増殖しているインネパレストランの謎を解いた室橋さんと、ガチ中華出現の謎を解明してきた中村というふたりが、ガチグルメの今とその担い手である人たちの姿についてトークすることになりました。

ぜひ足をお運びいただけるとさいわいです。


トークイベント【19:00開演】ガチ中華とインネパカレーの過去・現在・未来『ガチ中華移民』刊行記念イベント

開催日時

2026年04月17日(金) 19:00~
18:20開場 19:00開演
会場:9F イベントスペース

入場料

2300円(当日会場にてお支払い)
https://honto.jp/store/news/detail_041000127394.html

※お申込みは下記フォームにご入力ください。
https://www.maruzenjunkudo.co.jp/entry/260417nakamura

予約申込期間

2026年3月20日(金)12:00~2026年4月17日(金)17:00

ガチ中華移民 日本で増殖する「本場中華料理の謎」
(太田出版)

ガチ中華移民 日本で増殖する「本場中華料理」の謎』(太田出版)

(中村正人)

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