香港人点心師を招聘し、本場の味にこだわる代々木の「点心厨房」

香港人点心師を招聘し、本場の味にこだわる代々木の「点心厨房」

2021年12月に代々木にオープンした「香港飲茶 点心厨房」を当研究会で最初に発掘したのは、立教大学観光学部の植田美佳子さんでした。彼女は今年4月上旬、Facebookの東京ディープチャイナ研究会グループページに以下のような投稿をしています。

「日本でいちばん本場香港の味に近い飲茶を食べられるお店に行ってきました!

JR代々木駅より徒歩5分の場所にある『香港飲茶点心厨房』は、香港出身のオーナーが4年前日本に移り住んだ際に直面した、自分が満足いく味の飲茶のお店がない!という一大事を解決するために生まれたお店なのです。これを聞くだけでもう味の保証はされたと言っても過言ではないですよね?

店員さん曰く、全てのメニューがおいしいとのこと(いやもうそれは絶対そうでしょ!笑)。なので、私が全8品食べた中で特におすすめだと感じたものと、店で偶然知り合った、香港へ何度も足を運んで本場の飲茶を召し上がったことのあるという上海出身の美食家のご夫婦があまりのおいしさに感動し、思わずおかわりしてしまった一品を紹介します!

もしよろしければ行った際のメニュー選びの参考にしていただけると嬉しいです✨

私のおすすめ

海老蒸し餃子(筍尖鮮蝦餃)

海老蒸し餃子(筍尖鮮蝦餃)

海老餃子自体も大きく、中にはプリプリの海老の餡がたっぷり詰まっていて噛むたびに幸せ溢れる。

蒸し鶏の足(もみじ)のチリ豆豉ソース(豉汁蒸鳳爪)

蒸し鶏の足のチリ豆豉ソース(豉汁蒸鳳爪)

歯がいらないほど柔らかく、こってりとした味わい。ピリ辛で食欲そそる。

ベイクド胡麻チャーシューパイ(香麻叉焼酥)

ベイクド胡麻チャーシューパイ(香麻叉焼酥)

パイ生地の中にチャーシュー餡が入っており、甘じょっぱさがたまらない。パイとクッキーの間のような生地でサクサクしっとり、不思議な食感がおいしくて癖になる。

落花生粉をまぶした黒胡麻入りもち米団子(擂沙湯丸)

落花生粉をまぶした黒胡麻入りもち米団子(擂沙湯丸)

運ばれてきた瞬間にピーナッツのいい香りが漂ってきて、一口食べると黒胡麻がトロッと溢れ出す。この組み合わせは間違いないおいしさ。

ご夫婦がおかわりした一品

ハチの巣(牛の胃袋)のカレーソース蒸し(沙爹金錢肚)

ハチの巣のカレーソース蒸し(沙爹金錢肚)

これが頼んだ全8品(店員さんのご好意で入ったばかりの開けていない紹興酒を添えてくれました)

頼んだ全8品の料理

ちなみに、写真左上は蓮の葉ちまき(古法糯米雞)、右上は湯葉巻きオイスターソース(蠔皇鮮竹巻)、右下は大根もちのXO醤炒め(XO醤炒蘿蔔糕)です。

最後に、オーナーさんがさらっとおっしゃった言葉で締めくくりたいと思います。『香港の高級点心の味を低価格で提供しているからね〜』

本っ当においしくてコスパも良い『香港飲茶点心厨房』へ急げ〜〜🏃‍♀️💨」

この投稿に触発されて、いつか行ってみたいと思っていたら、今年6月下旬、友人の中国人に誘われ、偶然にもこの店を訪ねることになりました。

広東出身の人たちで、彼らは新しい香港・広東系のお店がオープンしたと聞きつけると、連れ立って味見をしに行くので、一緒に行かないかとよく誘われるのです。

彼らと行くと、注文はどんどん勝手にしてくれるので大助かりです。

その日注文したのは、まず「乾炒牛肉」。河粉(ホーファン)というきしめん状の平たい米の麺を牛肉やニラ、モヤシ、青菜などの野菜と一緒に醤油で味つけした焼きそばです。茶餐廳の定番メニューで、こってりした甘辛い味はクセになります。広東人たちによると、この味で店の料理人の腕の程度がわかるんだそうです。

それから「山竹牛肉球」こと、蒸し牛肉団子。こういうメニューは自分ではなかなか選びませんが、乙な味です。

山竹牛肉球

「蠔皇鮮竹巻」こと、湯葉巻きオイスターソース。湯葉の食感とともに、染み込んだソースの甘みがいいです。

蠔皇鮮竹巻

そして「鮮蝦蒸腸粉」こと、エビ入りチョンファンです。

鮮蝦蒸腸粉

ほかにも、植田さんが食べていた蒸し鶏の足(もみじ)のチリ豆豉ソース(豉汁蒸鳳爪)やベイクド胡麻チャーシューパイ(香麻叉焼酥)、そして上海人夫婦のイチ押しのハチの巣(牛の胃袋)のカレーソース蒸し(沙爹金錢肚)なども。けっこうかぶっていました。

6月当時、この店の点心師は、香港出身の黄偉洪という人で、以前銀座の福臨門にいらしたそうです。広東人たちの味の評価はなかなか上々のようで、特にマンゴープリンはおいしいと思いました。完熟したマンゴーをそのまま食べているようフレッシュさです。

マンゴープリン

ところで、この店にはハンドルネーム「李琳華」こと、Nanakoさん(日本人)という女性スタッフがいて、当研究会のFacebookにもときどきコメントを寄せてくれるので、SNSつながりになっていたのですが、なんでも点心師が11月から変わったとの知らせを聞き、店を再訪することになりました。

席数17のこぢんまりとした店内

席数17のこぢんまりとした店なので、予約は受け付けていません。

そのときお会いしたのが、この店のオーナーで中国遼寧省大連出身の高橋美佳さん。この店は彼女と香港人のふたりが共同オーナーです。大連は港町で、海鮮料理や点心がおいしい町です。彼女が香港人のパートナーと一緒にこの店を始めたのは、本場の点心を提供する店を出したかったからなのです。

彼女は言います。「うちの点心師は香港人しか使いません。だから、香港から点心師を招聘し、本場の味にこだわっています」

現在、この店の点心師は香港荃湾区出身の鄧郭強さんです。数カ月前に来日したばかりだそうです。

点心師の鄧郭強さん

「得意な点心は何ですか?」と尋ねたら、彼ははにかみながら「叉焼酥(チャーシューパイ)」と答えてくれました。ちょっと意外でしたが、なんかかわいいおじさんです。

さて、この日はエビワンタン麺をいただきました。

エビワンタン麺

本場香港と同様、ワンタンが麺の下に隠れて出てきたので、ちょっとうれしくなりました。これは香港特製のゴワゴワ麺がスープに浸って伸びないようワンタンの上にのせるのだという説と、麺の上にワンタンがのっていると冷めやすくなるから、スープの下に入れてアツアツが食べられるからという説があります。

これが隠れていたエビワンタンです。ちなみにこの麺は香港から取り寄せているそうです。

香港から取り寄せている麺とエビワンタン

店長から「これを使ってください」と差し出されたのは、この店の特製XO醤でした。甘みがありながら、複雑な味わいです。どれに付けてもおいしいそうです。

特製XO醤

最後にマンゴープリンをいただきました。

面白いものですね。点心師が変わると、点心だけでなく、スイーツの味も変わるのですね。以前のものはとても濃厚な感じでしたが、今度は少しだけさっぱりとしていて、個人的には食べやすい気がしました(好みは個人差がありますね)。

いずれにせよ、この店には何度も来て、すべてのメニューを制覇してみたくなります。

それから、今年7月、美佳さんたちは目黒に2店目となる点心の店「貳釐館 (ニリンカン)」をオープンさせました。

1階はカウンター、2階はテーブル席。代々木の点心厨房に比べて、店内は場所柄おしゃれです。こちらもどうぞ。

(東京ディープチャイナ研究会)

店舗情報

香港飲茶 点心厨房

香港飲茶 点心厨房

渋谷区代々木1-42-4
03-6300-6889

https://www.dim-sum.net

貳釐館

貳釐館

品川区上大崎2-13-28
ソフィア白金1-2F
03-4363-4753

https://www.instagram.com/nirinkanjp

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