【関西ディープチャイナ01】京都の留学生に人気の中華クレープ「煎餅果子」

我が家は龍谷大学の大宮寮のすぐそばにあります。大宮寮に住む留学生の李さんは、「ときどきたまらなく煎餅果子(ジエンビングオズ)が食べたくなる」と言います。

そんなとき、李さんは大学に近い中華食堂の「常楽小吃」に行きます。ここは京都に住む中国人留学生なら、みんな知っていると言うぐらい煎餅果子で有名なお店です。

煎餅果子とは、ひとことでいえば、中国版クレープです。小麦粉生地の上にタマゴや果子(グオズ)、ネギをのっけて焼き、甘辛いミソを塗って、折りたたんだもの。果子とは、揚げパンでもなく、天かすでもない食べ物ですが、これが入っていると、煎餅果子の外はしっとり、中はサクサクに仕上がります。

煎餅果子は、北京の隣にある天津の名物ですが、中国北部の定番の朝食でもあり、スナックでした。それが徐々に中国全土に広がり、いまはどこに行っても食べられます。まさに中国の国民食と言えます。

今年のGWに常楽小吃の煎餅果子を食べに行ってきました。常楽小吃は、地下鉄「くいな橋」駅から徒歩約10分、国道24号線沿いにあります。正直言って、あまり商売に向かない場所ですが、12時半すぎの常楽小吃は若いお客でほぼいっぱい。飛び交う中国語に大陸にいるかのような気分になりました。

私たちは香辣牛肉麺(シャンラーニュウロウミエン)と炸酱麺(ジャージャンミエン)と煎餅果子を注文。

小柄ながらパワフルな雰囲気の老板娘(女性支配人)に「大碗?普通? 辛さは?」と聞かれ、普通と微辛(ウェイラー、やや辛い)を選びます。あまり待たされることなく出てきた香辣牛肉麺は、コクのあるすっきりスープが美味しく、手打ちの幅広麺もコシがあります。

1年以上中国に行っていないせいか、微辛とは思えない辛さ。上海や広州周辺を除き、大陸は日本よりかなり辛めです。香辣牛肉麺の辛さに思いっきり大陸を感じました。

炸酱麺は、ねっとり重たい麺と黄醤と呼ばれるピリ辛ミソ味がまさに正宗(本場の味)!

芝麻醤も利いてます。芝麻醤が入ることで丸い味になっています。

さて、期待の煎餅果子をかじると、まさにサクサク。タマゴが入って、しっとりした表面の生地との食感の違いに感動! ピリ辛のみそ味も美味しく、留学生がはまるのも納得です。

常楽小吃の煎餅果子を求めてやってくるお客がとぎれないのは、果子が入っているからです。果子は大阪や京都では売られておらず、かわりに油条と呼ばれる揚げパンを入れるところもあります。これではサクサク感がでず、重くなりすぎます。サクサクの食感を生む果子は、老板娘の手作り。毎日、果子を自分で揚げるそうですよ。このひと手間が京都中の留学生に愛される理由です。

2回目は、前回食べられなかった湖北省武漢名物の熱干麺(ルーガンミエン)と西安名物の肉夹馍(ロージャーモウ)、紅焼土豆肉飯(ホンシャオトゥードウファン)を注文。

熱干麺は、武漢の定番の朝ごはんです。「朝からこんな辛い麺を食べているのか!」とびっくりするような辛さが特徴。常楽小吃のものもかなり辛く、普通の辛さでも辣油を入れる必要なし。

肉夹馍は西安で食べると素焼きのパサパサした食感の馍(モー)を使いますが、西安以外で食べると蒸しパン風の生地に挟むところがあります。常楽小吃のものはそんな感じです。細かく刻んで、とろけるような食感の豚バラ肉がまさに大陸の味。

紅焼土豆飯は、中国版肉ジャガのぶっかけ飯。色どりを全く気にせず、かけただけという感じが100%大陸の食堂! 四川留学時代に通った食堂を思い出しました。ちなみに常連さんらしき留学生には鶏蛋肉盖浇飯(ジーダンロウガイジャオファン 壁の写真、真ん中列最上段)が人気です。

常楽小吃を切り盛りする王さんは、もともと大阪で食堂をしていました。12年前に京都に常楽小吃を開きました。当時、このあたりは3軒しかお店がなく、中国人が経営する食堂の第一号店だったそうです。約10年前に語学学校や予備校(塾)ができ、中国人留学生が増えるにつれ、中国人向けの店が増えていったと言います。

東京だけでなく、京都にもこんなすてきな食堂があります。みなさんも常楽小吃で本場の煎餅果子を食べてみませんか!

店舗情報

常楽小吃 

京都府京都市伏見区深草下川原町125
080-3107-1899
定休日土曜日
2021年8月より改装。8月は休業予定

Writer
記事を書いてくれた人

浜井 幸子

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