四谷三丁目で味わう雲南名物、身体に優しいライスヌードルと薬膳スープ

中国各地の珍しいローカル中華が東京にあふれています。

なかでも食通の間で知られる四谷三丁目の「食彩雲南 」では、中国雲南省の名物料理である過橋米線(かきょうべいせん 中国読みは「グオチャオミィシエン」)や汽鍋鶏(チーグオジー)が食べられます。

過橋米線や汽鍋鶏についてはこちら↓

中国南西部に位置する雲南省は、ミャンマーやラオス、ベトナムなどと国境を接し、20以上の少数民族が暮らしています。彼らはもともとタイ人やベトナム人と共通の祖先を持っていて、食文化はむしろ東南アジアに近いといえます。

雲南料理は中国では「滇菜(ディエンツァイ)」と呼ばれ、四川料理の影響を受けた辛さが特徴ですが、これに本来の少数民族の料理の特徴である酸味が加わり、バラエティ豊かな味覚がつくり出されています。

雲南名物料理のひとつである過橋米線は、鶏ガラや豚骨などをじっくり煮込んだ塩味ベースのスープに米粉でつくるライスヌードル(米線)を入れます。スープはあっさりしているのに深いコクがあります。

米線はビーフンのように細くなく、かなり太めで丸い断面の麺で、つるつるもっちりした食感が特徴です。米線は油の吸収率が低く、低カロリーなヘルシー麺で、グルテンフリーの食品です。なお日興苑では、国産米粉を使って自家製米線を提供しています。これは日本ではこの店だけです。

米線専門店である食彩雲南では、過橋米線のメニューにもいくつかの種類がありますが、代表的なのが「山珍過橋米線」です。

手前に並ぶ小皿にのっているのは、薄くスライスした肉や魚、野菜、モヤシ、漢方食材のサナギダケなどの各種キノコ類です。右上の白い麺が米線です。

テーブルにこれら一式が運ばれると、グツグツと煮え立つスープの中に手早くこれらの具材を入れ、最後に米線を入れます。

なぜ小皿の下に木製の橋のような台が置かれているかというと、過橋米線の名称の由来と関係があります。昔、科挙試験の勉強に打ち込む夫のために、奥さんが毎日橋を渡って食事を届けていたのですが、夫が口にする頃には食事が冷めていました。ある日、鶏を土鍋で煮て届けたところ、スープの表面を鶏の油が包んで熱さが保たれ、米線を入れると美味しいと夫が喜んでくれました。その後、夫は科挙に合格したという夫婦の逸話に基づいています。

さて、日興苑のもうひとつのおすすめ料理が汽鍋鶏です。汽鍋鶏は身体に優しいヘルシーな薬膳スープです。

この料理のレシピは独特で、鍋底の中央がろうと状に突き出し、その頂上の穴から蒸気を鍋の中に入れ、循環させることによって具材を蒸すというもの。これを汽鍋といいます。

水を一切使わずに素材から出る水分と蒸気で4~5時間蒸し煮します。味つけは塩だけですが、透き通ったスープには素材から染み出す旨味が凝縮されています。

メイン食材は丸鶏を使います。内臓以外を食べやすい大きさにぶつ切りにして、鍋に入れます。骨から良いダシが出るからです。

このスープが「医食同源」といわれるのは、たくさんの漢方食材を入れるからです。たとえば、クコの実(枸杞)や天麻(テンマ)、高麗人参、当帰(トウキ)、サナギダケ、ショウガなどです。

これがひとり用の汽鍋鶏です。スープと一緒に茹でたモヤシの上に花椒と青トウガラシのスライスがのったお碗が出てきます。

お店の人がスープから鶏肉を取り出して、モヤシの入ったお碗に移してくれます。これに醤油ダレをかけて食べると、お酒のつまみにぴったりです。スープはクコの実や高麗人参と一緒に味わって飲みましょう。透明なスープですが、味はかなり濃厚です。

食彩雲南では、伝統的な米線だけでなく、海鮮や担担味、鶏肉、野菜味など、さまざまな味の米線があります。これは牛肉の麻辣米線です。

また米線以外の雲南料理も食べられます。これは雲南名物の酸湯魚という酸っぱくて辛い白身魚の鍋で、どーんと花椒がのっています。

これは「火瓢牛肉(フオピィアオニウロウ)」という牛肉やハチノス入り激辛鍋。これも雲南テイストです。

オーナーの牟明輝(ムメイキ)さん(左)は中国遼寧省の大連出身。2018年6月に日興苑をオープンしました。共同経営者兼総料理長の張永富(チョウエイフ)さん(右)は中国政府認定の最高級の調理師資格である特級厨師を取得している方です。

牟さんは東池袋にもう一軒、雲南料理店「食彩雲南 」を営業しています。また6月6日にオープンした池袋の中華フードコート「食府書苑」でも米線と気鍋鶏の店を出しています。

こんな手の込んだ伝統薬膳料理ですが、牟さんの店では1000円前後のリーズナブルな料金で味わえます。身体に良くて美味なるライスヌードルと薬膳スープを一度試してみませんか。

(東京ディープチャイナ研究会)

店舗情報

食彩雲南 四谷三丁目店

にっこうえん しょくさいうんなん かきょうべいせん)
新宿区四谷3-3 エスパスコンセール1F
03-5363-8338
https://nikkouen-shokusaiunnan.owst.jp

食彩雲南 東池袋店

豊島区東池袋2-21-3
03-6907-2210

食彩雲南の食府書苑フードコート店

豊島区西池袋1-28-6 大和産業ビル2F
090-65377233

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