行列のできる蘭州拉麵として有名な神保町の『馬子禄牛肉麺(マーズールー)』が、新宿に新しいお店を作ったらしい。

ということで、4月13日(日)の開店直前のプレオープンに行ってきました。場所は東新宿の日清食品本社のほぼ向かい側なのでわかりやすいです。

メニューは神保町店と同じく、麺の太さと形を9種類から選べます。

私はいつものように8番の「チャオマイレン」三角麺を選びました。スープがうまく絡むので好きなんです。向かいの席の人は、2番の「細麺」を選んでいました。
このお店は、正面に麺を打つところがあり、どの席からもとてもよく見えます。バンバンたたいたりねじったり、持ち上げてくるくるしたり、見ていて飽きませんね。子供のようにずっと見ていたくなります。神保町店より店の幅が広いので、作っているところがとても見やすくなっています。

豪快にねじねじした麺を、いくつかに分けて一人分ずつのばしていくんですね。

今、伸ばしては二つに折りを繰り返しているこれは、きっと2番の細麺でしょう。

次の塊りは、まっすぐに置いて、両側からぐいぐい押してる・・親指の付け根の膨らんだところを母指球というそうですが、そこを使ってぎゅぎゅぎゅと・。適度な力を母指球に入れて、あっという間に三角の棒状の麺ができました。

あっ、これは私が頼んだ8番の「チャオマイレン」に違いない。それをのばしてたたみ、のばしてたたみと繰り返して、あらもうお湯の中へ・・。
打ちたて、できたての蘭州拉麵が来ました。パクチーと牛骨スープのいい香りが立ち昇ってきます。 三角麺にスープをしっかり絡ませて口へ。うーん、あまり辛くなく少し酸味があっておいしい~。


ついスープのラー油を喉の奥まで吸ってしまい、ちょっとむせてしまいました。でも、よく見ると、あちらこちらで時々むせてる人がいます。上鼻道から副鼻腔まで香りが届いてしまったのかもしれないけれど、実はこれ悪くないみたいです。そのわけは後で言いますね。
食べていくうちに、だんだん額に汗をかいてきました。そんなに辛くないのに、首や背中にも汗が・・・。身体がすっきりと温まってきました。気持ちの良い汗です。
鼻をかむ人、むせる人、汗をかく人、はい、私全部当てはまります。周りも多くの人がそうだから気になりません。
さて、一日の終わり、寝る前に体重計に乗るのが私のルーティン。ダイエットはしないけど、体重コントロールはしたいので。
豚骨ラーメン脂マシマシ、なんて食べると一日で1キロ増えてしまう私。今日はどうかな、と乗ると・・・。なんと、昨日より少し減っているではないですか。蘭州拉麺おそるべし・・。
喉の奥まで香りが届き、いい刺激で血の巡りがよくなったのかもしれません。すっきりした汗を適度にかいたのもよかったみたい。
他の人の食べている麺もおいしそうで気になったので、次は2番・細麺と6番・太めの平麺を頼んでみたいなぁ。いろいろ試して、お気に入りを見つけていくのもいいですね。
お店を開いた方は、中国の方ではなく、北京大学に留学していた日本の方だとか。本場の味を新宿で味わえるなんて嬉しいですね。
(シミズン)
店舗情報
馬子禄牛肉面 新宿店

新宿区歌舞伎町2-1-2
03-6265-9680
代表からのひとこと
シミズンさん、報告ありがとうございました。蘭州拉麺を食べたら、体重が少し減っていたって本当ですか。確かに豚骨ラーメンに比べると、さっぱりとして、でもボリュームもけっこうありますよね。
この店のメニューについて、店長の清野烈さんはこう話しています。
「メニューは神保町店と同じで揃えました。当初の予定で場所柄アルコールの提供も考えておりそれに合わせて羊肉串の提供を予定していたのですが、ハラル認証の取得を優先して今回は、導入を見送りました。次の施策としてどこかのタイミングでは導入したいと考えております」

確かに新宿という土地柄、外国人観光客の姿も多く、ハラルを前面に出すのは集客に効果的なのに違いありません。
ここ数年、蘭州拉麺の店が都内に雨後の筍のように出店しています。蘭州拉麺は中国西域の甘粛省蘭州で生まれた牛骨スープ麺。水で練った小麦粉の固まりを軽快に伸ばした手打ち麺で、麺には特有のコシと食感があり、さわやかなスープの酸味を楽しむハラール料理(イスラム教で許される食材でつくる料理)です。
この蘭州拉麺を日本に広めた第一人者は、間違いなく「馬子禄牛肉面」の清野烈さんです。彼は北京外国語大学の留学時に蘭州拉麺と出会い、その味わいに魅了され、帰国後、日本で店を開くことを決意したそうです。
そのため、なんと彼は蘭州にある老舗の「馬子禄蘭州牛肉面」で修行し、留学時代の友人と神保町で現在の店を始めたというのです。
この店が人気になった背景について、清野さんにうかがったところ、彼の蘭州修行から開店に至る軌跡を中国メディアが熱心に取り上げたことがあったそうです。
彼が最初に蘭州視察に旅立ったのは、2013年のこと。とにかく毎日蘭州市内の蘭州拉麺を食べて回ったそうです。1日10軒近く食べ歩き、「1週間で100杯は食べたのではないか」と彼は話します。
なかでもいちばんおいしいと思ったのが、馬子禄だったそうです。これは一緒に日本から旅立った3人の仲間の共通意見だったとか。スープのおいしさが際立っていたと感じたといいます。北京で食べた蘭州拉麺とは別物のようにも感じたとか。それくらい本家の蘭州拉麺は清野さんたちにとって特別の味でした。
でも、そこからが大変です。
日本から突然現れた人間に修行をさせてくれと言われても……。店だってすぐには受け入れられないのも当然です。回族の人たちは秘伝のノウハウを簡単には人には渡そうとはしません。しかも、相手は日本人。
その後、清野さんたちは2度、3度と蘭州詣でをしました。2度目からは馬子禄の人たちと食事をすることができたそうです。そして3度目の蘭州詣でのとき、白酒を酌み交わし、「お前たちなら伝授してやろう」となったそうです。2015年のことでした。
清野さんが実際に修行に行ったのは、2016年のことでした。まずスープづくりから学んだそうです。「朝6時半から1日300~400杯のスープづくりと麺を打ち、午後2時半には閉店という毎日でした」
こうして清野さんはついに免許皆伝。帰国して神保町オープンに漕ぎつけたのは、2017年8月のことでした。
清野さんはオープン当時のことをこんな風に話してくれました。
「オープン前に中国メディアやSNSで盛んに拡散され、その結果、日本国内の中国人コミュニティで話題になったことが大きかったです。中国の食文化を日本人が学び、日本に伝えようとしたことが歓迎されたのだと思います」
こうしてオープン当日、神保町店の前には100人を超える行列ができたのでした。それを見た日本のメディアからも注目され、情報番組などで取り上げられたことが相乗効果につながったそうです。
清野さんがいちばん大切にしているのは「現地の味を再現」することだといいます。日中両国の人たちの心をつかんだのは、その真摯な姿勢だったと言っていいでしょう。