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「中国のナパバレー」寧夏で開催された博覧会と魅惑のワインたち

こんにちは。中国ワインを扱う専門店「パンダワイン」の青山宗典です。

今年6月、中国寧夏回族自治区銀川(ぎんせん)市で開催された「国際葡萄与葡萄酒産業大会 (INTERNTIONAL CONFERENCE ON GRAPE AND WINE INDUSTRIES)」の現地報告をさせていただきます。

今回寧夏まで行かれたのは、寧夏から「シャトーイーゾン」や「シャトーバッカス」を輸入している友人のTさんです。

張建社長

国際葡萄与葡萄酒産業大会は昨年までは毎年9月頃に開催されていましたが、今年は招待客の人数や規模を大幅に拡大しての開催となり、その為開催月次も昨年までの9月から6月にスライドし、多くの大学生ボランティアも参加した形で盛大に執り行われました(この時期中国の大学生は試験休み期間なので海外の招待客と触れ合える貴重な体験の機会でした)。

国際葡萄与葡萄酒産業大会について

規模が拡大したことで、寧夏賀蘭山東麓の各主要生産地以外にも山東省煙台や甘粛省等他の中国省市の生産者のみならず、海外のワイン生産者も出展する、正に中国ワイン産業発展の起爆剤として開催されました。

いざ寧夏へ!!

さて、寧夏に行くと一口に言っても、日本からの直行便は出ていないので、上海なり北京からのトランジットが必要となります。寧夏まではコロナ以来大分ご無沙汰になっていました上海で1泊するスケジュールでした。

羽田ではラーメン屋さんに30人以上の行列が出来ていたりと、コロナ禍以前の活気が戻っており、上海でも同様のアフターコロナの経済状況が楽しめると思っていました。

上海の空港内

今回4年半ぶりに上海を訪問して感じたこととして、日常生活においてはコロナ前と同じ状況に回復しており、地下鉄やバスなどの公共交通機関は何の制限もなく乗車でき、タクシーも普通に拾えましたが、ジワリと第二波を迎えて状況で公共交通に乗車の際にほとんどの人がノーマスクの状態であったことに若干の懸念も感じました。

観光や飲食に関して、午前中に上海第一の観光名所豫園商城を訪問してみました。

以前はどの時間帯でも多数の観光客でひしめき合っていましたが、平日のためか今は観光客もまばらで、小規模雑貨店がひしめいている近隣の商業ビルも1階は通常通りでしたが、2階より上の階は多数の店舗がシャッターが下りた状態になっており、コロナの影響が感じられました。

地下鉄10号線水城路の駅ビルにおいても1階の半数はクローズし、2階以上は全面クローズしていたのが印象的でした。

こうした背景にはもともとUberの様な出前システムで食事を頼む人が多かった上海においてコロナ時以降より顕著に出前を頼む人が増え、結果として外を出歩いたり食べに出かける機会が大幅に減少した事があると推察します。

また一般食料品や雑貨においても日本より格段に進んだ購買プラットフォームや選択肢がある中国上海においてはスマホさえあれば外出しなくても生活に係るほとんどが解決できる生活が定着しつつあると思います。

上海で1泊した後には、いよいよ寧夏回族自治区の都「銀川」へ出発です。井上靖原作の日中合作映画「敦煌」(1988年)で有名な銀川は、年間降水量200ミリと実に乾燥した地域ですが、実は黄河の水流のお陰で農業が盛んな地域でもあり作稲栽培が昔から盛んな地域でもあります。

この地では国策でワイン生産が推奨され、短期間で中国を代表する産地として世界のワイン愛好家から注目されるようになるとは、実にスゴイですね。

ともあれ、今回の博覧会の来場者は招待客だけでも4000人、来場者は数万人を目標としていたそうです。

実は目玉の寧夏ワインのみでなく、新疆ウイグルのワインや中国最大のワイナリーの一つ「グレートウオール」そして欧米のワイナリーまでもが出展する、想像以上の大規模な博覧会となりました。

博覧会の入り口あたり

主催者から正式に開会式に招待されていましたが、党の重鎮が来館されたせいか(?)セキュリティが必要以上に厳しく開会式会場へは入場できませんでした。

開会式も終わり、博覧会会場へ無事入場できたところで気を取り直して、日本へ輸出しているワイナリーを訪ねてみました。

博覧会会場

シャトーイーゾン

今回は夏場に照準をあててシャルドネ白とロゼタイプの桃紅葡萄酒(ピンクワイン)を中心にメルローや蛇龍珠、最上級クラスのマスターカベルネの詳細をしています。

シャルドネは柔らかい香りと酸味が女性受けするようでした、ピンクワインは甘めの口当たりにピリッとした後味が印象的で好評を博していました。

シャトーイーゾン シャルドネ


シャトーイーゾン シャルドネ白
年度2019年
品種100%シャルドネ
色合い澄んだ輝きがある淡いレモン色
香りフレッシュなレモンやリンゴなどの香りが広がり、心地よい印象。
味わいバランスが取れていて豊満な飲み口。適度な酸がゆっくりと口の中にひろがります。常温でもおいしく飲めます。

艶やかでクリアな麦藁色を持ち、香り高い「レモン」「白桃」などの果物のアロマと心地良い酸味の後味が楽しめます。シーフード料理はもちろん、スパイス系などの中華料理全般と相性がいい、まろやかバランスの良いミディアムボディのワインです。

シャトーバッカス

シャトーバッカスのブースは全体でも一番目の001番でした。こちらは自社の社名を関したバッカーナ(カベルネ+蛇龍珠のブレンド)、メルロー、一級カベルネを中心に紹介しており、欧米の来場者からの評価が高かったそうです。

シャトーバッカス ワルツメルロー


シャトーバッカス ワルツメルロー
年度2016年
品種100%メルロー
色合い輝きを持つ透明感のある紫色
香り熟成した黒色系果実の香りとわずかに感じられる赤色系果実の香り。バニラやチェリーの香りが抜きんででおり、また軽くコーヒーのニュアンスやスモーキーさも伴います。
味わいバランスが良く滑らかなタンニンと奥深い香りと飲み口が特徴の上質なメルローです。

バニラやチェリーの香りが感じられ、飲み口が甘めですが、後から辛みや香りが安定して長めの余韻が楽しめます。肉料理を始めとした濃いめの味付けの料理と相性がいいです。

寧夏ヤンヤン国際ワイナリー

今回はこのワイナリーのメインアイテムである「力(リー)」「口(コウ)」「貝(ベイ)」の試飲。この漢字のカッコ良いワインたちは実は、寧夏のワイン銘醸地「賀蘭山東麓」の「賀」の漢字を分解して名づけています。

寧夏ヤンヤン国際ワイナリー ワイン
寧夏ヤンヤン国際ワイナリー

寧夏ヤンヤン国際ワイナリー カベルネ・ソーヴィニョン=リー


寧夏ヤンヤン国際ワイナリー カベルネ・ソーヴィニョン=リー

砂と小石混じりの土壌で栽培された樹20年以上の古いブドウ畑のものをハンドピックで収穫しています。乾燥したテロワールに由来する様々なスパイスのアロマは中華料理を始めとした様々なエスニックフードと合わせて飲んで頂きたいです。この「赤霞珠=カ(カベルネ・ソーヴィニョン=リー) 」はオーナーである何宏氏がワイナリー設立後に最も時間を擁げ作りあげた主力商品です。ワイナリーの発展の根となる「力」となるように願いを込めて名付けられ、エチケットの文字は書道を嗜むオーナー自身の手で書かれました。

それぞれカベルネ・ソーヴィニョンや中国の地ブドウ蛇龍珠(シャーロンジュウ)のみで作られた単一品種のワインです。初めてこのワイナリーのワインを飲んだのは6年以上昔ですが、それぞれのワインのレベルはその時よりも格段にレベルアップしておりどんどんと成長しているのが実感できます。

中国のワインは欧米人の手によるインターナショナルなものも多いですが、このワイナリーはオーナーの何宏(フーホン)氏の手による100%中国人の力のみで国際品質のワインを作っています。

博覧会会場

ペルノー・リカールのワイナリーへ

日本ではシーバスリーガルやアブソルートウオッカなどのスピリッツで有名なフランスの「ペルノー・リカール」社ですが、実は寧夏でワインも作っているのです。

さすが世界第一位の酒類メーカーであるペルノー・リカールだけあって近代的で巨大な醸造設備にはただただ圧倒されました。醸造所の見学後は、彼らの作るワインを試飲させてもらいました。フランスのみならず世界中様々な地域でお酒を作っているだけのことはあって、赤ワインも白ワインも非常にレベルの高い味わいでした。

ペルノー・リカール ワイナリー巨大な醸造設備 

おそらくは中国国内で消費される商品なのでしょうが、日本でもこのペルノー・リカールのワインが楽しめる日が来ると良いですね。

寧夏の隠れグルメ

ところで、アンチエイジングのスパーフルーツとして有名な「クコの実」「羊肉」が寧夏の特産品ですが、それ以外にも野生の蕎麦が自生していて日本のお蕎麦とそっくりな食べ方をしています。赤いスープで辛そうですが実はトマトベースで全く辛くないスープで現地の人は食べています。

寧夏の隠れグルメ 赤いスープのお蕎麦

今回のご紹介させていただきました「シャトーイーゾン」「シャトーバッカス」「寧夏ヤンヤン国際ワイナリー」のワインは、パンダワインのショッピングサイトで購入することができます。

● パンダワインショッピングサイト
https://shop.pandawine.net

(パンダワイン)

● パンダワイン
https://pandawine.net/

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