中医師村木の「おしえて!むー先生!」その8「鰻取り食せ」

読者の皆さんこんにちは。
中医師の村木亜ゆみです。

先日来、夏バテ対策の話をあちこちでしておりましたら,

「夏バテ対策といえば、やはり鰻でしょうか?」と聞かれることが多くなったので、

今日は「夏バテ対策第2弾!食欲不振はなぜ起こる?」てなところから話を始めてみましょう。

夏の土用というと「丑の日の鰻」

なぜ丑の日に鰻を食べるかはネットで調べると諸説ありますが、万葉集に大伴家持が詠んだという「石麻呂にわれ物申す夏痩に良しといふ物そ鰻取り食せ」一首があるくらいですから、そんな昔から鰻は夏バテにいいと思われていたわけですね。そんな昔から鰻の認知度が高かったのにも驚きです。

中医師村木の「おしえて!むー先生!」その8「鰻取り食せ」画像1

さて、夏場の食欲不振はなぜ起きるか

調べてみると「自律神経の乱れ」と書かれています。

いろいろなところで「自律神経の乱れ」と書かれているので、それはどういうことかと見てみたら、

暑さなどの刺激に反応する交感神経が優位になるので食欲が落ちる
交感神経が優位になると、血管が収縮して胃の粘膜への血液の供給量が減少し、胃のはたらきが低下するから」なんですな。

食欲不振になると体に必要な栄養素が不足する、と、胃腸が活発に動かなくなり更に食欲減退という状況に陥ります。ふむ。

食欲不振、食欲減退に加えて、お腹が緩くなるといった不調も起こりがちです。

これを漢方的に見てみましょう。

日本の夏の特徴である「多湿」が原因です。日本はもともと湿度高めですが、梅雨時から夏にかけては湿度が上がります。そうすると、人体にその「湿」が入ってきて不調を起こすというのが漢方の考え方です。以前から「邪気」の話をしていますが、湿の場合は「湿邪」と呼びます。

で、この湿邪が消化吸収を担当する五臓の「脾」を攻撃するのです。

もともと脾は湿が嫌いなので、湿邪がやってくると、一気に仕事やる気なくします。そうすると、食欲不振や消化不良を起こし、お腹が緩くなったりするわけです。

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もう一つの原因は「冷え」

消化吸収を担当する脾と胃は寒いのが嫌いです。寒いと彼らは仕事ができなくなります。私たちも寒いと動きが鈍くなりますよね。それと同じです。

冷えると気血の流れが滞り、消化吸収に必要なエネルギーと栄養が届きにくくなります。そうすると消化吸収能力が低下するわけです。

暑い時期に食欲が落ちたら、酸味やスパイスなどで食欲を刺激しつつ、消化しやすいものを摂りましょうと勧めています。

酸味は漢方的には「収斂」といって内側に引き締めるはたらきがあるので、汗のかき過ぎや下痢の際によいとされています。栄養学的には疲労回復効果のあるクエン酸が含まれているからです。

スパイス類、薬味と呼ばれるものは、生薬としても使われており、からだをあたためるはたらきがあるので、冷えすぎを防ぐためにも取り入れたい食材です。

胡瓜やゴーヤ、冬瓜などの「瓜」類は、カリウムを多く含み、体内の余分な水分を排出し、熱をさますとされています。

ということは、食べすぎるとお腹が冷えてしまうので、量を程よく、温める素材を組合わせながら摂りましょう。栄養を補充するためにたんぱく質は大事ですが、無理をしないこと。脾胃に負担がかかっては元も子もありませぬ故。

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スタート地点に戻って「鰻」

ビタミン類やらミネラル類やらたんぱく質やら栄養豊富なので、夏だけでなく食べたい食材です。

ネットで調べていたら「鰻を飼育する場合は」という記事が出てきてたまげました。アタシも育ててみようかしら…。

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美味しく、楽しく、食養生で夏を過ごして、実りの秋を迎えましょう~!

次回もお楽しみに~!質問もお待ちしてまーす!

(村木 亜ゆみ)

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