シンガポールの春節散策!「魚生」でお祝いや「ガチ中華」も登場

シンガポールの春節散策!「魚生」でお祝いや「ガチ中華」も登場

昨年から海外渡航のハードルが一気に下がり、海外旅行を楽しまれている人も多いのではないでしょうか。

「恭喜發財!」

恭喜發財!

私も3年ぶりにシンガポールに行って、春節の雰囲気を満喫してきました。コロナ前は毎年この時期に訪れていたので、チャンギ国際空港に着いてすぐに兎年のオブジェをみたら思わず胸が熱くなってしまいました。

ということで、今回は久々のシンガポールでの春節事情や新たに発見したことなど、色々紹介したいと思います。

露店や市場は春節の買い物客で大賑わい

多民族国家のシンガポールは、民族構成の内74%が中国系です。なので、街の至る所で春節を祝う華やかな飾りものや春節食材が売られています。

シンガポールのチャイナタウン

買い物は色々な場所でできますが、やはり春節なのでチャイナタウンの賑わいを肌で感じながら散策するのは楽しいですね。メイン通りには、今年の干支であるウサギの巨大オブジェがお目見えしていて定番のフォトスポットとなっています。

チャイナタウンの賑わいを肌で感じながら散策

春節の1か月前から本格的な飾り付けが始まり、春節用品の露店が並び賑やかです。この日は春節前の最後の週末でしたので、夫婦や家族連れで買い物に来ている人たちが多く、小さな子供たちの姿もみられました。

ただ、露店がずらりと並ぶ通りをいつものように歩いてみましたが、賑やかではあるんですが、露店と人の数はちょっと少ないかな?という印象でした。

春節に欠かせない食べ物といえば、こんなものがありますよ。

バクワ
菓子
ポメロ

福建省から伝わったとされるポークジャーキーのバクワ(肉干)やソーセージのラップチョン(臘腸)。パイナップルタルトやラブレターと呼ばれるクレープロールなどの菓子、ニューイヤーケーキとも呼ばれているネンガオ(年糕)。柑橘類のポメロやマンダリンオレンジなど、たくさんありますね。

地元の人たちは、オレンジを箱買いするほどにけっこうな量を買い求めます。これは、自分たちで食べるだけでなく、挨拶回りにオレンジを2個相手に渡す風習があるからです。ただ、同時に相手からももらうので手持ちのオレンジが全然減らないそう(笑)

どの国も正月の光景は微笑ましいですね。

縁起のよい「魚生」は散らかすのが吉!

様々な正月商品や料理を揃える中で、春節に欠かしてはいけないのが、「魚生(ユーシェン)」です。魚生といえば、水源の豊富さから漁獲のある広東省・順徳を代表する刺身料理としても有名ですよね。

縁起のよい「魚生」は散らかすのが吉!

その昔、中国南方からの移民が多かったシンガポールでは、1964年に広東省からやってきた中国人シェフたちによって魚生が伝わったといわれています。土着することによって、東南アジアの食材を加えた華やかな春節料理になっていきました。

縁起の意味

出典: 李欣立

魚生は、日本のおせち同様に縁起のよい意味を持つ食材がたくさん入っています。白身魚の刺身(シンガポールではサーモンが人気)に、大根や人参の千切り、揚げたワンタンの皮やクラッシュピーナッツ、赤や緑に着色したカラフルな寒天に、柑橘果物のポメロなど、皿の上は華やかです。ここに、ゴマやコショウ、五香粉を振りかけて、さらに甘酸っぱいプラムソースをかけていきます。

それぞれ縁起がよいとされる食材を使っていて一つひとつに意味があります。おせちに願いを込めるのと同じように、魚生も祈願しながら家族や仲間と一緒に楽しむのです。

でも、その楽しみ方がちょっと大胆なんですよ。

ローヘイ

食べる時にはみんなで皿を囲んで、具材を高く上げながら混ぜていきます。その時、魚生の愛称である「ローヘイ(撈起)!!」と掛け声をかけたり、願い事を声に出したりして行います。撈起とは、広東語で漁師が漁をする時に網を引き揚げる掛け声です。網で魚を集める動作から、「幸運や金運を囲うことができる」ともいわれています。

具材を混ぜる光景はけっこう大胆で、具材が皿からはみ出しても気にしません。それどころか、「溢れるほどの富」を意味するので散らかし放題です。そして食べた後は、少し残しておくのが鉄則です。

というのも、魚生という料理名には、魚(ユー)と同じ発音の「余」に、「余りがある」、「豊かになる」という意味があることから、食べきってしまうと「余りがない」という意味になってしまうのです。ちなみに、「生(シェン)」も「升」と同じ発音で、「上昇」を意味します。

ローヘイセット

地元の人たちは掛け声の「ローヘイ」という呼び方が馴染みあって、春節前から「ローヘイしよう!」と仲間や同僚を誘う人も多く、自宅でローヘイ!職場でローヘイ!レストランでローヘイ!と、何度もローヘイする人が少なくありません。なので、スーパーマーケットには様々なメーカーから魚生セットが売られていて、買い出しの準備をしなくても手軽にローヘイできるのです。

このセット、日本にもあったら絶対楽しいと思います。ちなみに、今の時期日本でもシンガポールレストランやマレーシアレストランでは魚生を提供する店があるので、興味のある人はぜひ!

ローカルエリアで潮州エコノミーライス

賑やかな春節の様子を見ているだけで楽しいのですが、ローカル飯も最高です。私は滞在中のほとんどの食事を屋台集合施設であるホーカーセンターで済ませます。様々なシンガポール料理がセレクトできて、500円ほどでも満足できる料理がたくさんあるんですよ。今回は、公団住宅が多く立ち並ぶシンガポール東部ベドックに最近できたという潮州スタイルのエコノミーライス(経済飯)屋に行ってみました。

ホーカー

郊外のホーカーは広々としていて、屋台のストールも100以上ある施設も少なくありません。週末の昼時訪問だったので、家族連れや友人同士のグループが多くみられました。

「エコノミーライス」とは、何種類もの総菜から好みのおかずを選ぶごはんプレートのことで、私が訪れた「潮州美食 咖喱菜飯」でも、魚、肉、野菜、と30種類以上の料理が並んでいました。どれも食欲をそそられるものばかりで注文を絞るのに一苦労です。

経済飯

30以上の中から蒸し豆腐やインゲン炒め、豚肉の甘酢餡、エビミンチ揚げをチョイス。肉、魚、野菜、それぞれ価格が決まっていて、バランスよく好みでセレクトできるのがいいですね。指差しオーダーでOKですし、旅行中の野菜不足が気になる人にもおすすめします。友人と一緒だったので、行列ができる海南鶏飯のお店で、脚肉チョイスの鶏飯も食べて大満足でした。

シンガポールにも「ガチ中華」の波が来た⁉

中国系が多いとはいえ、シンガポールは東南アジアの国。中国本土と雰囲気が違うことは明らかです。しかし、街を散策していると“池袋”や“大久保”の匂いがあちらこちらからしてきました。

ローカルのスーパーマーケットに行ってみると、日本と同じような変化がありました。コロナがきっかけだと思うのですが、中華料理が自宅で簡単に作れる加工調味料がすごく増えていたのです。作れる料理もよりガチ中華要素の商品が多く、外食文化であるシンガポールでちょっと驚きでした。

作れる料理もよりガチ中華要素の商品が多く、外食文化であるシンガポールでちょっと驚き

元々人気だった「海底撈」のシリーズも増えているし、中華調味料で有名な「李錦記」からは、宮保醤や酸菜魚の素などが新発売になっていました。別メーカーからはザリガニの麻辣鍋をはじめとする火鍋の素がたくさん出ていて、ラインナップの豊富さ半端ないです。

レストランでも中国東北地方の料理を提供する店の人気が高まっていたり、元々シンガポールに多数ある四川料理店でも、酸菜魚や麻辣香鍋を売りにする店が増えたりしてびっくりです。

実は、コロナ前にシンガポールでも「麻辣ブーム」が起こっていたんですが、そこからより細分化されて、麻辣や花椒をいかした料理に注目が集まったのかもしれません。

さらに、シンガポールのガチ中華事情で衝撃だったのが、友人に案内してもらった「思家客(スカーレット)」というスーパーマーケットです。

思家客

店内に入った瞬間、「ここは大久保か?」と目を疑う光景でした。商品のラインナップが池袋や大久保でみかける中国食材店の商品と全く変わらないのです。シンガポールで田螺麺や糖葫芦は見たことがなく、つまみ系も乾麺も、お菓子やドリンクも中国の雰囲気満載です。

お菓子やドリンクも中国の雰囲気満載

同店は2020年からシンガポールで営業をはじめ、現在は13店舗展開しているようです。この店を教えてくれた友人も、この数年でシンガポールにいる華僑が増えてきたといいますし、新店がどんどんできるみたいですね。


シンガポールの春節いかがでしたか?

久々のシンガポールは驚きの変化もありましたが、もっともっとシンガポール中華を探求していきたいと思います。

店舗情報

潮州美食 咖喱菜飯

Bedok Interchange Hawker Centre, 208B New Upper Changi Road #01-08

Writer
記事を書いてくれた人

伊能 すみ子

プロフィール

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