【北京発】新疆料理の最高峰「准格尔(ジュンガル)餐庁」に行ってきた!

【北京発】新疆料理の最高峰「准格尔(ジュンガル)餐庁」に行ってきた!

2024年3月末にコロナ後、初めて北京に行ってきた。4年ぶりの北京で行きたかった准格尔餐庁(ジュンガルレストラン)に行くことができた。

中華料理店らしからぬ響きのこのレストランは、新疆料理店。

新疆ウイグル自治区に住む少数民族のウイグル族の伝統料理を出すお店だ。

中国南部に比べて北部のほうが新疆料理店が多く、特に北京では新疆料理店はよりどりみどりと言ってもいいほど充実している。最近、その中の最高峰と言われているのが、准格尔餐庁なのだ。北京の友人にかなり前に予約を入れてもらい、やっと行くことができた。

今日はその激うま新疆料理を紹介したい。

新疆料理は、中央アジアの料理と共通するものが多い。写真左上から馕(ナン)、涼皮、馕包肉(羊の煮込みをナンにのっけたもの)、酸奶(ヨーグルト)、烤羊排(焼いた羊のスペアリブ)、茄子とささげの新疆風炒め物

准格尔餐庁は「駐办餐厅(ジュウバンツァンティン)」と呼ばれるレストランのひとつ。「駐办餐厅」については3月7日公開の川雲さんご夫婦の「北京で中国各省の『駐京弁』レストランの地方食豊かな料理を楽しむ」に詳しい解説があるので、私は軽めの説明を。

北京には中国各省や各市の出張所が集まっている。それが「駐京弁事処」。ここは北京にやってきた地元出身者のお世話をしたり、便宜をはかってくれるところだ。

この駐京弁事処はレストランを併設しており、それを「駐办餐厅」という。四川省の駐京弁事処内なら四川料理のレストランがある。

故郷のメンツをかけてやっているレストランだから正真正銘の本場の味、お値段はリーズナブル! そしてなにより駐办餐厅は、駐京弁事処に用がある人だけでなく誰でも行っていいのだ。

念願だった准噶尔餐庁に行くと、外観は愛想がないといおうか固い雰囲気。中に入ると、改装したてなのか、青いソファで統一され、古めかしい外観とはうってかわり、新しい感じ。予約なしの場合、3時間待ちとも言われている准噶尔餐庁だけど、平日の午後6時前だけに予約のお客が到着していないのか、まだ空席があった。

地方都市の中級ホテルを思わせるような地味な外観。駐办餐厅では、この手の外観はよくあるパターン

友人たちとまずは燕京ビールで乾杯! 准噶尔餐庁の名物はとにかく巨大な大盤鶏、羊肉のパイ包み風の羊腿麺包などなど。名物は必須として、他にはビールには欠かせない羊肉串、小麦粉で作ったところてんのような涼皮、羊肉がゴロゴロ入ったポロ、ウイグル族の混ぜ麺の過油肉拌麺、デザートがわりの酸奶、途中で新疆の地場ビールの烏蘇ビールを頼んだ。

新疆一帯で飲まれている烏蘇ビール。アルコール度数2.5~3.3と、とにかく薄い。燕京ビールは4~5
烤羊肉串(カオヤンロウチュア)

新疆料理店の必食! 新疆の羊肉は新鮮でやわらかく、ジューシー! 

涼皮(リャンピー)

小麦粉で作ったところてんのようなもの。辛くて酸っぱい味つけ。中国全土で食べられるが、新疆のものは特に酸味が強いように思われる。個人的には涼皮の生地はもうちょっと分厚いほうが食感がいいと思う。准噶尔餐庁の涼皮は極薄だった。

大盤鶏(ダーパンジー)

身がしっかりした鶏のぶつ切りたっぷりの大盤鶏は濃い目の味付けでさすが看板料理のおいしさ。コシのある幅広麺が濃厚な汁とからみあって、とにかくうまい。幅広麺はやっぱりピリ辛味があうね~。

麺包羊腿(ミェンパオヤントゥイ)

羊のもも肉のパイ包み焼き。サクサクパイの中にはやわらかい羊のもも肉。軽い塩味がついている。クミンと塩、醤油ベースのタレがついてくるけれど、つけなくても十分すぎるほどおいしい。

過油肉拌麺(グオヨウロウバンミェン)

新疆を代表する麺料理で別名をラグメン。肉がたっぷり入ったものを過油肉拌麺という。季節の野菜なら何を使ってもよく、一度食べると、ファンになる日本人が続出の人気麺。

抓飯(ジュアファン)

別名ポロ。羊肉たっぷりのピラフ。羊肉が年々値上がりしているので、ここまででっかい羊の塊がゴロンゴロン入ったポロはかなり珍しい。ポロはへたをすると米が脂っこくて、もたれるものもあるけれど、准噶尔餐庁のものは油ひかえめで美味しい。

酸奶(スワンナイ)

新疆料理店の定番デザート。トルファン産のグリーンレーズンが入った手作りヨーグルトは必食。とにかくさっぱりした酸味と甘さにはまる。

念願だった准噶尔餐庁の新疆料理は、どれも美味しく、クミンがきいた羊肉を心ゆくまで味わった幸福感に満たされた。それなのに准噶尔餐庁が北京の新疆料理の最高峰(新疆料理というより30数軒ある駐办餐厅の最高峰という意見もある)と言う評判は、偉そうだけれど、そうかなあと思ってしまった。

北京には新疆ウイグル自治区や自治区内の市の駐办餐厅が少なくとも6軒はある。

ちなみに准噶尔餐庁はウルムチ市に近い石河子市の駐办餐厅。新疆伊寧出身で北京在住の友人のお気に入りの「伊斯蘭飯荘」は、新疆ウイグル自治区の駐办餐厅。私が好きな「新疆飯荘」はウルムチ市の駐办餐厅。新疆飯荘もとにかく人気が高く、こちらも常に満員で准噶尔餐庁と甲乙つけがたいほど美味しい。

新疆飯荘
北京市西城区車公庄北街車公庄大街北里1号ウルムチ駐京弁事処内。
010-68362796

駐办餐厅には、駐京弁事処に用がある人だけでなく、ふるさとを離れて北京に住む人もなつかしの味を求めてやってくる。その省や都市を代表する味を期待してやってくる一般のお客もいる。駐办餐厅は全ての人の期待に答えるべく、ふるさとのプライドとメンツをかけているので、どこもレベルが高く、はずれがない。

駐办餐厅って、どれだけレベルが高いんだろう。 

北京でレストランに行くなら、全て駐办餐厅にしてもいいんじゃないかい!

(浜井幸子)

店舗情報

准格尔餐庁(ジュンガルレストラン)

北京市東城区龍潭路甲8号
010-67180012

Writer
記事を書いてくれた人

浜井 幸子

プロフィール

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