コロナ禍で大好きだった台湾旅行にいつ行けるのか、気をもむ日々が続いています。そんなとき、都内の台湾料理店に行って、旅の思い出を懐かしみながら、台湾ビールと一緒に台湾の人たちが供する料理を味わうことほど心休まる時間はありません。
台湾で街場の小さな食堂や露店のような場所で地元料理をいただくとき、台湾ビールは欠かせませんよね。
たとえば、これは台南の市街地から少し離れた安平という港町の食堂で食べた蝦捲(シャチェン=エビのロール揚げ)と蚵仔煎(オアチェン=カキ入りオムレツ)です。このあたりの海ではカキの養殖が盛んで、たくさん獲れるそうです。細い入り組んだ路地がどこまでも続く古くて魅力的な町です。
台南を訪ねたことのある人なら、この町のはずれに17世紀、オランダ勢力を追い出した鄭成功(チェン・チェンコン)の一族が居城とした安平古堡があることをご存じでしょう。この城のおみやげショップでは、彼のイラスト入りの「成功ビール」が売られていました。
これは台南名物の担仔麺(タンツーメン)ですが、ここでもつい缶ビールを頼んでしまいます。
台湾ビールは日本のビールに比べ、コクやキレがなく、さっぱりとしており、ノドゴシや苦味に欠けるというのは本当かもしれません。でも、この南国に遊びに来ていて、日本と同じ苦味がなくてもそれほど気にならないものです。そもそも台湾の食事にも合っている気がします。
台湾に来ると、日本では見かけないパッケージのボトルやご当地ビールを見かけます。
ご当地ビールといえば、コンビニで見つけたのが、ブドウやパイナップル、マンゴー味の缶ビールでした。試しにブドウ味を飲んでみると、意外や甘さは控えめで悪くありません。昔飲んだファンタグレープのような口に残るベトツキ感もないです。ビールとは別物と思えば、日本のサワーよりいける気がします。果汁6.5%、アルコール2.8%というバランスがいいのかも。
台湾在住の作家、片倉佳史さんの『台北・歴史建築探訪 日本が遺した建築遺産を歩く』(ウェッジ)という本に、台北にある台湾ビールの工場(台湾菸酒有限公司台北啤酒工場)のことが書かれていて、施設の一部にビアガーデンがあるというので、訪ねてみました。
同工場は1919(大正8)年に設立された、日本統治時代に唯一のビール製造工場だったといいます。当初は「高砂ビール」と名付けられましたが、戦後「臺灣啤酒」と改められたそうです。
場所は、地下鉄「忠孝復興路」駅から徒歩10分ほどです。
工場内に直販店があり、同工場で製造する数多くの種類のビールが購入できます。
そこには、日本では見かけないさまざまなプレミアム台湾ビールが販売されていました。ここでいろんなビールを買って飲み比べをしたら楽しそうです。
さらに、施設の外のビアガーデンでは生ビールも飲めます。たまたまアメリカ人の旅行グループが来ていて、一緒にテーブルを囲んで飲んだのは楽しい思い出です。
最近、日本の台湾料理店でもパイナップルやマンゴー、ライチ味の台湾ビールが飲めるようになったのはうれしいことです。
以下は、横浜にある中華食材店の卸売販売の総合商社である東永商事さんが扱っている台湾ビールの銘柄です。簡単に紹介していきましょう。
台湾ビール(中文:台灣啤酒=タイワンピージョウ)」は、100年の歴史を持つ台湾最大のビールブランドです。
これはおなじみの台湾ビールのボトルです。現地で見かけるボトルのパッケージとデザインが違うのはインポートものだからです。現地のものより渋くてイケてる気がします。
「台湾ビールコールドメダル(瓶)」は、厳選された大麦麦芽、高品質なホップと蓬莱米(ほうらいまい)が主原料。優良品種酵母を低温発酵し、低温で熟成させた高品質のラガービールです。「モンドセレクション最高金賞受賞を記念して金牌(Gold Medal)」と名付けられました。
※蓬莱米(ほうらいまい)は、日本統治時代に日本から持ち込まれ、台湾の気候に合うよう品種改良された日本種由来のコメのことです。
これは缶ビール。パッケージは基本現地のものと同じようです。
「台湾ビールコールドメダル(缶)」といいます。苦みはほとんどなく軽くて飲みやすいビールです。
そして、これがパイナップルビール。南国の味が日本でも味わえるのはうれしいです。
台湾で大ヒットした人気商品です。パイナップル果汁を使った、甘口で飲みやすい果物カクテル感覚の味わいです。
これはマンゴービール。
厳選されたアップルマンゴー果汁とビールで作られた果汁5%以上、アルコール度数2.8%のフルーツビールです。マンゴー特有の香りと甘みが楽しめて、ビールの苦みが苦手の人もおいしくいただけそうです。
台湾らしく、ライチビールというのもあります。
台湾ライチビールは、新鮮なライチを厳選し、ビールと合わせて作られた果汁9%、アルコール度数3.5%のフルーツビールです。ライチのほんのりした香りと甘みが楽しめます。
台湾フルーツビールが飲める台湾料理店は増えています。ぜひ試してみてください。
現在、日本で飲める主な台湾ビールのラインナップについてはこちら
(東京ディープチャイナ研究会)