夏到来!酸味の利いたさわやか小吃「涼皮(リャンピー)」の季節です

「涼皮(リャンピー)」は私の大好物で、中国旅行中や留学中、ほとんど毎日のように食べていました。1年中食べられますが、特に夏は涼皮の季節といえます。

見た目は麺に似ています。幅広や細長い形状でツルツル、モチモチ、シコシコなど、いろんな食感のものがあり、キュウリやモヤシなどの野菜と一緒に食べる軽食です。

涼皮は、小麦粉を水でといてドロドロにしたものを薄く伸ばして蒸してつくります。蒸してからシート状になった涼皮を麺状に切れば、完成です。

辣油などの辛味調味料と酢が入っているので、辛くて酸っぱい味がします。これって、女性好みの味だと思いませんか? だから「涼皮を好きじゃない」と言う中国人女性に私は一度も会ったことがありません。中国の国民食と言ってもいいのではないでしょうか。

しかも涼皮は、一杯の量が少なめ。小さくて浅めの容器で出てきます。辛くて、酸っぱくて、量も少なめ。まさに女性のためのおやつです。辣油好きの私は、辣油をたくさんかけて食べる涼皮が好きでした。小腹がすく午後4時頃になると、流行っている涼皮の屋台を探していました。

中国全土で食べられますが、涼皮の本場は陝西省関中だと言われています。関中というのは、古代中国の政治的中心地だった陝西省西安周辺の歴史的地名のことで、世界遺産の兵馬俑で知られています。ローマまで続く古代の交易路であるシルクロード出発点である西安から西は、米ではなく小麦粉を主食とする地域。小麦粉で作る料理のバリエーションの豊富さは突出しています。

中国では主に屋台や食堂の入口で売られています。こんな風に辣油,しょうが汁、酢、麻醤などの調味料が入った大きなどんぶりやボールが並んでいるところがあれば、そこは涼皮のお店です。

それほど涼皮好きだった私ですが、先日ついに京都で食べられるお店を見つけました。

以前紹介した龍谷大学に近い「常楽小吃」です。龍大や周辺の日本語学校の中国人留学生に人気の食堂です。「煎餅果子(ジエンビングオズ)」という中華風クレープが人気の店です。

私が店を訪ねたとき、次々と涼皮の注文が入っていました。涼皮は、地域差が大きい食べ物なので、この店ではどんなのが出てくるかなと期待しつつ、私も注文しました。常楽小吃の涼皮は、見た目そのままのさっぱり系でした。辣油は入っていませんでしたが、コシがあって、ツルツルした食感、ピリッと辛くて酸っぱい味は、まさに私にとって懐かしの味でした。

白くて幅広の麺状なので、ベトナムやタイの幅広のビーフンにも似ています。かまぼこ状のものは小麦粉のグルテンで作った「麺筋(ミェンジン)」と呼ばれる麩です。常楽小吃では私が日本人とわかっていたので、辛さ控えめにしてくれたのかもしれません。

これが常楽小吃のメニューです。下から4番目の「西安涼皮」は「中華風サラダ」と紹介されています。涼皮は、野菜たっぷりの和え物なので、確かにサラダと表現するのはありです。

そして、大阪でも見つけました。

先日、大阪日本橋の「西安麺荘」に西安風の混ぜ麺を食べに行ったのですが、ここでもメニューに涼皮が載っていました。中国に行かない限り食べられない料理だとずっと思っていましたが、もうそうじゃないんですね! 

日本に暮らす中国の人たちが増えるにつれ、中国人経営でまさに「正宗(ジェンゾン)」と彼らが呼ぶ本場の味を味わえるレストランが増えてきました。いまでは、そこに行きさえすれば、涼皮は普通に食べられる料理となりました。中国の女性が大好きな涼皮に、日本の女性もはまること間違いなし!

最後に、私が中国各地で食べた涼皮をいくつか紹介します。

これは西安名物の「麻醤涼皮(マージャンリャンピー)」。原料は小麦粉で、麺は日本のうどんそのものでした。もったりと重い麻醤(ごまダレ)と黒酢のタレが美味しかったです。油溌辣子がたっぷり入っているので、かなり辛めです。

こちらは北京のレストランで食べた涼皮。屋台より食器がきれいになり、野菜の切り方が細かくなるぐらいで、味に違いはありません。北京では麻醤がよく使われます。一見麻醤が入っているようには見えませんが、ちゃんと入っています。ゴマダレと辣油の丸い辛さが美味しいです。

最後のこれは、中国の最西部に位置する新疆ウイグル自治区の料理を出すレストランで食べた涼皮。西安の麻醤涼皮に似たうどん風。ゴマダレなしの涼皮もありますが、やはりゴマダレ入りのものが美味しいです。

ぜひ東京でも涼皮の店を見つけて試してみてください。

店舗情報

常楽小吃

京都市伏見区深草下川原町125 
080-5633-1898

西安麺荘

大阪市中央区日本橋1丁目3-17 
06-4256-1412

Writer
記事を書いてくれた人

浜井 幸子

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