酸甘化陰―秋の乾燥対策

中医師・村木のディープチャイナ漢方 Vol.9「酸甘化陰―秋の乾燥対策」

9月も下旬に入り、ようやく気温が下がってきました。

立秋を過ぎても残暑が厳しいことを中国語では「秋老虎(チウラオフー)」と呼びます。夏の盛りを過ぎてもまだ暑い、老いてもまだ獰猛さを残す虎に例えるとはさすがです。

以前は早く涼しくなって欲しい~と思っていましたが、今度は「早く湿度が下がって欲しい」と思っているのは私だけではないでしょう。

日本は一年を通して湿度が高めなので、秋になったからといってもさほど乾燥しているとは感じないのですが、中国大陸に行くと場所によってはぐっと湿度が下がってきて、今度は乾燥と戦うシーズンがやってきます。

なぜ戦うか?

それは乾燥が私たちの健康に害を及ぼすからです。

以前「六淫」の話をしましたね。自然界の変化の程度が激しかったり、季節にあっていないと私たちの健康を害するものになると。

乾燥も程よくカラッとしていれば快適ですが、乾燥の度が過ぎると私たちの身体も乾燥させてしまいます。

とはいえ、いきなり五臓六腑が干からびたりしませんよ。なぜなら私たちを乾燥から守るために矢面に立たされる五臓があるからです。

それは「肺」。肺は五臓の中では一番上にあり、屋根のようにその下の臓腑を守っています。が、守っているとはいえ、実はとてもきゃしゃで弱い臓です。

だから気候の変化があると真っ先に呼吸器やられちゃうでしょ。やられないように、肺は身体の外側に衛気(えき)というバリアを張って守っています。

それでもそのバリアを破って乾燥の邪気が入ってくると肌や鼻が乾燥したり、肺とつながる大腸が乾燥して便秘になったりするのです。

漢方を知るきほんんのき その9

さて、乾燥予防にはやはり外からの保湿と、皮膚を鍛えて外邪が入らないようにすることも大事ですが、薬膳の技を手に入れている私たちは、それを駆使して乾燥の邪気から身を守りましょう。

それにはどんなことをすればよいのでしょうか。

水分をとる他にできること、それが今日のテーマ「酸甘化陰(さんかんかいん)」です。

「酸っぱい味と甘い味を一緒に摂ると体内で潤い(陰)に変わる」、中医学や薬膳の考え方はマヂ不思議です。

科学的にどの成分がどうなって云々はこの際置いといて、一緒に摂ると身体を潤す、とひとまずこの考えを着てみてください。

これは食材の組み合わせでも、生薬の組み合わせでも当てはまります。

食材には5つの味があり、それぞれが体内でどんなはたらきをするかが決まっています。

酸味はキュッと引き締める、すっぱいものを食べると皆さん顔がキュッとなりませんか?

あれが体内でも起こって、汗を大量にかいているときに引き締めて汗をかきすぎないようにするはたらきがあります。

甘い味は滋養強壮、疲れをとるはたらきです。

甘みと酸味、二つが組み合わさると潤い??ですが、まあそこはちょっとやってみましょう。

はちみつレモンもよし、おかゆに梅干しもよし。今が旬の果物をたべるもよし。ブドウなんかまさにそうですね。

酸味は唾液の分泌を促しますから、潤いといえないこともありませんが…。

乾燥してのどが渇いて痛くなって来たり、イガイガした感じで咳が出るとき、ぜひこの二つの味を一緒に摂ってみてくださいね。

では、今月のズボラ薬膳、いってみよー!

今回はほんとにほんとにズボラで、レモンのはちみつ漬けをヨーグルトにかけるだけの「蜂蜜レモン」載せヨーグルトです。

作り方


まずはレモン。皮のままざく切りにします。

材料のレモン

消毒した瓶にレモンをいれ、蜂蜜を注ぎます。

瓶に入れたレモン
レモンに蜂蜜を注ぐ

2時間ぐらいでなじみますので、ヨーグルトに載せたり、炭酸水で割ったり、クリームチーズと一緒にクラッカーに載せたり、してみました。

蜂蜜レモン載せヨーグルト

皮ごと使いましたが、苦味が出るので、剥いた方がよかったかも(-_-;)

次回もお楽しみに~。

Writer
記事を書いてくれた人

村木亜ゆみ

プロフィール

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