読者の皆さんこんにちは。中医師の村木亜ゆみです。
今年は花粉の飛散も桜の開花も早かったですね~。
あっという間に春が来ましたが、その後桜が咲き始めたところに雪が降った地域もあり、何とも不思議な春でございました。
春になるということは、陰の季節から陽の季節に移り替わるということであり、急な速さで春が来ると、私たちの身体は陰と陽の切り替わりについていけず不調を起こしやすくなります。
春になると原因がわからないけど頭に血が上るような感じがして頭痛やめまいがしたり、イライラしたりといった経験はありませんか?
村木も今年は初めて「朝起きてめまいがして、足元ふらついて倒れる」という経験をしました。
その後は収まって再びその症状は出ていませんが、この業界のお友達と「春だからね~」「自然に従って生きてるってことだよね~」てな話をしました。
「黄帝内経」には、季節ごとに特徴があり、それに合った養生の必要があると書かれています。
※「黄帝内経 (こうていだいけい)」は中国医学の三大古典のひとつ。
例えば春は冬の寒さが終わりを告げ、暖かで明るい陽の気が満ちてくるので、のびのび、ゆるゆる過ごすがよい、と書かれています。
冬の間は寒いですからエネルギーを消耗しないように引きこもる、エネルギーをためておくのをよしとするわけですが、春になって活動の時期になるとそれは余計なものになってしまうので、外に向かって出す季節であるともいえます。
さあ、ここで何度か登場している五行の五角形の図、木―春―風―肝というつながりを思い出してみましょう。
春になると木々は芽吹いて成長し始めます。人体では、エネルギーを巡らせて代謝を促進する働きを担当する肝の出番がやってきます。
エネルギーを巡らせるということは、溜まっていたものも「春だからもうため込まなくていいよ~」と出そうとするはたらきが生まれます。皮膚から出してやれ~となると、吹き出物などの肌トラブルになって現れるというわけです。
肌の不調は漢方だといろいろな機序があります。水が滞って巡りが失調して溜まるパターンもあれば、熱がこもってその熱を出そうとしているパターンもあります。
春先もまだまだ乾燥の季節ですので、外からの乾燥の邪気を受ける、或いは体内のうるおい不足で乾燥する、などなど、どんな機序なのかによって養生方法も使用する漢方薬も変わります。
この季節に採れる野菜や山菜などを見てみますと、人と自然は調和しているんだなあと思わずにいられません。
緑の葉野菜、春菊や三つ葉、セロリなどの香りのよい野菜は気を巡らせるとされていますし、春キャベツなどの甘みのある野菜は消化吸収を担当する脾を元気にします。
たけのこは性味が甘・寒で脾と肺に帰経します。熱をとる働きがあり、繊維質も豊富なので便秘にも良いとされています。ただし、皮膚に発疹等が出る場合、それを促進するはたらきがあるので、皮膚の不調を悪化させることもあるため要注意です。
肺に帰経し、便秘の予防、熱を冷まして皮膚の発疹を出させる…なんかつながってるってこと?と思ったりする村木です。
春の食材を上手に取り入れて、春を楽しみながら、夏への身体づくりをしましょう!
次回もお楽しみに~!質問もお待ちしてまーす!