中医師・村木のディープチャイナ漢方 Vol.7「まめで達者で」

皆さんこんにちは、中医師の村木です。

今年の夏は例年にない暑さで始まりましたね!

梅雨の時期を如何に過ごすかという話を少し前に書いたのに、こんなに早く「この暑さをいかに乗り切るか!」の話題を書かねばならない状況になるとは思いもしませんでした。

村木は早めに作った梅シロップを冷たいソーダで割ったものをぐびぐび飲んでいたら、お腹が冷えて食欲不振で足がだるいという、早くも夏バテ状態です(涙)。

そんな体調不良をリカバーするべく、今日は「まめ(豆)で達者で」という話題です。

村木の母親は普段の食事に豆を取り入れる人で、家の冷蔵庫には青豆の茹でたやつや金時豆を煮たものが常に入っていました。

「豆は身体にいいからね。豆で達者で、っていうから」といわれても、子供の頃は何とも思いませんでした。でも、大人になって豆を食べる機会があると、母親が言うのはあながち外れてはいないんだなあと思うのです。

豆はいろいろな種類があり、栄養豊富で身体にいいことは大体の人が知っています。でも、どんなふうにいいのかは、あまり言及されていないのではないでしょうか。

漢方を知る きほんのき その7|イラスト-1

豆は「炭水化物を多く含むグループ」と「たんぱく質を多く含むグループ」に分けられます。前者は小豆やインゲン豆、金時豆などが、後者には大豆などが入ります。

大豆が「畑の肉」と呼ばれるのは、たんぱく質含有量が多いからでしょう。それ以外の豆はほとんどが炭水化物を多く含むグループです。このほかにも脂質や植物繊維、ビタミン、ミネラル類など数多くの栄養素を含んでいます。

薬膳的には性味が「平、甘」で、ほとんどが脾・胃に帰経します。ということは「お腹によい」ということ。

甘い味は気(エネルギー)を補い、脾のはたらきを助けます。中医学とか漢方では、消化吸収機能とそれを担う臓腑を大事にしようと考えます。どんなに美味しいものを食べても、消化吸収されずにそのまま出てきたら食べた意味ないですからねえ。

冷たいものの摂りすぎでお腹が冷えて食欲不振だったり、手足がだるかったりするのは、実は脾が弱っているのです。脾は冷えが苦手なので、冷たいものの摂りすぎは脾にダメージを与えます。

そして、「漢方は全身がつながっている」と書きましたが、脾と手足はつながっています。脾が冷えてダメージを受けて弱くなると、つながっている手足にも力が入らなくなってしまいます。

漢方を知る きほんのき その7|イラスト-2

そんな時には豆! 

豆は茹でたり、加熱しておけば、スープやおかゆに入れたり、手軽に摂ることができます。今は便利な世の中なのでアルミパウチのパックもあるんですよね。←手抜き

栄養豊富であることに加え、豆類の薬膳的なもう一つのはたらきは「身体の水の巡りをよくする」こと。以前、日本の夏は高温多湿なこともあって、体内に水が溜まりやすいと書きましたが、そのたまった水を外に出すはたらきがあるのが豆類です。

栄養学的には、体内の水はけをよくするカリウムが相対的に大量に含まれているから。栄養をつけながら、水はけもよくする豆類を食べよー。

さて、豆類の性味はほとんどが「甘で平」だと書きましたが、例外があります。

それは「緑豆」。もやしとか春雨を作る豆で、性味は「寒、甘」です。そのため夏は身体を冷やすはたらきのある緑豆がお勧めです。

ちなみに、日本だとアイスの定番は小豆バーですが、中国だと緑豆バーが人気です。粒が残っているとお値段高め。

さらに余談ですが、大豆は「平、甘」なのに、加工品のみそやしょうゆなどは「涼や寒」なんですよ。不思議。

漢方を知る きほんのき その7|イラスト-3

話は戻って、緑豆から作ったもやしも身体を冷やすと考えますので、この季節は茹でたもやしときゅうりと併せるごま油とおろし生姜で和えるとちょっとした箸休めになります。

ハムを入れたり、野菜を加えたり、その日の天候や体調に合わせてアレンジしてみましょう。

今気が付きましたが、豆類は五行の五色がそろっていますね!

緑豆の青、小豆の赤、大豆の黄色、白いんげんの白、そして黒豆の黒。さて緑豆でお汁粉でも作りますかな。

ところがです。緑豆使おうと、水に漬けて出かけたら、発芽していました(-_-;)

発芽した緑豆

そこで急遽、メニュー変更。今回のズボラ薬膳レシピは「もやしときゅうりの和え物」ということにさせてください。

作り方


もやしは根を取って茹でます。

根を取ったもやし
もやしをゆでる

きゅうりは千切り、生姜はおろします。

生姜をおろします

もやし、きゅうり、おろし生姜を混ぜて、ごま油とめんつゆで味を整えてできあがり。

きゅうり甘、涼
もやし甘、寒
生姜辛、温

冷やし中華に載せてみました。

冷やし中華

次回もどうぞお楽しみに~!

Writer
記事を書いてくれた人

村木亜ゆみ

プロフィール

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