東京ディープチャイナ研究会の活動を始めて何が楽しいかというと、「ガチ中華」を縁にいろんな方たちと知り合い、一緒に食事をしたり、情報交換したりできるようになったことです。
さらには、食事会やイベントなどを通じて知り合った方たち同士がそれぞれ仲良くなって、新たな活動を始めるという動きも起きています。今回はそんな話をしますね。
YouTubeに「Planet of Food」というチャンネルがあります。
YouTubeチャンネル
このチャンネルのコンセプトは、「世界の料理を知れば、人生はもっと楽しい!」というもので、世界各地の主婦3人が柴犬と一緒に食にまつわる話題で自由に異文化交流するというトークショーです。
※ 現在、日本時間の毎週土曜日AM8時より配信中(時々、水曜日AM8時も)。世界70か国の人々が視聴中。
チャンネルを制作しているのは、放送作家の島津秀泰さん。実は、旅行作家の岡崎大五さんと一緒に「地球の歩き方 世界の地元メシ図鑑」(学研)をつくっているとき、知り合いました。地元メシの投稿者のひとりだったのです。
岡崎さんもこのチャンネルに出演しています。
そして、今回当研究会のメンバーの松永悠さんが同チャンネルに出演しました。世界の3人の主婦のおひとりとしてです。ちなみに松永さんの本業は医療通訳です。
テーマは「夏に食べたい料理」で、動画は3本。動画ごとに3人がそれぞれおすすめ料理とそのレシピを紹介する内容ですが、松永さんはどんな料理を選んだのでしょうか。それは以下の3つの「ガチ中華」でした。
それぞれの料理のレシピの詳細は、動画をご覧いただくとして、簡単に松永さんの話を紹介します。
ジャージャー麺(炸醤麺)
最近、日本でもインスタントのジャージャー麺がスーパーで売られていますが、中国のものとはかなり違うそうです。
松永さんは話します。「中国では平べったい小麦粉麺を包丁で切ってつくります。麺はコシがあります。日本でいうと、細うどんのイメージが近いでしょうか。
切った麺をいったん茹でて、冷水で冷やします。具材はきゅうりの千切りと枝豆、中国特有の赤い大根(紅芯大根)の千切りをトッピングします。紅芯大根は、以前は日本にありませんでしたが、最近は自宅の近くのスーパーでも見られるようになっています。
赤い大根をトッピングとして入れると、とてもきれいな彩りになります。炸醤麺なら肉味噌です。別ものの涼麺ならごまだれです。コクを出すために、ごまだれに少しピーナッツバターを入れる人もいます」
この話をしているとき、アメリカ在住のシドニーさんは言いました。「こちらではこの麺は見たことがありません。アメリカの中華料理は揚げ物が多い」。確かにそうかもしれません。世界各地で、それぞれ異なるご当地中華が生まれているからですね。
※ ジャージャー麺のシーンは9:18頃から。
涼皮(リャンピー)
「夏に食べたい料理といえば、涼皮ははずせない」と話す松永さんは、そのレシピをこう解説します。
「これは北京ではなく、西安名物の小麦粉料理で、つくるのにちょっと手間がかかります。まず小麦粉を水でこねて丸めたものを水で洗い、そのとき溶けだした半透明の小麦粉の薄い膜を平たい鉄板の上で焼いて、これが麺になります。
麺ができたら、食べやすく切って、これにいろんな具材を載せます。調味料もお好みですが、お酢をたっぷり入れて食べるとおいしいです。香りが高く、冷やして食べると、食欲が刺激されます。大盛りで食べるというより、軽食としてお酒飲む人なら前菜に、またしめにもなります。きしめんを使って、なんちゃって涼皮もあり。
日本では夏になると中華料理店の入口に『冷やし中華始めました』というポスターが貼られているのをよく見かけますが、北京ではこれが涼皮です。ところが、最近都内のガチ中華の店でも『涼皮始めました』というポスターやのぼりが見られるようになりました」
するとシドニーさんが今度は「アメリカの中華レストランで涼皮を見ました」と発言。もともとアメリカのご当地中華に涼皮はなかったと思いますが、最近、東京と同様に世界各地で「ガチ中華」が生まれているので、涼皮を出す店が出てきたのかもしれません。
※ 涼皮のシーンは9:10頃から。
北京風ズッキーニのオムレツ
「これはズッキーニをたっぷり食べたい人におすすめ。意外かもしれませんが、ズッキーニは北京では昔からある野菜です。丸ごと1本細かくスライスして、タマゴと小麦粉に水を入れて生地にします。あとはフライパンで焼くだけ。
ズッキーニのような夏野菜は身体にこもった熱を外に出してくれるので、夏にぴったりの一品です。食感は柔らかく、好みのタレを付けて食べます。酢醤油がベースで、自家製ラー油や花椒を入れます。花椒は香りが良くて、口の中がしびれます。四川料理によく使われます。なにしろ10分もあればつくれるお手軽な一品です」(松永さん)
身体にもいい、夏野菜たっぷりのオムレツ。これも中華なんですね。
ところで、この動画の中で松永さんの活動の一環として、当研究会のことも紹介しています。英語の字幕付きなので、海外にも広まるとうれしいです。
※北京風ズッキーニのオムレツのシーンは7:18頃から。
「Planet of Food」では、このように毎回いろんな方が出演し、世界の地元メシを紹介しています。個性的な出演者のおかげで、笑いの絶えない楽しい番組です。同チャンネルでは、出演してくださる料理好きの主婦を随時、募集中だそうです。
Planet of Food
問い合わせ先:島津秀泰