中国四大中華「北京料理」の特徴や代表的な料理を詳しく解説!

ご飯が進む味付けが多く老若男女問わず幅広い層に人気の中華料理は、日本人の口に合うようにアレンジされ、現在では家庭料理としても愛されています。

餃子やエビチリ、回鍋肉に麻婆豆腐…つい最近も食卓にのぼったという方も多いのではないでしょうか。また、ここ数年じわじわと人気が高まりお菓子などにもアレンジされている麻辣味は、実は中国料理に使われる唐辛子と花椒の辛さで表現されたもの。

このように定番おかずやトレンドにもなるほど日本人に馴染み深い中華料理は、四川料理や広東料理などいくつかの種類に分かれています。

今回はその中から北京ダックや宮廷料理で知られる北京料理にフォーカスを当てて、その歴史や特徴、深い魅力についてご紹介します。

中国の宮廷料理「北京料理」とは?特徴や歴史を詳しく解説

北京料理と聞いて思い浮かぶのはやはり「北京ダック」という人も多いのではないでしょうか。また、北京は都として栄えてきた都市なので宮廷料理も有名ですよね。

こちらでは、あまり知られていない北京料理の歴史や特徴、調理法などについて、詳しくご紹介します。

「北京料理」とは?特徴や歴史を四大中華で比較

自然豊かな広大な土地を有し、4000年にも及ぶ長い歴史を持つ中国では、気候や風土の違いからそれぞれの土地に合わせた固有の食文化が発達してきました。

中国の料理は、北方系の北京料理、東方系の上海料理、南方系の広東料理、西方系の四川料理の4つに分類する考え方があります。

四大中華の一つである「北京料理」は、中国北方系のもので、歴代中国王朝が現在の北京に首都を定めた後の北京貴族の宮廷料理や、北京市民に馴染み深い家庭料理や郷土料理のことを指します。

それぞれに使われる食材や特徴、代表料理を見ていきましょう。

特徴味付けやよく使われる食材代表料理
北京料理・都であったため洗練された宮廷料理が発展してきた ・寒さ対策のため、体を温める料理が多い・油、味噌、醤油は濃厚で、味がはっきりしている ・小麦を代表とする粉食が多い ・羊や豚を使った料理も多い北京ダック・涮羊肉(羊肉のしゃぶしゃぶ)・水餃子
四川料理・辛さのバリエーションが豊富 ・夏は高温多湿、冬は寒い地域ならではのスパイス使い・痺れをともなう辛さを意味する「麻辣」が味付けの特徴 ・豆板醤、豆豉、酒醸 もよく使われる  ・麻婆豆腐・棒棒鶏・担担麺・樟茶鴨(アヒルの香りいぶし)    
上海料理・海と川問わず魚介類が豊富 ・風土的に日本に近いので日本人に馴染みやすい料理が多い・素材の持ち味を生かした優しい味付け、濃厚で甘辛い味付けのどちらもある ・海産物全般がよく使われる蒸大閘蟹(上海ガニの蒸し物)・東坡肉(豚の角煮)・ 龍井蝦仁(むきエビの龍井茶入り炒め)  
広東料理・食材の宝庫 ・西洋料理の影響も多く受けている ・飲茶発祥の地・味付けは比較的淡白、まろやかで調和がとれている ・フカヒレ、燕の巣、干しナマコ。フルーツ・焼乳猪(仔豚の丸焼き)・紅焼果狸(ハクビシンの煮込み)・蒸冬瓜盅(冬瓜の五目詰め蒸しスープ)  

「北京料理」に使用されている調味料と調理の仕方

北京料理の出発点は宮廷料理なので、手が込んでいて繊細、歯ざわりの良さや柔らかさ、新鮮さ、香りに重点が置かれているものが多いのが特徴です。また、北方のため米や魚よりも小麦粉や獣肉が多用されます。

調理方法は「揚げる」「炒める」「柔らかく煮る」「ロースト」「あんかけ」などバラエティに富んでいますが、北京ダックを焼く窯はインドのタンドールや中東や中央アジアでパンなどを焼く窯に似ており、東西交流の証しを垣間見ることができます。唐辛子や醤油、みそをよく使い、味付けは塩味が強くややこってりしているのが特徴。

「北京料理」の歴史

元朝の時代から都として栄えてきた歴史ある都市である北京は、世界の八大「美食地」の一つと言われ、中国貴族が食べてきた繊細な宮廷料理が格式高く守られてきました。

本来この地方は気候が寒冷なので味付けが濃く、豚や鶏などの肉類を素材にするのが特徴でしたが、そこへ各地方の特色ある料理が流入し独自に発展することになります(地方の官吏が都にのぼる時は、必ずその土地の料理人を連れて上京したため)。

つまり、山東料理を根底とした北京の素朴な料理と各地方官吏によってもたらされた各地の特色ある料理と宮廷料理の流れとが渾然一体となったものが北京料理だと言えるのです。

高級だけじゃない!代表的なものからディープなものまで北京料理一覧

北京料理の特徴や歴史がわかったところで、次は代表的な北京料理を見ていきたいと思います。

北京ダック

北京ダック(烤鴨)は、炉の中でパリパリに焼いたアヒルの皮を削ぎ切りにし、「薄餅(ハオピン)」という薄いクレープ風の生地にネギ、キュウリ、甜麵醬と共に包んで食べる料理。日本では高級料理のイメージがありますが、本場北京では庶民の味としても親しまれています。

北京ダックは外国人をもてなす料理として古くから宮廷で出されていたことから、海外にも比較的早く広まり、海外でも高い知名度を誇ります。

日本ではパリパリとした皮だけを食べるのが主流ですが、本場では皮付きのまま肉を切り分ける店も多く、ジューシーな身をあっさりと食べさせてくれるキュウリと白髪ネギ、甜麺醤の甘さとコクが絶妙なハーモニーを奏でます。北京市内の専門店では、「一匹」「半匹」といった単位で北京ダックを注文し、併せて前菜、スープ、揚げ物などのアヒル料理をメニューの中から選ぶのが普通。北京ダックのコース料理の場合は、肉は肉料理に、骨はスープに、水かきは辛子和えに、肝臓は素揚げにして無駄なく食べます。

炸醤麺(ジャージャーメン)

炸醤麺とは、中国北部の家庭料理である麺料理の1つ。日本でもジャージャー麺などの名称で知られています。

豚のひき肉と細かく切ったタケノコ、シイタケなどを豆味噌や甜面醤などで炒めて作った「炸醤」と呼ばれる肉味噌を茹でた麺の上に乗せた料理。好みで千切りのキュウリや細切りのネギなどの他、北京では大豆など豆類を乗せるのが特徴です。

また麺については、本場ではきしめんなどに近い、鹹水の含まれない太くて平たい白い麺が使用されます。日本では甘味を効かせることも多いですが、北京のものは塩気が強いのが特徴。

涮羊肉(羊肉のしゃぶしゃぶ鍋)

涮羊肉は羊のしゃぶしゃぶのこと。シンプルな出汁に野菜や羊肉の薄切りをくぐらせて、ゴマベースのタレで食べます。

古くから遊牧民と交流のあった北京は羊肉をよく食べる事で知られていますが、北京の人が冬の羊料理として思い出すのがこの鍋です。涮羊肉に使う鍋は中心が煙突状に突き出た火鍋子(フオグオズ)と呼ばれる銅鍋。煙突のような筒の中に入った炭火で温めます。

タレは、芝麻醤をベースとして、豆腐を塩漬けにして紅麹で発酵させた紅腐乳や韮菜花(韮の花の発酵ペースト)など十数種類の材料から作られます。具の定番は春菊、白菜、酸菜(白菜の漬物)、香菜、凍豆腐(しみ豆腐)、春雨、椎茸、木耳、エノキダケなど。

食べ方としては先に肉を食べて羊肉のダシが出たところで他の具を煮るというのが一般的です。涮羊肉に欠かせない脇役は、箸休めの糖蒜(ニンニクの甘酢漬け)と、〆に食べる焼餅(中華風胡麻パン)。

水餃子

日本人も大好きな餃子は中国各地で見られる料理ですが、中でも北京や東北地方では主食として水餃子が日常的に食べられています。春節(中国のお正月)でも欠かせない大切な料理で、縁起の良い食べ物として家族や親戚が集まって皮から作って食べる習わしがあります。

水餃子はたくさんの種類があり、日本でお馴染みの豚肉と野菜の餡はもちろん、羊肉と香菜の餡、トマトと卵だけの餡など実にさまざま。特に北京ならではのおすすめの水餃子は茴香(ういきょう)を使った餃子。茴香はフェンネルシードの葉の部分で独特の爽やかな香りがあり、一度食べると癖になる味わいです。

葱油餅

葱油餅(ツォンヨゥピン)とは、小麦粉で作った生地に油を塗り、ネギの細片を具として巻き込んで焼いた料理のこと。北京の屋台の定番の食べ物の一つで、いわば北京のB級グルメです。

小麦粉を水で練って、そこにネギを細かく刻んだものを混ぜ、生地を薄く延ばして油を塗ったら、暑く熱した鉄板の上で焦げ目がつくまで焼き上げます。屋台では、焼きあがった葱油餅に放射状に切り込みを入れて、三角形に切り分けて供されます。

杏仁豆腐

杏仁豆腐は中国発祥のデザートで、もともとは薬膳料理の一種。乾性咳嗽(咳)の治療薬であるアンズ類の種の中の仁(じん)「杏仁 (きょうにん)」を粉末にしたもの(杏仁霜)を、苦味を消すために甘くして服用しやすくした料理です。

咳止めや喘息、便秘に効くとされている杏仁は苦味が強く、なかなか人々の口に合わなかったため、粉末状にした杏仁に甘味や牛乳を加えて食べやすく加工したのが「杏仁豆腐」の始まりと言われています。その後薬膳デザートとして全国的に広まったものが宮廷にも伝わり、宮廷料理の最高峰「満漢全席」のデザートとして、皇帝や妃たちに供されました。

本来は杏仁を細かく砕き、さらにすりつぶして搾り取った白い汁を寒天で冷やし固めて作りますが、杏仁霜(杏仁の粉末)やミルク・アーモンドエッセンスなどで白い色や香りをつけた簡便な作り方のほうが広まり、日本でも親しまれています。

ディープな『北京料理』を味わえるすすめの中華料理店  

こちらでは、北京料理の特徴でもある羊肉を使った料理を体験できる人気店をご紹介します。もちろんそれ以外の料理も絶品!羊肉が苦手な人でも食べられると評判のお店ですので、ぜひ本場の味を楽しんでみてくださいね。

東来順(トウライジュン)

東来順(トウライジュン)は、百年の伝統を誇る「北京式火鍋」の老舗。火鍋は中国の伝統的な工芸品である七宝焼き「景泰藍(けいたいらん)」の鍋で供され、本場北京の雰囲気が味わえます。

新鮮な手切りラムは臭みがなくラム肉本来の旨味たっぷり。付けダレや薬味の種類も豊富で、自分好みにアレンジできるのも魅力です。火鍋のコースのほか、単品料理や点心も楽しめますよ。

【東来順(トウライジュン)】

豊島区西池袋1-23-1 エルクルーセビル 6F

03-6914-2271

全聚徳(ぜんしゅとく)

中国でも北京ダックの老舗の「全聚徳」の味を日本でも味わうことができます。

145年余りの歴史があり、世界各国首脳、有名人もよく訪れる老舗として有名なお店です。

全ての製造工程は北京全聚徳と同じ作り方で、本場北京の伝統料理を楽しむことができます。 高級中華を日本で味わいたいあなたにオススメのお店です。

【全聚徳(ぜんしゅとく)】

東京都中央区銀座 5-8-9 BINO銀座5F

050-3627-8222

まとめ

山東料理を根底とした北京の素朴な料理と繊細な宮廷料理の魅力を併せ持つ北京料理。

水餃子など粉ものの種類も豊富で親しみやすく、味わい深いのが特徴です。あなたもさっそくディープな北京料理の魅力を見つけに出かけてみてはいかがでしょうか。

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