最近、中華菓子が食べられるカフェが少しずつ増えているように思います。今回は北池袋にある「ShizukuAR(しずくエイアール:以下Shizuku)」を見つけたので友達Jさんと楽しみに向かいました。北池袋は初めて降りましたが、文字通り池袋の北側で池袋の隣駅にあり、とても静かな地域です。
お店は東武東上線の北池袋駅からすぐのところにあります。

店名の「AR」とは「After Rian(雨上がりの滴)」の略。中でも蓮は「浄化の王様」と言われ、蓮に宿った滴を得ると心身が整うように、Shizukuのハーブ(薬膳)が人々の健康の一助になるように、という願いが込められています。

店内は何とも落ち着きのある空間。壁はちょっとデパートのお茶店のようにも見えます。
案内していただいたのは、大きな木のテーブルにゆったりとした椅子がある特別な雰囲気の席。

メニューで迷っていると、オーナーの洪 連玉(こう れんぎょく)さんが説明してくださいました。
Shizukuは伝統ハーブ専門のお店で、すべてのメニューを無添加、グルテンフリー、白砂糖不使用で作っています。看板商品は「酸梅湯(さんめいたん)」。中国の明の皇帝が酸梅湯の材料である梅を煎じて飲むと伝染病が治ったというのが最初の形と言われています。
その後の清の皇帝は、当時の皇帝向けの食事で多かった肉や油っこい料理を食べていても88歳まで生きられたのは、健康を気遣って出された酸梅湯を毎日飲んでいたから、という話が残っています。
皇帝の拠点は今の北京周辺。酸梅湯は北京の民家へ、そして中国全土に広まり、肉や油っこい料理に相性が良いだけではなく、健康管理のためにも親しまれています。その300年前のレシピを、洪さんのご主人,禹(う)さんが再現して自身の経営する鍼灸院で施術後に患者に出していたものを商品化したのだそうです。酸梅湯の一番の効能は腸活。消化を助ける働きがあります。
使用されているハーブは梅、サンザシ、陳皮、甘草、氷砂糖。どの生薬も無農薬、無防腐剤、衛生管理の徹底されたものを輸入し、日本でも再検査をした上で煎じています。

その酸梅湯を濃縮したもの他、商品を主に高級スーパーやデパートに卸しており、もちろん店内でも買うことができます。




今回は酸梅湯とスィーツがセットになった「薬膳アフタヌーンティー」をいただきます。
しばらくするととても豪華なセットがでてきました!この席でいただくなんて、旅館に来たみたいです。
飲み物はいくつか選べて、私はオリジナルの酸梅湯、Jさんはマルベリー酸梅湯。両方ともホットです。マルベリーは疲労や眼の健康に良いそうです。
酸梅湯

よく見かける酸梅湯はもう少し梅の赤が色に出るのが多いですが、こちらはサンザシや陳皮の黄色が色によく出ています。
早速飲んでみます。オリジナルの方は酸味があり、マルベリーはそれに加え、少し果実の甘さを感じますが、どちらもクセと雑味がなく、後味がさらっとしています。
この酸梅湯にはまだまだこだわりがあります。味は日本人の好みに合わせて、現地にあるような燻製っぽさを少なくしたそうです。また、ハーブを煎じる時に使う水や道具も重要で、水は東洋医学で最高峰の高原の湧き水、長野県の北アルプスの水を使用、煎じる際は金属や鉄ではなく、効能を崩さない土鍋を使います。


最上質の食材と最善の方法でつくられたお茶とお菓子。でも洪さんは、酸梅湯の販売もカフェを開くことも想像していませんでした。
洪さんは生まれも育ちも吉林省。地元の高校を卒業後、20歳で東京へ留学。語学学校はそれぞれ違ったものの、何と同じ高校を卒業したという禹さんや、後に一緒に経営することになる同郷の呉さんと同じ寮で出会います(当時、吉林では日本への留学が流行っていたらしい)。
それぞれ違う道を歩み、洪さんは専門学校を卒業しデザイナーを経てアパレル商社で勤務。禹さんは中医学を学び鍼灸院を開業。同郷の3人はずっと連絡を取り合い、洪さんと禹さんが2021年に結婚。洪さんはアパレル商社で勤務していましたが、禹さんが自分の患者に好評な酸梅湯を買える場所を作りたいという想いに賛同し、薬膳の知識を全て禹さんから学び、デザイナー時代や商社での経営視点を活かして事業を立ち上げることに。そこに呉さんも加わります。

禹さんの鍼灸院のHP
https://www.kyushinkou.com/staff.html
元々は薬膳茶を禹さんの患者さんへの販売や卸売りをする構想だったため、このカフェは商談スペース兼製造所の予定でした。なので、少し静かな場所で且つ禹さんの鍼灸院に近いところを探すとちょうどそれが北池袋でした。
すると、窓越しから中の雰囲気を通りすがりに見て「カフェですか?」と聞く人が続出。「ならカフェも併設しよう」と洪さんが「自然の味付けを活かして食べられるお菓子」を目指して独学でお菓子作りを学び、スィーツもメニューに加えて、2023年9月に卸売り事業とお店をオープン。商談スペースという、落ち着いて話せる空間はカフェにもぴったりの雰囲気です。
後半はお待ちかねのお菓子をいただきたいと思います。
ハーブナッツ


中央:枸杞、なつめ、杏仁、
下:陳皮、なつめ、マルベリー

なつめクッキー

ハーブおこし

なつめアイス

なつめ羊羹

そして、出てきたお菓子にはなつめがよく使われていますが、なつめには「補血・安神」の作用があり、気持ちを落ち着けたり、疲労回復に役立つ食材で「日常の養生」というカフェのコンセプトにも合うことから、中心食材として利用していると洪さん。
豆花

トッピングの一つは杏仁。洪さん曰く、杏仁は食用と病院で処方する用の2種類あり、病院で出す方は苦いそうですが、お店ではそれを出しているそうです。実際はその苦さは感じず、おいしく食べられましたが、色々な薬膳知識が得られるのもこのカフェの楽しいところ。滑らかな自家製豆花(豆乳プリン)には黒蜜がかかり、マルベリージャムとマルベリー酸梅湯をゼリーにしたものがのっています。
この少し酸味のあるゼリーを豆花と一緒に食べるととても爽やかです。Jさんは「トッピングのバリエーションが豊かで食べ進めるのが楽しくて、黒蜜がかかって柔らかくなったなつめも違う食感でおいしかった」と言っていました。実はこのような食べやすさと様々な食感と味の一体感を出すのにとても苦労したと洪さん。この味わい、しっかり私達に伝わっています。
さて、今までのスィーツがまるで主食だったかのように更にスィーツを頼む私達…(笑)
実はミルク入りで甘さが選べる「焼きハーブミルクティー」というのもあるんです。茶葉は中国の雲南省産です。もう一つの看板スィーツと共にいただきます。
健胃 焼きミルクティー

健美 焼きミルクティー

なつめワッフル

最後のデザートです。米粉で作った生地に、すりつぶしたなつめが入っています。

外はカリっと仕上がっていて、一口食べるとほんわか温かかさに癒され、中がモチモチしているので食べ応えも十分。そのままで食べても、なつめアイスを添えて食べてもどちらでもおいしくいただけました。
今回食べたスィーツは酸梅湯の甘さに合う、甘さ控えめなのに心も身体も満足するものばかり。リラックスしながら贅沢な時間を過ごすことができました。また、ちょうど天候が落ち着かない日々が続く中での酸梅湯となつめは、私達の身体を労わるのにとてもよいタイミングでした。
Shizukuは卸売りがメインで7割を占めています。カフェを通して酸梅湯や薬膳の良さをより多くの人に気軽に体験してほしいという願いから、カフェでの価格は手頃にしているそうです。現在の卸先は小売店が中心ですが、今後は飲食店での卸し先を増やすことも目指し、総じて「酸梅湯を第二の烏龍茶にしたい」という目標があります。皆さんも、飲んだことのある酸梅湯の違いや、薬膳の良さをぜひここで知ってほしいと思います。
(aokinapple)
店舗情報
ShizukuAR

豊島区池袋本町4-1-1 三基富士ビル1F
https://shizukuar-hp.com/
Writer
記事を書いてくれた人




