都内の「ガチ中華」は中国東北地方の出身者が営んでいることが多いとこれまで何度かお話ししましたが、この地方を代表する地ビールがハルビンビールです。ちなみにこの教会はハルビンのシンボルともいえる聖ソフィア大聖堂です。
日本では中国ビールといえば、青島ビールがシェアを広げていますし、台湾屋台料理の店では台湾ビールかもしれませんが、最近少しずつ都内でも見かけるようになったのがハルビンビールです。おそらく東北出身のオーナーが多いことも関係ありそうです。
![中国東北地方](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2022/11/no188-c_v2.jpg)
中国に駐在や留学経験のある人の間でもハルビンビールは評判がいいようです。日本のビールに比べると、苦みも少なく軽めですが、さわやかな香りが心地よく、油っぽく濃い味つけの「ガチ中華」にはかえって合う気がします。
現在、日本で飲める主なハルビンビールの銘柄を紹介しましょう。
ハルビンビール
![ハルビンビール](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2022/11/no188-d.jpg)
ハルビンビールの海外輸出用です。中国で売られているビールよりもアルコール度数が高く、小瓶は5.5%、大瓶は5%に設定されています。コクや香りをしっかり感じ、飲み終えたあともスッキリ感があり、食事の風味をそこなうことがありません。
ハルビンビール 小麦王
![ハルビンビール 小麦王](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2022/11/no188-e.jpg)
ハルビンビールの中で最も小麦の香りが強いビールです。小麦特有のきめ細かな泡と軽い舌触りが特徴的です。
ハルビンビール アイスピュア
![ハルビンビール アイスピュア](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2022/11/no188-f.jpg)
香味を洗練させるための醸成工程とクリアにして磨きをかける濾過工程を「氷温マイナス2.2度」で行う「氷温貯蔵、氷温濾過製法」を採用したアイスビール。
ハルビンビールは、ハルビンのある黒龍江省などの東北三省だけでなく、中国全土、さらにはアメリカやロシア、韓国、シンガポールなど20以上の国と地域に輸出しているそうです。
哈爾浜啤酒集団有限公司(ハルビンビール・グループ)が製造しており、日本での輸入・販売は2020年1月に株式会社SWINGが開始しています。
ハルビンの人たちのビール消費量は中国ナンバーワンといわれています。これはこの町の目抜き通りである中央大街にあるハルビンビールのビアホールです。
なかはフードコートにもなっていて、大人から子供まで楽しんでいます。写真の後ろのほうに「俄罗斯面包(ロシアパン)」という看板が見えますが、ハルビンはロシア人も多く住んでいます。
![フードコートの様子](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2022/11/no188-i.jpg)
やっぱりビールには羊肉串ですね。中国の串は長いというか、デカいというか。
![串が長い中国の羊肉串](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2022/11/no188-j.jpg)
ハルビンといえば、毎年7月に開催されるビール祭りが有名です。
![ハルビンで毎年7月に開催されるビール祭り](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2022/11/no188-k.jpg)
場所は松花江の中州にある太陽島の特設会場ですが、中国の国内ビール会社だけでなく、コロナ前はロシアやドイツのビール会社も出展しています。
![松花江の中州にある太陽島の特設会場](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2022/11/no188-l.jpg)
各出展ブースにはステージがあり、ライブが繰り広げられています。
意外かもしれませんが、ハルビンビールはアメリカのNBAやサッカーワールドカップのスポンサーをしています。2017年にはサッカーブラジルチームのネイマールを広告に起用しました。なかなかにワールドワイドなビール会社なのです。
これはハルビンの地下鉄駅構内の派手なグラフィティ広告です。
ハルビンビールというのは、中国ではこんなポップなイメージで知られているんです。地元での合言葉は「一起哈啤(イーチーハーピー)」。
実をいえば、ハルビンビールは1900年にロシア人がハルビンで製造を始めたもので、中国最古のブランドでもあります。当時、ロシアは極東の果てのウラジオストクへの最短距離となる東清鉄道を敷設していました。ハルビンはもともと松花江沿いの小さな漁村にすぎなかったそうですが、ロシア人によって新たに建設された都市だったのです。
ロシア鉄道博物館で目撃したシベリア横断鉄道の歴史
Forbes JAPAN
ハルビンビールに関する興味深い歴史を知りたければ、ハルビン郊外にあるハルビンビール博物館(哈尔滨啤酒博物馆)に行くといいでしょう。
![ハルビンビール博物館(哈尔滨啤酒博物馆)](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2022/11/no188-q.jpg)
この博物館には、いまから100年以上前のビール醸造所を再現した展示があるのですが、入口にかつてのハルビン駅を復元したホームとそこに停車した機関車があります。
![ハルビン駅を復元したホームとそこに停車した機関車](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2022/11/no188-r.jpg)
これは当時の醸造作業やロシア人のいる酒場の様子を見せる展示です。最近の中国の博物館ではこの種の蝋人形などを使った歴史テーマパーク的な展示が多く、かつてハルビンにはロシア文化が花開いていたことを伝えています。
先ほどの中央大街にあるロシア建築の写真なども展示されています。これらの建築の多くは現存しています。
![ロシア建築の写真](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2022/11/no188-v.jpg)
もちろん、現在の現代的な醸造工場も見学できます。
![現代的な醸造工場](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2022/11/no188-w.jpg)
展示が終わると、広い宴会場があり、そこで試飲ができます。団体に限り食事の手配もできるそうです。
日本にはまだ入っていませんが、ハルビンビールにはこんなにたくさん銘柄があります。この博物館に行くと、味わえます。コロナが明けたら、ぜひ訪ねてみてください。
![](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2022/11/no188-z.jpg)
ハルビンビール博物館(哈尔滨啤酒博物馆)
![ハルビンビール博物館(哈尔滨啤酒博物馆)](https://deep-china.tokyo/dc_wp/wp-content/uploads/2022/11/no188-q.jpg)
中国黑龙江省哈尔滨市平房区哈啤路9号
でもまあそこまでしなくても、いまは「ガチ中華」の店に行けば、ハルビンビールが飲めます。もしよかったら、お店の人に「ハルビンビールありますか?」と聞いてみてください。
ハルビンビールについてはこちらをどうぞ。
中華材料 株式会社ショウリツ
株式会社SWING
(東京ディープチャイナ研究会)