中華専門デリバリー「ハングリーパンダ」は試す価値あり 使い方を伝授

町を歩けば、角型のリュックを背負い、自転車で駆け抜ける「ウーバーイーツ」などの配達人の姿をよく見かけます。

でも、そのなかに彼らと違う、黄色やブルーのリュックの配達人がいることにお気づきでしょうか。

彼らは中華専門のデリバリーサービスの配達人です。これらのサービスは、ウーバーイーツなどと同様に、スマホにダウンロードした専用アプリを使って外食店から料理の配達を注文できます。

いま都内では「EASI」「Hungry Panda(ハングリーパンダ)」「飯大将」「anydeli(エニデリ)」という4つの中華専門サービスが知られています。

彼らのサービスの特徴は、本場の味を提供しているディープ中華に特化したデリバリーを行っていることです。そのため、エリアはかなり限定的で、おもに池袋や高田馬場、新大久保などで活動しています。

中華専門デリバリーサービスがよく利用されていることは、ディープ中華の店に行くとよくわかります。店内に客が少なくても、次々と配達人が入店してくるからです。店ではウーバーイーツのような日本のサービスも併用しているので、日本の若い配達人が「ここはなんの店だろう」と目をキョロキョロさせながら店に入ってくる姿をよく目にしたものです。

これらのサービスを運営しているのは、海外に拠点を持つグローバル展開のデリバリーサービスです。なぜこのようなサービスが生まれたかについては、以下の記事をご参照ください。驚きの理由があることがわかるでしょう。

とはいえ、これらのアプリの仕様は中国のデリバリーサービスに準じているため、ウーバーイーツなど日本のアプリに慣れている人には、少し使いにくいかもしれません。そこで、ここではその使い方を簡単に説明しようと思います。

今回説明するのは、ハングリーパンダというアプリです。青地に白抜きのパンダのキャラが目印です。実は、ロンドン発のサービスです。

配達場所は、ディープ中華の店が多い豊島区の南池袋公園にしました。ウーバーイーツもそうですが、住居やオフィスでなくても届けてくれます。とてもいい天気の休日の午後でした。

これがハングリーパンダのアプリです。App StoreやGoogle Playで簡単にダウンロードできます。

アプリを起動すると、まだ日本語バージョンはないため、トップページに中国語の簡体字が並んでいます。以下の10個のアイコンは人気ジャンルを表しています。

  • 「川渝湘味」四川省や湖南省の辛さが特徴の店
  • 「港台食谱」香港や台湾の点心や小吃などの店
  • 「中華物产」文字通り中華物産で、食材等の配達もしてくれます。
  • 「地方风味」中国の地方料理の店
  • 「烧烤夜宵」中華風バーべキュー(串焼き)の店
  • 「甜品饮品」中華スイーツやドリンク
  • 「简餐小吃」中華の軽食や小吃
  • 「香锅麻辣」汁なしマーラータンの店
  • 「熊猫独家」ハングリーパンダ(熊猫外卖)の提携店
  • 「自取9折」注文店での受け取り10%OFFの店

「川渝湘味」や「港台食谱」「烧烤夜宵」「香锅麻辣」などは、いまの中国の若い世代に人気のジャンルです。

ここから好きなジャンルを選んでもいいですし、ひとまずスクロールしていくと、池袋周辺の登録店がリストになって表示されます。さすがはディープ中華の出店数が都内最多の池袋。軽く80軒を超える店が表示されました。

今回は、新感覚の中華外食チェーン、楊國福マーラータンのライス付きメニューを頼むことにしました。

マーラータンの注文の際、「小」から「大」まで4段階の辛さが選べます。

きっとドリンクもほしくなると思ったので、中国のペットボトルの紅茶も注文しました。日本のものよりかなり甘めです。

注文を確定する前に、配達先を伝えなければなりませんが、自分で入力しなくても、GPSによってローマ字ながら住所が自動的に書き出されます。場所柄、配達人にもわかりやすいようにと「公園入口」と書き添えておきました。

この右下の「去支付」をクリックすると、注文が確定します。決済はクレジットカードで紐づけできます。アイフォンの場合、アップルペイでの支払いも可能だそうです。

決済が終了すると、この画面になります。

その後、アプリのマップに店と自分のいる場所が表示されます。

ここに調理も含めた配達時間が表示されます。当初、「37分から45分」と表示されていましたが、実際には約30分後、スマホに電話がかかってきました。中国語でした。

電話で名前を告げ、あたりを見回すと、通りの向こうに配達人が自転車を引いて立っていました。手を振ると、専用のビニール袋に入ったマーラータン弁当を手渡してくれました。

こうして南池袋公園でマーラータン弁当をいただくことになったのですが、注文の際、「小辛」を選んでおいてよかったです。楊國福のマーラータンはマイルドで口当たりのいいスープなのですが、あとで麻(マー)のしびれが舌に残ります。それは、シャープな味わいです。

ところで、現状ハングリーパンダのサービスは、一般の日本人にとって使い勝手がいいとはいえません。アプリが中国仕様であることもそうですが、やはり日本語がないため、店やメニューのリストを見て、諦めてしまう人も多いかもしれません。

実は、もうひとつの中華専門デリバリーサービス「EASI」は一応日本語対応になっています。

以前、このアプリでビャンビャン麺を注文したことがあります。西池袋の人気店「凡記 西安肉夾饃(ファンキーシーアンロウジャーモー)」という西安料理の店に注文しました。

このときは、友諠商店を配達場所に指定したのですが、店も近かったせいか、注文してからわずか15分くらいで届きました。

ただし、アプリは日本語対応といっても、料理名自体は中国語の簡体字ですし、料理の説明もちょっとあやしい日本語なので、う~ん、これではある程度、ディープ中華の実情を知っている人でないと使いづらいかもしれません。

それでも、東京でこのようなサービスが存在すること自体、面白いと思いませんか。試してみる価値はあると思います。

これら中華専門デリバリーサービスは、日本に暮らす中国の人たちの、本場の味を楽しみたいというニーズに根差しています。ぜひ今後は本場の味を知りたい日本人にも使いやすいアプリの開発を進めてもらいたいと思います。

きっとその日は来るのではないでしょうか。

(東京ディープチャイナ研究会)

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