【上海発】雲南省に旅に出て昆明と大理でご当地米線を食べてきた

雲南料理といえば、代表的な主食は米線(ミーシェン)。米粉でつくられたツルツル食感の麺です。

が、一口に米線といっても食べ方はさまざま。一般的な麺料理と同じくスープに入ったものから、スープと麺、具材が別々に出てくる過橋米線、炒めたもの、混ぜそば的なもの、鍋の締めとして食べるものなども。味付けや麺の形状もさまざまです。

ということで今回は、2024年秋に滞在した昆明と大理にて、気になった米線の数々をご紹介したいと思います。

まずは「罐罐米線(グァングァンミーシェン)」。陶器の小さな壺を直接コンロにかけて一つずつ煮込んだ米線です。

ほんのり辛味があって、発酵感がやや強い味噌ベースのスープが美味。具材は挽肉とニラで、壺の底に沈んでいる臭豆腐をまぜながら食べるスタイル。苦手な人は、底部まで箸を突っ込まない方がいいかもしれません……。

お店は昆明老街にある「景星園罐罐米線」。地元の人が犬といっしょに来るようなローカル店です。

「罐罐米線(グァングァンミーシェン)」
小さな陶器の壺入り。地元でもちょっとレアな存在だそう

ファストフード的な「過橋米線」のお店がとにかくたくさんある昆明。そのなかでいちばんだと思ったのが、昆明駅の北口にある「客哪呢」です。

こちらの「雲南伝統過橋米線(うんなんでんとうかきょうべいせん)」は、スマホオーダー時に画面で普通の米線か紅米線(紅米を使った米線)を選べるシステム。せっかくなので紅米線を選んでみたのですが、普通の米線よりもざらっとした口当たりで穀物感があって、「駅前ファストフードチェーンでこのクオリティ!」とびっくりでした。
紅米線は雲南の南方だけという話を聞いたことがあるのですが、普通にチェーン店で食べられるのだということも初めて知りました。

「雲南伝統過橋米線(うんなんでんとうかきょうべいせん)」
現地チェーン系過橋米線のスタンダード。うずらの卵は二つ。値段は30元前後

ところで上海では、過橋米線のスープは熱々の油に覆われた、静かな湖面のような状態で運ばれてくるイメージです。そこに生の具材と麺を入れて熱して、スープの入った器から直で食べる形。

一方昆明でよく見かけたのは、火から降ろしたばかりのグラグラに煮えたぎったスープ。運ばれてきてもまだグツグツしている状態で、熱過ぎるため、食べるときは麺が入っていた器に取り分けて食べるスタイルです。あとは、上海で食べるものよりスープの油の膜感が少なく、さらっとしている感じでした。

そして、今回出会った過橋米線のなかでNo. 1だと思ったのが「過橋米線・8種野生菌」。お店は、大理古城の人通りが少ない一角にある「樹下小館」です。

松茸、羊肚菌、アミガサタケ、黒トリュフ、鶏枞、金耳菌、虫草花、鶏油菌などの雲南のキノコに、草芽(建水料理でよく見る、キノコとネギの間みたいな食感の植物)、諾鄧の生ハム(これが最近ブーム。雲南にレストランを開くフランス人も)など、地域のおいしいものオールスターのような具材が付いてくる米線でした。

「過橋米線・8種野生菌」
ゼイタクな具材がたっぷり。朝ご飯としてふらっと入ったお店だったのでびっくり
「過橋米線・8種野生菌」
具材と米線をスープに入れるとこんな感じ

今回の発見は、お店ごとに具材のオリジナル化が進んでいると思ったこと。それでも各店共通だったのは菊の花。上海では菊の花は入っていなかったような。現地では必ず入れるものなんですね。

あと、初心者だと迷うのがスープに具材を入れる順番だと思います。でも本場では知ったかぶりせず、「わかんないです。初めて食べます」と店員さんに言ってやってもらうのがお勧め。お店によって微妙に違ったりするので勉強になります。

最後は「饵絲(アーシー)」

大理古城のローカル店「永恒有間耙肉饵絲」というお店で食べました。この店舗がある通り・玉洱路は昔ながらの古いお店が多く、地元の人がご飯に来る場所という感じ。表通りの観光レストランとは違う客層の人が集っています。

「饵絲」は、今回大理に来て初めて知った米線の一種で、ひとことで言うと“うどん状の餅”。ツルツル感もコシもなく、ねっとりした餅を麺状に切ったもの。正直、好き嫌いは分かれるかもですが、これからトレッキングに行くとか、街を歩きまくる日の朝ごはんにしたら腹持ちが良くて、体力を温存できるかもしれません。

「饵絲(アーシー)」
ツルツル食感の米線を想像して食べると衝撃の重さ

具材は耙肉という豚のほぐし肉。これにレジ横のトッピングコーナーから薬味や調味料を選んで入れることができます。

「饵絲(アーシー)」の薬味
自由に薬味を入れたり味変できるコーナー。饵絲のお店には必ずあるそう

以下は、お店以外で食べた番外編。

まずは炒めた米線です。現地で知り合った女子に連れられて大理市内の民宿を見学に行ったとき、オーナーの江西人のおじさんが「食べていけばー?」とつくってくれたもの(庭に薪で炊く調理場があって、泊まっている人みんなでご飯をつくって食べるすごくいい民宿)。

ただし、味付けはピリ辛の江西風でした。

炒めた米線
雲南省に住むと、地方から来た人も徐々に米線が主食になっていく?

もう一つは朝ご飯屋台のもの。

大理市内に広がる湖・洱海の近くに出ていた米線屋台で食べた普通の米線です。ひき肉入り辣醤とキノコの佃煮のようなもの(左の茶色い部分)と野菜という、注文したら30秒で出てくる感じの米線でしたが、すごい完成度のおいしさ。

早朝の路上でこういう朝ご飯が食べられる生活、羨ましいなと思いました。

湖・洱海の近くに出ていた米線屋台で食べた米線
朝の湖畔でこういう米線を食べられる大理

今回の雲南省の滞在は、上海で出会った雲南省出身者や雲南在住歴のある人に、昆明と大理のお勧めを聞き、そこだけに行くという企画のためのものでした。

知人10名ほどにお勧めのお店、場所、人などを聞いていろいろ取材したのですが、米線を勧める人が意外に少なく、特に過橋米線はなんとゼロ。雲南の友人たちからは、「地元の人で食べる人はいないと思う」という意見もありました……。でも、現地で食べてみるとやっぱりおいしい。あと、こんなに一人旅の味方な名物料理はないと思います。

ビザなし渡航も可能になったので、ぜひ皆さんも雲南省へ未知の米線探しの旅へ出かけてみてください。

(萩原晶子)

店舗情報

景星園罐罐米線

景星園罐罐米線

昆明市五華区文廟直街19-20号
9:00-20:30

客哪呢

客哪呢

昆明市官渡区永平路11号
7:00-23:00

樹下小館

樹下小館

大理白族自治州大理鎮护国路186号
9:00-22:30

永恒有間耙肉饵絲

永恒有間耙肉饵絲

大理白族自治州大理古城玉洱路南邯苑客桟傍
8:00-24:00

Writer
記事を書いてくれた人

萩原晶子

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