東京ディープチャイナのFacebookグループには、毎日いろんな方から「ガチ中華」にまつわる楽しい投稿が届いています。
今回紹介する和田茜さんもそのひとり。上海のお隣の運河と庭園の町、蘇州出身の和田さんは、日本の方と結婚し、来日してもう30年になる方ですが、いつも魅力的な故郷の食文化を教えてくれます。
長江下流域の歴史の古い町で育った和田さんは、いま流行の麻辣味や羊料理などの「ガチ中華」よりも、中国南方の素材その物のおいしさをシンプルに、やさしい味で表現している料理がお好みだそう。
そんな彼女が今年1月のある日、こんなことを呟いていたのを目にしました。「今月は日本と中国のふたつのお正月が味わえるから、とても得した気分」。なるほど、一般の日本人にはピンとこない中国の旧正月(春節)ですが、両国文化を理解している和田さんにはそんな風に感じられるのですね。
以下、元旦から2月上旬の「元宵节」に至る和田さんの投稿から、日本と中国のふたつの正月のおいしい過ごし方について教えていただきましょう。
1月6日
新年好!今年もよろしくお願いいたします。
我が家のお正月料理には必ず私流の中華を入れたりします。
今年好評だったのは三品です。
まずは、ドラゴンフルーツです。果肉が赤いレッド種は台湾が原産の品種だそうです。それをカットし、何とかバラのかたちにし、残りは牛乳と煮て、美味しいデザートにしました。
次は“油爆虾”という故郷では正月に必ず出る料理です。今回照りも良く、使い回しもできて、よかったです。
最後は年越しそば代わりの“排骨刀削面”です。スペアリブを時間かけて、骨も柔らかくなるまで煮て、ラードを取り、麺に合う美味しいスープとなりました。
さて、今月末の旧正月には、どんな料理にしようかな~ 考え中です❣️
1月7日
全聚德さんのおせち~
今年のお節は、有難く長女が中華を予約してくれました。
北京ダックはもちろんですが、伊勢エビとアワビとかに爪も入っていて、豪華‼️
私は脇役のクルミが一番美味しいと思うのはなぜだろう。
1月15日
先日、夫の誕生日用の『定胜糕』(縁起がいいのよね、必ず勝つ)を受け取りに、久しぶりに蘇園ワンタンさんに行って来ました~
春節用の料理も準備していたので、早速注文をし、今年は楽に過ごそうと‼️
昔、蘇州では何か祝い事があると、この餅を近所に配ってましたね。
注文したのは蛋饺:皮は卵で作った餃子。お金に困らないように。
油面筋塞肉も注文した。揚げたピンポン玉大きさの麸に挽肉を沢山詰めるやつ。これは何の意味か忘れたが、単純に食べたかった。
条头糕。糕と高は同じ発音のため、高高兴兴って意味で、正月には外せません。
八宝飯は皆さんご存知ですよね? ちなみに、私が奥にある黒米のを注文しました(*^^*)
蘇州では汤团を食べます。汤圆の倍のサイズです。ちなみに、この角の出てるの中身は肉餡です。まん丸のはごま餡です。
1月21日
今日は旧正月の大晦日です。
今年の年夜飯は、故郷の蘇州にいた時必ず大晦日に出てくる料理を買ったり、作ったりしました。「年味」たっぷり。
熏鱼。揚げた魚をタレにつけ、前菜です
白斩鸡。味の付いてない茹で鳥、食べる時醤油をつける前菜です。
烤麸。小麦粉を原料として作られたスポンジ状の甘塩っぱい前菜です。
拌干丝。干し豆腐の和え物、こちらも前菜です。
椒盐带鱼。この太刀魚はさいこうです。
葱爆蟹。ネギたっぷりの渡り蟹炒め。
面筋塞肉。揚げた麸にひき肉を詰め、醤油で煮る料理です。
豆芽咸菜。これはめでたい、また大豆もやしは「如意」のかたちに似てるため、私は毎年必ず作ってます。
鲍鱼。アワビを蒸してから味付けしてるので、かけるタレが大事‼️
蛋饺汤。これは〆のスープ。本当は前菜の鳥の煮汁にたまごの皮の餃子と赤い根っこが残るほうれん草、ビーフン等を入れますが、煮汁が無くても美味しく出来ました✌️
八宝饭。逆さに20分蒸してから、皿に乗せて、あんかけをすると、ツヤが出て、いい感じ~
1月22日
大年初一(お正月)、南方人は餃子ではなく、お餅を食べます。
餅➡️糕➡️高高兴兴、幸せな気持ちで一年を過ごすって縁起のいい食べ物です。
ちなみに、今年は『蘇園ワンタン』さんで購入したのは、かたちが全部お金に似て、金運アップに繋がりますかね。
☆ピンク:定胜糕➡️昔の通貨馬蹄銀
☆白:金条➡️金ののべ棒
2月5日
元宵节快乐。
正月十五元宵节(旧暦1月15日、満月の日が「元宵节」です)。
ご存知の通りこの日は、元宵➡️汤圆を食べます。
私の故郷蘇州では、汤圆ではなく汤团(汤圆を1.5倍ぐらい大きくした物)を食べます。
いつも行く大久保にある『蘇園ワンタン』さんで芝麻汤团と肉汤团を食べて来ました。美味しかったです~。
先日、私が中国アプリの「Red(小红书)」で蘇州が今流行ってる点心を見つけ、オーナーに転送したら、すぐ試作を作ったらしく、おかげで私も新商品の試食を、いやガッツリと頂きました。おすすめです。
流石こんな沢山は食べれません😂
肉餡の方は噛んだ瞬間、小籠包のようなスープが出てきます
こちらも一口食べたところ、香ばしい黒ごまが流れてきます。
ローズティーも淹れてもらいました。
さて、新商品のご登場です。名前はそのまま『油条包葱油年糕』(万能ねぎとラード入りの塩味お餅)。
1年を通して季節に応じた中国の食文化の話題を提供してくださる和田さんの投稿はこれからも注目です。
店舗情報
蘇園餛飩(ワンタン)
新宿区北新宿1-7-20 プロスペリタ新宿102
03-5330-1808