教えて!黒木さん「雲南の過橋米線が中国女性に人気の理由」

東京にこれだけ多くのチャイニーズ中華の店が増えているのに、そこで供されている料理について、一部の食通やグルメの人たちを除くと、まだ多くの人にそれほど知られていないことは残念です。

こうした東京ディープチャイナ研究会の思いを共有していると思われる人たちは、ネットやYouTube上でよく見かけます。そのひとりが、黒木真二さんです。
黒木さんは、2007年から14年にかけて北京を拠点に活動をしていた日本人俳優です。現在は中国人の奥様と暮らしながら、日中双方で役者として活動を続けています。

彼のYouTubeチャンネル「本当の中国」は、中国に関するさまざまなテーマの動画を配信していますが、なかでも「日本にある本格中華料理」の紹介動画は、チャイニーズ中華の世界をわかりやすく伝えてくれます。

黒木真二さんのYouTubeチャンネル「本当の中国

彼が紹介する料理や店は、いままさに都内で起きている新しい食のシーン「東京ディープチャイナ」を代表するものばかりです。そこで、本サイトでは、黒木さんの発信する動画とそこに出てくる料理や店をあらためて取り上げて紹介したいと思います。

第1回は、雲南の過橋米線(かきょうべいせん)です。
みなさん、どのような料理かご存知ですか?

まずは黒木さんの動画をご覧ください。

【本格中華】ヘルシーで美味!雲南省大衆料理『過橋米線』!

黒木さんが訪ねたのは、東京メトロ銀座線の末広町駅に近い「中国雲南酒膳坊 過橋米線(かきょうべいせん)」という店です。

「中国雲南省の大衆料理、過橋米線!

モチモチのお米の麺がとってもおいしいです!

漢方の入った気鍋鶏もオススメ!」

黒木さんがそう説明する過橋米線(かきょうべいせん 中国読みは「グオチャオミィシエン」)は、中国雲南省を代表する麺料理です。食べ方に特徴というか手順があって、黒木さんがそうしていたように、小皿に盛られた肉やキノコ、野菜を、碗に入れた熱いスープに入れ、塩や胡椒で味を調え、最後にご当地ライスヌードルの米線を入れて食べます。スープは鶏がらや豚骨などを煮込んだもので、奥深い味わいがあります。

料理の由来については動画の中で、この店のご主人である岸川さんが話していた内容が最も一般的です。

米線は文字どおり、お米の粉でつくった雲南の麺ですが、ビーフンよりずっと太く、モチモチ感があります。中国では若い世代に人気のファーストフードになっています。

そのせいか、この店では麻辣味の担担スープや羊肉入り、モツ煮込み入りなど、さまざまなタイプの米線を用意していますが、最も基本的なメニューは「伝統雲南過橋米線」と「薬膳過橋米線」です。特におすすめは薬膳米線で、ナツメ(枣)やクコの実(枸杞)などの漢方が入ったヘルシーなスープです。

薬膳スープといえば、もう一品紹介していた「気鍋鶏(チーグオジー)」も雲南では有名です。鶏肉を高麗人参や当帰(トウキ)、天麻(テンマ)などの漢方と一緒に、真ん中に穴の空いた汽鍋という雲南発祥の特製鍋による蒸気で蒸し煮してつくります。

黒木さんはこのスープに入っている漢方の当帰や天麻の効能について語り、中国では特に女性に人気だと話していました。この店のいいところは、これらの薬膳スープが1000円以内のお手頃な値段(伝統雲南過橋米線、薬膳過橋米線、気鍋鶏はすべて894円。ただし、気鍋鶏は1日限定8人前まで)で食べられることです。

この動画がさらに面白いのは、この店のオーナーで、中国黒龍江省ハルビン出身の岸川利男さんのインタビューが収録されていることです。岸川さんは1989年に来日した方ですが、今日のように都内に米線の店があふれるようになるずっと以前の、2006年にこの雲南家庭料理の店をオープンしています。岸川さんは個性的なチャイニーズ中華を先駆けて日本人に提供した方といえます。この店は、米線以外にもさまざまな雲南料理が味わえる店です。

ぜひ雲南の過橋米線や気鍋鶏の薬膳スープを味わってみてください。

店舗情報

中国雲南酒膳坊 過橋米線

千代田区外神田6-5-11
03-3835-7520 
kakyoubeisen.com

Writer
記事を書いてくれた人

黒木 真二

プロフィール

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