中医師・村木の“教えて!むー先生!”その2「薬膳、素朴な疑問」

中医師・村木の“教えて!むー先生!”その2「薬膳、素朴な疑問」

読者の皆さん、こんにちは。中医師の村木亜ゆみです。

皆さんからの質問にお答えしますよー、と専用の質問ボックスを作ったらですね、いろいろな質問をいただきました。

今日はその中から「薬膳に関する素朴な疑問」にお答えします。

薬膳って、なんだか身体によさそうなイメージがありますよね。「自然の素材を使って、身体にいい料理を作る」ことに違いはありませんが、本来は中医学の知識をもとにして、病気にならない身体づくりをしたり、病気になったときに早く治るようにサポートするように材料を選んで料理を作ること、だと思っていただけるといいかしら。

さてここで質問登場です。

「薬膳料理には生薬を必ず使わなくてはならないのですか?」

いえ、そんなことはありません。

確かに生薬使ったほうが効果はあるかもしれませんが、中医学の基本の知識だけでも十分身体によいものが食べられます。

その基本とは「温めるか冷やすか」「補うか出すか」

これだけでOKです。冷えていたら温めるでしょ。逆に暑かったら冷やす。元気がなかったら元気が出てくるようなものを食べるし、なんか詰まってたら出すようにする。まずはそこから始めましょ。

で、補うといえばエネルギーである「気」や、身体の栄養であり潤いでもある「血」(ち、じゃないぞ、けつって読むだよ)が足りない時に、それを補うように穀類とかレバーとか食べてきたでしょ。元気ないときにおにぎりとかお団子とか食べると元気出たのは私だけかしら…。

「血が足りない時にレバーがいいと言われていますが、鶏レバーと豚レバーと牛レバーとどれがいいですか?」

うーむ、種類まで考えたことはなかったですなあ。薬膳の世界って、結構緩いんです。

ほかの食事療法的なものだと「●色のものを食べてはいけない」とかあれこれダメだって制限が多いのですが、薬膳は「その時の自分に必要なものを必要な量だけ食べる」ことが健康への道と考えるので、前出の質問であれば「レバーなら何でもいいです」って答えになります。

食べやすさとか料理のしやすさで選べばいいでしょう。村木は、焼き鳥屋で買ってくることにしています。

よく言われるのは「身体を冷やしてはいけない」

ハイごもっとも。身体が冷えると、免疫力が云々ではなく、身体の隅々までエネルギーと栄養が届かなくなるからです。

「身体を冷やすものとはどんな食べ物ですか?」

これは誰もが最初に考えることでしょう。ただし、身体を冷やすものを食べたからと言って体温がすぐ下がるとかいうわけではないのです。感覚的なものなので、科学的ではないと思われがちですが、人によってはきゅうりを1本以上食べるとお腹が冷えて痛くなることもあります。

夏は身体を冷やすものを食べましょう、といろいろなところでいわれるようになりましたが、目安の一つは

  1. 瓜の字がつく野菜や果物
  2. 夏野菜
  3. 苦い味のするもの

の3つです。ただし、例外があります。南瓜なんかは身体を温めるほうに近いですし。

私たちの業界では身体を冷やすものは「冷たいもの、生もの」という言い方をします。

生ものというと日本人は寿司や刺身の類を想像しますが、実は生野菜や果物もそこに入ります。ですので、冷えているという自覚のある人は生野菜とか果物とか量を控えめにしたほうがいいでしょう、とお勧めしています。

面白いのは「加熱して食べれば大丈夫」という考え方。

火を通すことで身体があまり冷えなくなりますよ、てことなんですが、そりゃそうだ。野菜だって野菜炒めにしたらホカホカで食べられるもんねえ。たぶん、生ものを食べないというのは、身体を冷やさないということもあると思いますが、寄生虫とか食中毒の危険性があるからでありましょう。今と昔の衛生状態を同じと思っちゃいけません。

今と同じ状況でないからこそ、薬膳の考え方が生まれたのでしょう。身の周りにあるものを使って、自分の身を自分で守る。中医学に限らず、医学や健康に関することは洋の東西問わず身近なものを使うことから始まっています。その方法が洋の東西で違っているというのは面白いものです。歴史に関する質問も来ていますので、いずれそちらでお話ししましょう。

では、引き続き皆さんからの質問、お待ちしてまーす!

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記事を書いてくれた人

村木亜ゆみ

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