読者の皆さんこんにちは。中医師の村木亜ゆみです。
「暑さ寒さも彼岸まで」といいますが、彼岸の入りになったら、涼しくなってきたような…。
朝晩はその前から涼しくなっていましたが、日中の陽射しがかなりきつかったですねえ。
意外と夜になっても室内の気温は下がらず、寝苦しい日が続いていましたので、これで眠れるようになることを期待するむー先生です。
さて、いつもの年ならこの時季は湿度が下がって、陽射しはじりじりと暑くても、さわやかなお出かけ日和~なのですが、今年はなかなか湿度が下がりません。
昼間に外に出るとむわっと熱気が…。
まあ、建物の中が冷房で冷え冷えなので、外に出て温まったりしておりますが。
今回の質問は
「夏はどんなに暑くても平気なのですが、冬が苦手です。苦手どころではなく、寒さの余り外に出られなくなります。
屋外での仕事なので冬は寒くて引きこもりになるので、ほとんど仕事をしない状況です。どうしたらいいでしょうか?」
というのが来ていますね。どれどれ。
「冷え」は女性によくみられる自覚症状ですが、最近は男性も「冷えがある」と聞くようになりました。私たちはなぜ冷えを感じるのでしょうか?
一つ目の理由は「外から寒邪が入ってくるから」。
北風こぞうのかんたろう~♪を想像しますが、「寒邪の寒たろう」がやってくるイメージです。
以前、邪気の話をしたことがありますね。自然界の季節の特徴の程度が激しくなり、人体の許容範囲を超えると私たちを病気にしてしまいます。
寒たろうは、収引と凝滞といって、何かを縮ませたり、流れているものの流れを悪くしていきますので、気血の流れをのろのろに変えてしまいます。
そうすると身体の隅々まで熱が届かなくなって冷えます。それから、体内の水分の代謝が失調して水がたまると、水は陰なので冷えます。
このほかの理由として
人体が身体を温めようとする力が
不足していることが上げられます。
私たちの「気」、すなわちエネルギーの
総元締めのような存在ですが、
「気」は身体を温めるはたらきも持っています。
人体には「陽気」といって、
身体を温める小さな暖房装置があると
考えてみてください。
その暖房装置が、半分以下の大きさに
なってしまったら…身体は温まらなくなります。
この方の場合は、寒さを受けると
熱とエネルギーが届かなくなることが考えられます。
さらにライフスタイルや既往歴など、
いろいろなことを聞いてみないとわからないことが多くて
的確なアドバイスができませんが、
冬場は温め力の強い生薬が配合された
漢方薬を使いつつ、温める食材を中心に摂り、
寒たろうに負けない体づくりをすることが
よいのではないかと思います。
実際、似たような例が私の周りでありました。
その方も冬になると寒くて引きこもりになり、
仕事ができない状態になるので
冬は南国に移住したいと思っている、
とおっしゃるのでそれもいいんだけど、
と上に書いたような話をしました。
漢方薬は何がいいかというので
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)を
勧めました。
魔法の呪文のような長い名前の処方ですが、
温める生薬がたくさん入っている処方です。
翌日本人から「買ってきました~今から飲みます~」
とメールが来てたまげましたよ!
いやいや、この暑い時期に飲んじゃダメでしょ!
冷えて症状があるからそれを緩和するために飲むのであって、
この時季に飲んだら鼻血ぶーになったりするでしょ。
と、返事をしたら
「じゃあ、冷え予防のために涼しくなったら飲みますね」
ちがう、そうじゃないい…。
予防のために飲むものもありますが、
漢方薬は適応を守って飲みましょう。
むー先生からのお願いだ。
次回もお楽しみに~!
質問もお待ちしてまーす!
(村木亜ゆみ)