中医師・村木のディープチャイナ漢方Vol.3「春の薬膳レシピ」

中医師・村木のディープチャイナ漢方 Vol.3「春の薬膳レシピ」

みなさんこんにちは。中医師の村木です。

3月になったらようやく暖かくなってきたと思ったら、まだ寒暖の差が激しい日々が続きます。

そんなときは体調を崩しがちですから、中医学の知恵で養生して、春本番を迎えましょう。

前回、春は青いものを摂りましょう。といっても、ブルーハワイなんかの青ではなく、緑色のもの、青菜類などを食べましょうという話をしましたので、今日は春に摂るべき食材について具体的に話しますね。

食材の話をする際に、必ず「性味(せいみ)」という言葉が出てきます。

初回にも書きましたが、「性味」の「性」は「性質」のことで、身体を温める食材か冷やすか。

「味」は酸、苦、甘、辛、鹹(かん・塩辛い味)の5つの味をさします。

今後は「性味は〇〇で△」という書き方をしますので、ご承知おきください。

漢方を知るきほんのき 3回目

さて、青菜類はできれば旬のもの、香りのするものが良いでしょう。

漢方では、旬のものはその季節のエネルギーがたくさんあると考えますので、菜の花や春キャベツはおすすめの食材です。

菜の花の性味は「辛温」。気血を巡らせるはたらきがあり、独特の苦みも冬の間にため込んでいたものを外に出すのを助けます。

春キャベツの甘みは消化吸収を担当する五臓の「脾」を元気にします。

もうひとつ、通年で手に入るものではありますが、この季節に摂るとよい野菜、それは性味が「甘苦」で「涼」のセロリです。

イライラしたり、頭に熱が上がったような感じがしたりするときは、セロリの独特の香りが滞りがちな気を巡らせ、身体の熱を冷ますはたらきもありますのでおすすめです。

さていよいよ春の食材を使ったレシピの話をしましょう。

桜の季節に出回る鯛を「桜鯛」と呼びますが、栄養学的にはたんぱく質もビタミンも摂れるとのこと。

薬膳的にも鯛の性味は「甘微温」。身体を温めてエネルギーを補うものとされています。

そこで、桜鯛を使って中華料理の清蒸(チンジョン)にチャレンジしてみます。

本格的に蒸し器を使ってもいいですし、電子レンジでも簡単に作れます。

まずは材料から。鯛の切り身、ネギ、パクチー、生姜と調味料のしょうゆ、日本酒、ごま油です。

① ネギと生姜を切ります。生姜は千切りに、ネギは白いところを細く切って白髪ねぎに、青いところはぶつ切りにします。

② 鯛の切り身に塩を振り、皿にまずネギの青いところを置き、その上に鯛と生姜をのせて、日本酒をかけて蒸し器で15〜20分蒸します。ラップをかけて電子レンジで3~5分加熱するのでもいいです。

③ いい感じに蒸しあがりました。これに白髪ねぎをのせてしょうゆをかけます。

蒸し上がり

④ ごま油を煙が出るまでフライパンで熱し、熱々になったものと味ぽんを③にかけ、パクチーのせたらできあがり〜。

清蒸って難しいかと思っていましたが、意外と簡単ですよね。

鯛は気血を補うので、疲労回復などに。ネギと生姜は、まだ寒い日が残る春先に身体を温めます。

しょうゆだけだと味が物足りないので、オイスターソースやハチミツなどで甘みを少し加えるとよいかもしれません。

村木は手抜きして、めんつゆや味ぽんを使ったりしています。

三つ葉やせりなどの香りのよい野菜をのせると気の巡りもアップ。

パクチーにするか三つ葉にするか迷いましたが、パクチーにして正解でした。どちらも気を巡らせるはたらきがありますが、食材選びで和と中華に分かれますね。

副菜には、菜の花のからし和えやセロリのピクルスをどうぞ。

春の食材を使ったレシピ

薬膳料理は、このように簡単なものから、生薬を使うものまでさまざまですが、簡単にできることから取り入れていきましょう。

普段食べているものが身体にとっていい影響を与えるものもあれば、逆に健康を害するものもあります。

健康を害する食材の組み合わせについても、いずれ書いていきますね。

次回もお楽しみに~!

Writer
記事を書いてくれた人

村木亜ゆみ

プロフィール

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