「池袋=ガチ中華の聖地」というイメージはこのサイトをチェックしているみなさんにとっては周知の事実かと思いますが、実際どこにどんなお店があるか、どこ行けば何にありつけるのか、冒険しようにもキリがないほどにそのお店の数は膨大。大学時代4年間を池袋で過ごした私でも、無数にあるガチ中華の選択肢に迷い、結局いつも同じお店に行ってしまいます。
今回はそんな池袋のガチ中華事情を整理する絶好の機会ということで、2月10日(土)に開催された第1回池袋「ガチ中華」街歩きツアーに参加してまいりました。
このツアーは、東京ディープチャイナ代表の中村さんの解説を聞きながら池袋西口周辺に100店以上あるガチ中華のお店を巡り、ゆるりと街歩きをするツアーです。
実は、4月13日に「まいまい東京」という旅行会社の主催で同様の街歩きツアーを実施するそうで、今回はTDCメンバーの参加者を中心に、その予行練習のような形での開催でした (ちなみに4月のツアーは即!満員。でも、5月以降もTDCのツアーは開催されるそうなので、SNSは要チェックです)
集合場所は池袋駅西口(北)。この出入口の階段にある赤い広告に既にガチ中華みを感じます。
最初の目的地は「友誼商店・食府」。
中華スーパーにフードコートが併設されたこの場所は、ガチ中華好きの間ではお馴染みの場所。私もよくこのスーパーで中国茶や涼皮麺を購入します。
ちょうどツアーの日は春節だったので店内至る所におめでたい飾りつけが施されていたり、商品ラインナップも海底撈の家族団らんおうち火鍋セットなどが販売されていました。
2Fにある本屋さん×フードコートの「食府書苑」含めなぜ、この雑居ビルにあるスーパーやフードコートはこのような形態を取るに至ったかなどを、中村さんが解説してくださるので耳を傾けつつ、ガヤガヤした現地感を味わったのでした。
この雑居ビルの目の前にあるのが「陽光城」。現地のコンビニがそのままポツンとあるような雰囲気だそうです。参加者の中にはよくここでサンザシやスープのキット、ちまきなどを購入するという方も。
意図しているのか否か、店頭は看板から商品陳列まで赤と黄色で統一されておりとても目を引きます。いつもここの前を通ると思わず立ち止まって覗いてしまうのですが、今まではここで何を買おうか、とモジモジしているだけだったので今度は私もちまきを購入してみようと思います。
そうこうしながら中村さんを筆頭にみんなで池袋の街を巡っていきます(ひとりだと歩くこと若干敬遠してしまう街並みの中も一緒に巡れば怖くない!)。
看板をみながら、ここはどの地域の料理を提供するお店なのか、どんなオーナーが経営しているのかなど解説を聞いていると、今まで素通りしていた場所が一気に自分のテリトリーになった気分に。少し知るだけで、不思議と入店のハードルが下がる感覚があり、「今度ランチでいってみよう~」と、Googleマップにブックマークする手が止まりませんでした。
そして「沸騰小吃城」というフードコートにおじゃまして前半戦を振り返りながら休憩。私は今話題?らしい「楊枝甘露」(マンゴースウィーツ)を注文してみました。スプーンがパンダでかわいい。
このお茶タイムに中村さんからの池袋とガチ中華の関係や歴史についてなどのお話がありました。
あまりその内容を詳細を書いてしまうとツアーのネタバレになってしまうので気を付けつつ、、、
日本人に合わせる時代⇒ガチ中華⇒飽和⇒差別化に試行錯誤。
これが池袋の中華料理店の変遷だそうです。もう少し詳しく紐解くと、それは1980年代に中国人の方々が国外に出始めたところにさかのぼります。
当時は日本人の口に合う料理を日本人向けに提供していたようですが、2010年代になると中国人人口が増えたことでその方たちだけを相手にしても経営が成り立つようになったそう。
また日本人も辛いものを好むようになったり、本場中国の味を求めるようになり、そうなるとどんどんガチ中華店が増えていきます。
そんな現在、オーナーたちはガチ中華店同士の差別化に奮闘しているようです。ガチ中華のお店と思いきや日本式の餃子屋さんと店内が繋がっていたり、四川料理の「烤魚」が食べられると思ったら、日本式の焼き鳥も食べることができたり。中国人オーナーたちの切り替えの早さや発想力には驚かされます。
また参加者のみなさんとのコミュニケーションもこのツアーの醍醐味。
休憩タイムのお話の中で印象的だったのが、エスニシティのお話。国籍、文化、言語、生活習慣の異なる、所謂マイノリティの方々はマイナスイメージを持たれがちだったのが、1990年代以降は日本人の価値観の変遷とオーナーたちのバイタリティの高さが相まって、逆にそのエスニシティを武器にエスニックビジネスが広がっていきました。
ガチ中華店も含め、フードカルチャーの分野においては特に、受け入れられている、というよりも、むしろこちらが求めている状況ですよね。自分が何気なく食べているものがどんな背景で広まって、今自分の目の前に辿り着いたのか。改めて考える機会になりました。
池袋のガチ中華の先駆け、1999年オープンの「永利」はもちろん、蘭州ラーメン店、中国カクテルが飲めるお店など、休憩後もどんどん歩いて巡っていきます。最近の流行りなのか?、サイバーで近未来的な雰囲気の中国系カラオケ店やバーの看板も目立ちました。
個人的に、ガチ中華店の看板やメニューの豪快でパワフルな写真使いやフォントが好きなのですが、今回のお気に入りは、「太陽城」のぎちぎち・ふかふかの肉まんとお粥のコラージュ、「逸品飲茶」の炎に包まれた北京ダックと飲茶たち、「湘聚・湖南菜館」のこれでもかとスパイスがまぶされている串、この3つの看板。これらパワー溢れるメニューや看板を作ることを生業にしている、ガチ中華料理店御用達の業者がいるのかしら…。
看板のことはさておき…、
ツアーの最後は、自由参加ですが、「食彩雲南 池袋西口店(現・ムーさんの蒸鍋館)」にて打ち上げ。青島ビールで乾杯しつつ、「蒸汽海鮮」と「蒸汽石鍋魚」をいただきました。
「蒸汽海鮮」は2段になっている鍋の下段にお米を敷き詰めておき、上段で牡蠣やあわび、ハタなど海鮮を蒸すことで、その出汁でいつのまにか海鮮の旨みたっぷりのお粥ができている、という余すことなく贅沢に、海鮮を楽しめる蒸し料理。脂ののったぷりぷり、ほろほろのハタが忘れられない…。
「蒸汽石鍋魚」は、素揚げしたお魚を選んだスープと蒸して調理し、それを食べた後に野菜、きのこ、お肉、米麺を入れてまた蒸して食べていきます。どちらも強力な蒸気の出る石鍋を使って目の前で調理してくれるので、目にも楽しく打ち上げや宴会にぴったりです。
ちなみに池袋の「食彩雲南」は3月上旬に第二西池ビルへ移転。店名を「食彩 ムーさんの蒸鮮館」に変えてオープンするので要チェックです。
そんなこんなで楽しいツアーの時間はあっという間に過ぎていきました。
ツアー終わり、ふと顔を上げてみると白酒の広告が。ここ池袋にどれほど中国カルチャーが浸透し、「ガチ中華の聖地」と呼ばれる所以をあらゆる場面で感じた一日でした。
みなさんもツアーに参加して、ガチ中華デビューしてみませんか?
(Honoka)
店舗情報
友誼商店・食府
豊島区西池袋1-28-6 大和産業ビル4F
食府書苑
豊島区西池袋1-28-6 大和産業ビル2F
陽光城
豊島区西池袋1-25-2
沸騰小吃城
豊島区西池袋1-43-7 福住ビ3F
太陽城
豊島区池袋2-49-10
逸品飲茶
豊島区西池袋1-24-8 江戸半第三ビルB1F
湘聚・湖南菜館
豊島区西池袋1-38-5 池袋西口セイコービル2F
食彩雲南 池袋西口店(現・ムーさんの蒸鍋館)
豊島区西池袋1-28-1 第二西池ビル6F
Writer
記事を書いてくれた人
Honoka
代表からのひとこと
Honokaさん、お疲れさまでした。
ネタバレに気をつけつつ、ツアーの面白さや感じたことをうまくまとめてくれてありがとうございます。
ツアー募集の告知にも書きましたが、ぼくが池袋の「ガチ中華」の店を案内し、歩きながら解説するというこのツアーを企画したのは、理由があります。それは、この3年「ガチ中華」の普及活動(当初はお店の発掘を楽しんでいただけだったのですが、だんだんそんな感じになってきたのでした)をTDCのメンバーのみなさんと一緒に頑張ってきましたが、それでもまだまだ一般の日本の方たち、また地元池袋の人たちに、その魅力が十分伝わっていないと感じているからです。
そこで、地元の方も含め、いろんな方に声をかけ、池袋のリアルな「ガチ中華」の世界を案内して知っていただこうと思うようになったのでした。
おかげさまで第1回は、参加していただいたみなさんの協力のおかげで、楽しく終えることができました。ツアーに参加した方から「池袋の町の見え方が大きく変わった」「これまでひとりでは入る勇気がなかったが、友達を誘ってガチ中華の店で食事を楽しめるようになった」という声をいただき、ぼくもうれしかったです。
第2回(3月16日開催予定)も、告知後すぐに応募してくださる方が集まり、数日で締め切りになりました(とはいっても、定員10名ほどのささやかなツアーです。それ以上になると、大勢で町を歩くのも大変ですから)。
4月には旅行会社が催行するツアーもあるので、次回は5月になると思いますが、あらためてTDCのSNSで告知させていただくつもりです。
池袋「ガチ中華」街歩きツアーについて