
みなさん、こんにちは。
東京ディープチャイナ研究会代表の中村です。
先日、久しぶりに北千住の「酒仙坊」を訪ねて、味坊のオーナーの梁宝璋さんと飲んだ話をFacebookに投稿しましたが、おかげさまで、8月13日に「地球の歩き方 大連・瀋陽・ハルビン」(以下、「歩き方東北編」)が発売となります。
なにしろ今回の改訂は、コロナ禍をはさんで7年ぶり。その間、ぼくはこうしてみなさんと一緒に東京を中心にガチ中華の店を訪ね歩いてきたのですが、いろんな出来事や出会いもあり、振り返ると、感無量です。

その日、梁さんとどんな話をしたかについては、ぼくが連載をしているForbes Japanにコラムを書いたので、それをお読みいただけるとうれしいですが、どうしても彼を訪ねたかったのは、今回の改訂版の巻頭で中国東北料理を特集しているからでした。
日本で最も店舗数の多いガチ中華が東北料理である以上、本場の味を知るべく多くの日本の人に、現地に旅立ってほしいとの思いを込めた内容であることを梁さんに伝えたかったのです。
さて、「歩き方東北編」の内容についてご紹介したいと思います。
実は、学研のサイトで同書の目次が閲覧できるので、それをご覧いただきつつ、以下お読みいただけるとうれしいです。

地球の歩き方 大連・瀋陽・ハルビン
【7年ぶりの大改訂】近代建築の残る大連、清朝の古都瀋陽、北朝鮮国境の丹東、炭坑の撫順、理想都市長春、霧氷の吉林、高句麗遺跡の集安、聖なる山と湖の長白山、延辺朝鮮族の延吉、東方の小巴里ハルビン、中ロ国境の黒河や綏芬河、満洲里、牡丹江、草原を満喫したいフルンボイルなど魅力あふれる中国・東北地方を徹底ガイド。
まず巻頭のグラビア特集です。
「東北料理をとことん深堀り!
本場のガチ中華に出合うゼイタク食紀行」
今回、写真家の佐藤憲一さんやTDCではおなじみの浜井幸子さんが大連や瀋陽、ハルビン、丹東を訪ね、東北料理の奥深い世界を案内してくれました。またTDCのライターの文香さんが3月に中国の友人と一緒に瀋陽を訪ねていたので、彼女にもたくさんの写真や現地情報を提供してもらいました。みなさん、本当にありがとうございました。
巻頭特集では、12ページを使って、東北地方で体験できるグルメの世界を紹介しました。東京や大阪には多くのガチ中華店がありますが、現地に行かなければ食べられない本場のローカルグルメもたくさんあります。
その料理ジャンルの目次の並びはこうなります。みなさん、それぞれ想像できますか?
- 海鮮料理
- 餃子
- 煮込み料理
- 羊肉料理と粉モノたち
- ロシア料理と定番東北菜
- 延辺朝鮮料理
詳しくは本を読んでいただくとして、ざっと説明すると、「海鮮料理」というのは、港町の大連で供されるグルメが中心になります。また餃子は東北地方の定番料理。現地では海鮮入りの餃子など、いろんな種類があります。煮込み料理や羊肉料理、粉モノは、みなさんだいたいおわかりですね。




東北ならではという意味で面白いのは、ロシア料理です。ハルビンにはたくさんのロシアレストランがあり、浜井さんが訪ねてくれました。

なぜハルビンでロシア料理が食べられるのか、という話はここに書いています。
ハルビンには、こういうボルシチを出すレストランがふつうにあります。

パン屋もこんな感じ。

吉林省東部にある延辺朝鮮族自治州では、朝鮮料理が食べられます。都内にもいくつか店がありますね。
ざっとこんな感じで、東北地方で体験できるさまざまなグルメが紹介されています。特に浜井さんの目線の先に映るディープな品の数々は、まだ日本で食べることができないものも多かったです。この写真は大連で食べられる肉まんの数々です。具材の種類がこんなにたくさんあるんですよ。そのへんは本を読んでいただければ。

ほかにも「毎日行きたくなる!大連商場の楽しみ方」(浜井さん)や「朝から夜まで楽しめる瀋陽の市場グルメ」(文香さん)など、たくさんのグルメコラムが満載です。
今回はこのように東北のグルメに特に力を入れたのですが、第2特集では
「路面電車で訪ねる
古くて新しい大連レトロフューチャーの旅」
という大連の路面電車に乗って街歩きする内容です。

大連市内を走るレトロな路面電車は、なんと1937年製造、すなわち日本統治時代に走っていた電車のデザインを踏襲した車両がいまも走っています。これは驚くべきことです。

ここ数年、大連市内のいくつかの地区が再開発され、おしゃれなエリアに生まれ変わっています。それらのスポットを路面電車に乗って訪ねるという企画です。
そうそう、大連にはウルトラマンのテーマパークがあることも発見しました。

特集にはほかにも、吉林にある日本のプリンスホテルが運営する豪華スキー場やハルビンの氷祭り、内モンゴルの夏祭り「ナダム」、そしてこれはちょっとマニアックなのですが、ぼくの友人で満州族の金大偉さんが現地のシャーマンを取材したドキュメンタリー映像作品「天空のサマン」(2023年 「サマン」はシャーマンのこと)の撮影の舞台のひとつである、黒龍江省牡丹江市郊外にある満州族の村を訪ねたルポもあります。
また梁さんの故郷の黒龍江省チチハルのことも簡単に紹介しています。ぼくが初めてチチハルを訪ねたのは1990年のことで、そのとき梁さんはまだ来日していませんでした。いまではハルビンから高速鉄道でわずか1時間半の場所です。ぜひ訪ねてもらいたい町です。
また20世紀初頭にロシア人が北満の地に敷設した東清鉄道沿線にあるロシア遺構についても詳しく紹介しています。ここ、いま中国では最も新しい観光スポットとして注目されています。
「中国旅行6つの新常識」という企画もやりました。なにしろこの数年で、中国旅行をめぐる環境は大きく変わったからです。次のような内容になります。
- 30日以内の旅行ならビザ(査証)は不要
- 渡航前に必要なスマホとアプリの準備
- モバイル決済の準備をしよう
- 地図アプリを使いこなす
- シェアサイクルに乗ろう
- DiDiを利用して行動範囲を広げよう

いま中国を旅行するとき、スマホやアプリは欠かせませんね。ぼくもコロナ前からシェアサイクルや配車アプリのDiDiをよく利用していましたが、日本国内を旅行するのとは違う、情報環境とデジタル社会の先進性を中国では感じたものです。
鉄道や国内線の予約もTrip.comを使えば簡単にできるし、昔の中国を知る人にとっては、隔世の感があることでしょう。
なにしろ情報満載で、すべてをここでお伝えできないのですが、中国東北地方を訪ねる際には欠かせない一冊といえます。なぜなら、このような東北地方の今を伝える書物は、これ以外に存在していないからです。本当の話です。
先日、梁さんとお話ししたのですが、近いうちに味坊丸の内店で「地球の歩き方 大連・瀋陽・ハルビン」出版記念の東北料理宴会をやることになると思います。その告知はあらためてやります。
そして、最後にいまはここまでしか言えないのですが、本書を購入していただいた方へのプレゼントも考えています。いわゆるキャンペーン企画です。
その話はあらためて報告させてください。そして、ぜひ「歩き方 大連編」のご購入をお願いする次第です。絶対損はさせません。
(東京ディープチャイナ研究会 中村正人)