きっかけは華流ドラマ『あったかいロマンス』(2019年制作、原題:「致我们暖暖的小时光」、DVD-box発売中)で、ヒロインが大好物だったのがこれ。
就活中の普通の文系女子が天才イケメン・リケダン(理系男子)と同居することになって……。大学生年代の留学生に日本語を教えている私にとっては、このドラマで描かれている現代の中国の大学生活とか、学生寮の様子とか、就活とか、興味津々でした。
それに加えて、みんないい子で透明感があって、堅物のリケダンを演じた林一(リン・イー)が本当にかわいくて、まさにタイトル通りの爽やかなドラマなのでした。
けれど、唯一、ヒロインがときどき食べる「螺蛳粉(ルオスーフェン)」というものがすごい臭いらしい。彼氏に「僕の部屋でタニシのビーフンは禁止!」と言われてしまうほどで、日本人にとっては「タニシ⁉ 沼とかにいる巻貝の? しかも臭いの?」とご遠慮したい感じです。
そこで、日本語学校の中国人留学生に「螺蛳粉て何?」と聞いてみたところ、教室がわーっ!と大騒ぎになって、「臭いけどおいしい」「懐かしい」「国でいつも食べてた」「大好き」と、みんな知っているし、肯定的な印象。
さらに聞くと「タニシが臭いんじゃなくて、発酵した筍のにおい」とのこと。なーんだ、メンマのにおいなら恐れるに足らず、ということで、中華食材店で袋めん的なものを買ってきました。
そしてドラマでもうひとつ、恋の行方を左右する大切なアイテムだったのがビール。中国の大学生ってお酒=ビールなのかな。せっかくなので青島ビールも用意して、いざ、「螺蛳粉」の食べ比べです。
そもそも「螺蛳粉」とは?
「螺蛳粉」の「螺蛳(ルオス)」は日本語で「タニシ」、「粉(フェン)」はビーフンのことです。ちなみに中国語の「麺(ミエン)」は日本語でいう麺類全般という意味だけではなくて、小麦粉を素材とした食べ物全般をさします。
なので中国語的に考えると、そうめんやうどんは麺(ミエン)ですが、ビーフンは米が原料なので粉(フェン)です。そして、餃子は皮が小麦粉ですから麺類と言えます。そういうわけで、今回買ってきたビーフンは、正確には麺ではないため即席袋めん的なものという表現にしました。
「螺蛳粉」は中国の南西部にある広西チワン族自治区省柳州市というところの名物で、タニシと黒豚とさまざまなスパイスに酢とラー油を加えたスープにビーフンを入れるのが基本だそうです。
買ってきたのは「広西風味 螺蛳粉」・「李子柒 柳州螺蛳粉」・「好欢螺· 螺蛳粉」の3種類
ではさっそく作ってみます。
ひとつ目は「広西風味 螺蛳粉」
袋に「広西風味」と書かれていますが、なんとこれは本場の広西省チワン族自治区ではなく、四川省産です。「泡食」という、もっとも簡単に作れるタイプで、日本のカップ焼きそばのようにお湯で戻して一度お湯を捨てます。実際に買って作ってみたい方のためにパッケージの説明を日本語で書くと
①袋を開けて中の包みを全部取り出します(この時点で、おいしい匂いに期待が高まります。スープや薬味や酢、ラー油などの小さい包みが入っています)。
②ビーフンを器に入れて、90度以上のお湯を500cc入れて蓋をして2~3分待ちます。このとき、かき混ぜてはいけません。ビーフンが自然にばらけたら、お湯を捨てます。
(ただし、これは袋めんです。これを作るのにちょうどいい蓋つきの大きなどんぶりは日本の家庭にはなかなかないかも。鍋でいいですよ。私は中国のスーパーで「泡麺(お湯を一度捨てるタイプの即席めん)」のおまけについてきた専用の容器で作りました)
③90度以上のお湯350ccとスープと具材を入れて混ぜます(酢とラー油はあとからお好みで慎重に入れてください。袋に「中辣(中辛)」と書いてありますが、ウソです! ラー油は半分でも辛いです)。
袋の写真には殻付きのタニシがゴロゴロ入っていますが、実際にはタニシの存在は確認できませんでした。普通においしいスープとビーフンに、カリカリのピーナッツと揚げ湯葉で、これはクセになりそうな味でした。臭いと言われるけれど、そうでもなくて、強いて言うなら中華食材店のおなかが空くにおいに近いかな。
次は、かの有名なビデオブロガー李子柒(リ・ズーチ)さんブランドの「李子柒 柳州螺蛳粉」
李子柒さんは四川省の山の中の伝統的な暮らしの様子を美しい映像で紹介している、世界中にたくさんのファンがいるお姉さまです。
YouTubeチャンネル [ 李子柒 Liziqi ]
https://www.youtube.com/c/cnliziqi
彼女のブランドだけあって、パッケージからして美しくて外袋を飾っておきたいくらいです。こちらは鍋で煮るタイプです。
パッケージにある作り方を日本語で書くと、
- ビーフンと水を鍋に入れて、沸騰してから8分煮たら取り出して水にさらして水を切ります。
- ラー油、酢、落花生、腐竹(揚げ湯葉)以外のすべての材料と煮えたビーフンに水400ccを入れて沸騰したら混ぜて出来上がり。落花生と腐竹をのせます。ラー油と酢はお好みで(いうまでもありませんが、優し気なパッケージにだまされず、酢とラー油は慎重に)。
どうやらお湯ではなくて、毎回水を入れて沸騰させるのがコツのようです。
これが一番人気があるそうで、本当においしいし、匂いも少なめでバランスが取れた「螺蛳粉」でした。
具がレトルトでいろいろついているので、これ一袋でほかに自分で何も用意しなくてもいいのも魅力です。ちなみにこれも、パッケージのイラストにはタニシがゴロゴロですが、スープにも具にもそのまんまのタニシはありませんでした。
最後は「好欢螺· 螺蛳粉」の「小袋有大内容」バージョン
「2015年柳州螺蛳粉大赛金奖(柳州のタニシのビーフンコンテスト金賞)」と書いてあるのか選んだ決め手です。
「小袋有大内容」とは、レギュラータイプよりも豊富な具材の包みが入っているという意味で、汁めんタイプと汁なし和えめんタイプの2種類の作り方ができると書かれています。
今回はビールにあう汁なしタイプを作りました。
- ビーフンと水を鍋に入れて、沸騰してから6分煮たら蓋をして5分蒸らしてから取り出します。
- 20ccの水とスープの素半分、具材を混ぜて、落花生と腐竹をのせます。
わあ、簡単!
今回はラー油なしで十分でした。私は日本人にしては結構辛いものが好きな方ですが、それでも、もともとのスープの辛さだけでしっかりおいしかったです。汁なしタイプは青島ビールにも合いますよ。
臭くないから大丈夫。ブームになるだけあるおいしさでした
3種類の「螺蛳粉」を作ってみて学習したことは、まずタニシはスープのエキスになっているだけで、そのままの形で入っているわけではないこと。具が種類別にレトルトの小袋になっていて、日本の即席麺よりずっとごちそう感があること。
スープそのものが辛いので、ラー油は慎重に入れること。ラー油も酢も1食分でお猪口2~3杯くらいついてきますから、全部入れてはいけません。
どれも予想以上においしかったけれど、3つ目の「好欢螺· 螺蛳粉」を汁なしで作ったのかいちばん好き。値段が一番高かったのは、具が豪華なバージョンだったからです。
これを書いていても、もう一度食べたくなるくらいクセになる味です。臭いと言われますが、今回食べてみた3種類はどれも臭いというよりおいしい匂い。チーズより臭いけれど、納豆ほどではないくらいかな。職場や学校で食べるのははばかられるけれど、お部屋が臭くなるほどではないので安心してお試しください。
今回も新都アジア高島平店でお買い物しました。
- 「広西風味 螺蛳粉」398円
- 「李子柒 柳州螺蛳粉」598円
- 「好欢螺· 螺蛳粉」660円
- 青島ビール330ml瓶 280円
店舗情報
新都アジア物産
板橋区高島平2-28-1-106
03-6915-7166
https://shimto.jp/