「食は広州に在り」と言われるように、広東料理は中華料理を代表するジャンルのひとつ。そんな豪華な料理だけでなく、香港やマカオで食べたあの現地の日常の味を日本で味わいたいという人も多いようです。
かく言う私、Amy松田もその一人。そんなメニューがふんだんにあるのが浅草橋にある「海港美食」です。
このエリアは外国人旅行者用の宿が多いためJR浅草橋駅のガード沿いは近年、さまざまなガチエスニック料理店と肉食系飲み屋がひしめくようになりました。そんなガード沿いの、浅草橋駅東口から2分のところにあるのが「海港美食」です。
入り口にたくさんのメニューの写真が出ているのですぐにわかります。とくに焼き物がおいしいと聞いてまずはランチで偵察。ここで食べたローストボークが「あ~、これこれ。こういうのが食べたかった!」という絶品で、確信をもって取材を申し込み、奥の奥まで見せていただきました。
「広式焼味」がイチオシ
ここはローストポークやローストダックなど、広東料理で焼味(シウメイ)と言われる釜焼きメニューがとくに人気があるのだそうです。
メニューの表紙にも「広式焼味」とあります。
では、実際に食べた「海港美食」の人気メニューをいくつか紹介します。
焼味は奥のキッチンの専用釜で焼いたものが提供されます。まずはランチでローストポークセットとローストダックセットを注文しました。
ローストポークは皮がパリパリ、お肉がジューシーなのはもちろん、ご飯にかかっているあのタレが絶品です。
じつは私は以前からあの広式ランチのご飯にかかっているタレを再現しようとしたり、現地で市販品を探したりしてきました。それでこの機会に作り方を聞いてみて、とても素人が作れるものではないと自作は諦めました。
このお店ではなんと、調合したタレにローストで出た汁を足しているのだそうです。お腹に薬味を詰めてローストしたダックやローストポークの汁がいい味を出しているのだそうです。
ローストダックのセットもご飯にはあのタレがかかっています。
このほか蒸し鶏やチャーシューなどのセット、炒飯、お米の麺のホーファン、麺類もあります。メニューを見ただけで、あ~、あれもこれも日本で食べられるんだ~と感激する香港マカオファンは多いはず。
オーナーシェフは広東料理の名店の料理人
全ての料理を作っているオーナーシェフの李燕武さんは広東省の珠海をはじめ中国本土で料理の腕を磨き、30年前に大阪に来日し、その後は横浜中華街の広東料理店をはじめ、いくつかの名店で働いてきたそうです。そして念願のご自分のお店を開き、今は家族でお店を経営しています。
それにしてもこの沢山のメニュー、そして手間も時間もかかる焼味や蒸し物、チマキなどをたった一人で手作りしているってどういうこと?という疑問が湧きました。20席の小さなお店で、奥の厨房も決して広くはないはずです。どうやってこんなに本格的なメニューがどんどん出せるのでしょうか。その理由は・・・。
厨房はまるでコックピットのように機能的
ここが家族経営&オーナーシェフのいいところ。厨房の奥まで快く見せていただきました。
そこはまるで飛行機のコックピットのよう。李さん一人が移動できる通路の両側にシンク、まな板、冷蔵庫、ローストの釜、蒸し器、炒め物の中華鍋、・その隙間にはローストしたお肉をかけるフック・・と広東料理を作り出す設備がびっしりと並んでいました。
そしてお話を伺っている間も李さんの手は止まらず、滑らかに動き回りながら料理を続けていきます。しかもにこやか。
ホールを担当しているお嬢さんによると「お父さんは朝からずっと仕込みをしている」とのことで、この日もランチとディナーの間の時間にインタビューさせていただいたのですが、李さんはずっとニコニコと料理をし続けていました。
麺類も本場の味が充実、海老ワンタン麺も牛バラ麺も
広式のランチで欠かせないワンタン香港麺も食べました。
海老ワンタンはプリプリと賞されることが多いですが、ここのワンタンはむしろ海老みっちりという感じで大満足。「海老にこだわって作っている」というのがわかります。麺は当然、あのごわごわの香港のものを使っています。
涼しくなったら土鍋ご飯
「煲仔飯(ボージャイ飯)」もおすすめです
土鍋ご飯は炊くのに時間がかかるのでランチタイムには事前予約してほしいそうです。
この日に食べた「中華腸詰と干し豚バラ土鍋ご飯」は特別に厨房で出来立ての蓋を開けるところを動画で撮らせてもらいました。実際はこれを混ぜて蒸らして提供されます。
最後にここで紹介できなかったものも
お店から提供していただいたメニューで紹介します
ちなみに海鮮料理の「蒸し魚」はハタの蒸し物で時価となっていますが、だいたい5,000~7,000円だそうです。
ちょうどこれを食べていたお客さんにも話を聞いたところ、「毎週来ます。ここはオーナーシェフの店だから、味が変わらなくて安心。とくにおすすめはこのハタの蒸し物とローストダック」だということです。こうして通い詰める常連さんも増えているそうですよ。
日本語、普通話、広東話のどれでも対応してもらえるのもおすすめポイントです。
(Amy松田)
店舗情報
海港美食
台東区浅草橋1-10-8 第2石渡ビル 1階
03-5829-6526
営業時間
ランチ11:00~15:00
ディナー17:00~23:00
日曜日はランチなし、水曜日定休