2024年TDC関西支部新年会! 「紫金城」の扒肘子を食べて福をかき集める

2024年1月4日は第二回TDC関西支部の新年会。中村編集長をはじめ、関西のガチ中華好きが14人も集まり、丸テーブル二つをくっつけての大宴会となった。

会場は今年も大阪今里の東北料理店「紫金城」。紫金城の新年会と言えば、昨年初めて食べた超でっかい「扒肘子(バーチョウズ)」が忘れられない。中国北方のお正月料理のひとつで、豚の前腕の醤油煮込みだ。力強く餌をかき集める豚の前腕を食べて、豚のように福もかき集めようという料理で、一度食べただけで料理の言われにも味にもはまってしまった。

紫金城
紫金城がある生野区今里はコリアタウンがあり、もともとは韓国人が多い地域だったが、現在は大阪市で最も外国人が多く住む地域になっている。紫金城のお客も最近まではベトナム人が一番多かった。
扒肘子(バーチョウズ)
これが扒肘子。食欲をそそるてかてかの茶色がいい! 別名は紅焼肘子。

昨年は「扒肘子」ともう一品のお正月料理「四喜丸子(スーシーワンズ)」以外はその場で選んだけれど、今年は店長の山本さんに料理を全ておまかせした。事前に当日の料理は教えてもらってはいたけれど、その料理がどんどんテーブルを埋めていくとなると、テンションはあがりまくり。特に「扒肘子」が登場すると歓声があがった。

お皿の上にお皿を重ねる中国の宴会スタイル
お皿の上にお皿を重ねるスタイルが中国の宴会スタイルらしい。これだけ重なると豪勢でうれしすぎ~。一番手前が四喜丸子。ふわふわ豚肉だんごの醤油煮こみ。一見、デミグラスソースに見えるほど濃厚なおしょうゆ味。

20センチ角はあろう豚の前腕はやっぱりでかい。脂身たっぷり、てかてか光って、おいしそうな肉の塊にみんなの眼が釘付け。

これを店の唯一の日本人スタッフの山本さんがフォークとナイフで分けやすいように切ってくれる。ナイフをいれるとはじけるように肉がわれ、う、うまそう~。肉好きにはたまらん。

紫金城の扒肘子は約6時間もかけて煮込んでいるので、脂身はとろっとろっ、肉もやわらか~。前腕だけあって、脂身もかなり分厚いのだが、長時間煮込んだことで脂っこさだけが抜け、全くしつこくない。だからあきることなく食べられる。

紫金城の顔、名物スタッフの山本さん。
紫金城の顔、名物スタッフの山本さん。

あまりにも扒肘子ばかり書いているので、この辺で他の料理も紹介したい。

豆苗水餃子と羊肉水餃子、剁椒魚(ドゥオジャオユイ)、羊肉串、麻辣鴨、干煸四季豆、東北拉皮、老醋蛰頭(ラオツージェトウ)、辣炒小排、鍋包肉、大豊収、西紅柿炒蛋、酸菜粉、湯圓。昨年とは違い、事前に料理が決定しているだけあって、これだけの料理がほぼ同時にそろうなんて、初体験。ほんまに壮観や~。

辣炒小排
辣炒小排。羊のスペアリブの辛い揚げ物。ピリッときいた唐辛子がビールにあう。一人で一皿食べたいぐらいうまい。紫金城の人気料理。
羊肉串
羊肉串。こちらも辣炒小排と並んでビールにあう料理。昨年よりクミン、唐辛子がきいていて、ますますビールにあう。
老醋蛰頭
老醋蛰頭。コリコリした食感のくらげの頭の黒酢あえ。さっぱりした酸味と辛味で口なおしにもぴったり。
大豊収
大豊収。東北地方一帯に広まる家庭料理。大豊収という名前通り、具材は何をいれてもいい。豚スペアリブ、じゃがいも、とうもろこし、豆が定番の具材。辛みもなく、豚スぺアリブからでる出汁と酒、塩などで野菜を煮込んだ素朴な料理。
麻辣鴨
麻辣鴨。しょうががきいた鴨の煮込み。料理名に麻辣とつくだけあって、見た目とは裏腹に激辛でみんなが驚いた料理。
鍋包肉
鍋包肉。片栗粉で衣をつけてあげた東北版酢豚。甘酸っぱい味付けが町中華の酢豚っぽくて、東北料理の中では珍しいんじゃないだろうか。
紫金城の水餃子
紫金城の水餃子はもちもち生地で美味しいので有名。この日は豆苗と羊の2種類。
剁椒魚
剁椒魚。乾燥唐辛子を酢につけて発酵させたものを使って作る湖南料理。発酵唐辛子のマイルドな辛味が白身魚によくあう。今や湖南料理店でなくても食べられる人気料理だ。
干煸四季豆
みんな大好き干煸四季豆。塩味と唐辛子がベストマッチ。どんな料理にもあう四川の野菜料理。中国の野菜料理の中では、これが一番好きだという人は多いんじゃないかな。
新しい料理がでてきたら、お決まりの写真撮影
新しい料理がでてきたら、お決まりの写真撮影。この日は料理数が多いのでみんな大忙し。
みんなが楽しみにしている山本店長の熱い料理の説明

みんなが楽しみにしている山本店長の熱い料理の説明。知識だけじゃなく、東北人と一緒に働きながら感じたことや自分の思い出話もまじえた説明がおもしろい。

この日の献立の中で酸菜粉は、当日新年会参加者からのリクエスト。酸菜粉は酸菜と豚肉、春雨を炒めた東北地方を代表する料理だ。冬は野菜が不足する東北地方では、どこの家でも白菜の漬物を作る。それが酸菜だ。東北人の家庭ごとにその家の味がある。酸菜は東北人の身体を作っているとも言える。その酸菜と豚肉、じゃいがもでんぷんで作ったぷりぷりの春雨を炒め煮したものが酸菜粉だ。                                          

酸菜粉

酸菜粉。紫金城では、市販品は使わずに酸菜は全て手作りだった。その酸菜で作る酸菜粉はどの店のものとも比べられない。決してさわやかな酸味ではなく、重たい酸っぱさが特徴。わたしは、あのおどろおどろしいまでに濃い紫金城の酸菜粉が大好きだった。

今年の酸菜粉は、さっぱりしたおいしさになっていた。

実は紫金城は、昨年の秋に経営者がかわり、厨師も変わっている。老舗ガチ中華食堂ともなると、後継者問題が出てくるのは仕方がない。新しい経営者は、黒龍江省の牡丹江出身の郭鳳芳さんだ。

ガチ中華ブームが来るなど誰もが思いもしなかった2000年代に始まった紫金城は、中国人はもちろん中国人以外の外国人にも愛された。新しい紫金城はまだ始まったばかり。郭鳳芳さんと店長の山本さんは、どんなお店を創っていくのだろう。

郭鳳芳さん
いかにも女将といった雰囲気の郭鳳芳さん。大陸にいた頃は、父親が漢方薬となる植物を栽培していたので田舎で育ったそうだ。

昨年の新年会で食べた扒肘子も忘れられない味だったけれど、新しい厨師が作ってくれた今年の扒肘子も本当に美味しかった。だから絶対、大丈夫。新しい紫金城がどんなお店になっていくのか、時々食べにいきつつ、応援したい。

2024年TDC関西支部新年会

(浜井幸子)

店舗情報

紫金城 

大阪市生野区新今里3-10-26 
06-6751-8844
11時から23時まで。

Writer
記事を書いてくれた人

浜井 幸子

プロフィール

代表のひとこと

浜井さん、そしてディープチャイナ関西支部のみなさん、新年会にお招きいただき、ありがとうございました。

今回の料理も圧巻でしたね。浜井さんも書いているように、山本光一さんの料理の出し方から始まって面白くてためになる解説を聞きながら味わう「ガチ中華」。こんなにゼイタクで楽しいことはありません。

ここ数年、年に数回大阪をお邪魔して、皆さんと食事会をしたあと、ぼくはたいていもう一泊して、大阪の「ガチ中華」出店エリアである難波から日本橋にかけて歩くことにしています。そのエリアには本当に多彩な地方料理や若者向けの新しい店などができていて、面白いです。

今回発見したのは、日本橋の友誼商店の隣に昨年11月11日にオープンしたという武漢名物「熱干麺」の店「MATATA」でした。その店は若い武漢出身のオーナー店長と同郷の若い女性がふたりで切り盛りする店でした。

店内は中国によくあるカフェチェーンのようなこぎれいな内装で、注文は当然QRコード様式でした。ゴマソース仕立ての汁なし麺の熱干麺は、絶対日本人の口にも合うと思いました。もしよかったら、みなさんも訪ねてみてください。

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