学芸大学の茶餐廳「香港冰室」は香港ファンの秘密のコミュニティです

昨今、日本でも「昭和レトロ喫茶」が人気となっていますね。ナポリタンや固めのプリン、クリームソーダなど、レトロ喫茶の王道メニューを懐かしく感じている人もいれば、真新しいと感じる人もいるでしょう。

私がよく訪れる南方、南洋アジアでも、日本同様に、レトロ喫茶的な存在の店がたくさんあります。特に香港式の「茶餐廳(チャーチャンテン)」や「冰室(ビンサッ)」と呼ばれるレトロ喫茶が、東京でも店舗を増やして人気となっています。

実際に、どんなメニューが揃っているのでしょうか。今回は、東京にある「香港冰室(香港カフェ)」にお伺いしてみました。

そもそも「香茶餐廳」、「冰室」とは?

香港好きな人ならば、旅行などの滞在時に必ず立ち寄る場所といっても過言ではないカフェレストランの「茶餐廳」。街の至る所にあり、庶民の憩いの場です。

朝から新聞を読みながら、サンドウィッチやコーヒーを楽しむおじさんの姿は昔からある光景です。食事メニューも豊富で、ここで食事を済ませる人も多く、日本では「ファミリーレストランのような存在」とも例えられています。

茶餐廳
茶餐廳

ごはん類、麺類、パン類、ドリンク、デザートと、文字だらけのメニュー表には50種類以上あるだろうラインナップを有する店も。このメニュー表を見ているだけでも圧巻なのです。

また、茶餐廳と同じく、レトロ喫茶の雰囲気を楽しめるのが広東省から伝わった「冰室」です。一般家庭に冷蔵庫がなかった時代から利用されている、日本語で「氷」の字の如く冷たい飲み物やアイスクリームを提供する店です。食文化の向上や利便性から食事メニューを増やす店もあり、茶餐廳と同様に、朝から食事を楽しむ姿が現地でもみられます。

香港式フード&ドリンクメニューに注目!「香港冰室」

香港冰室(ホンコンカフェ)

訪れたのは、東京・目黒区にある「香港冰室(ホンコンカフェ)」。東急東横線「学芸大学駅」から近く、学芸大学東口商店街の一角にあるお店です。「東京で香港の雰囲気を味わってほしい」と、香港出身のオーナー陸民傑さん、同じく香港出身で日本人とのハーフである福留総一郎さんの共同オーナーによって2021年にオープンしました。

エッグタルト

店内に入ると、壁には超級香港迷(スーパー香港ファン)でイラストレーターの小野寺光子さんのイラストや香港の風景写真などが飾ってあり、フォトスポットとしてもおすすめ。BGMには香港のラジオ番組が流れていて、軽快な広東語にまるで香港にいるかのよう。

小野寺光子さんH.P.


MITSUKO ONODERA >

メニューには、香港でおなじみのお粥や麺料理、点心などが揃っていて、デザートのエッグタルトは必ずオーダーしたい一品です。

香港の国民食といえば「出前一丁」?

「香港の人気メニューは『出前一丁』!」といったらびっくりするかもしれませんが、本当なんです。日本でおなじみのインスタント麺は海を渡って愛され続けています。メニュー表には出前一丁(といっても実際に使うのは麺のみ)とあえて記載してアピールしているほどで、普通の麺よりも価格が高いことも。もう別格の扱いです。

もちろん、同店でも出前一丁が使われています。スープや具材は店の自家製なので、単に“インスタント麺”と侮ってはいけません。

人気NO.1メニューは「沙嗲牛肉麺(サテビーフ麺)」です。

沙嗲牛肉麺(サテビーフ麺)
本日の香港麺セット「沙嗲牛肉麺(サテビーフ麺)」1280円
添えられているゴマ油をかけるとより出前一丁感になりますよ。

「沙嗲(サテ)」というのは、東南アジアのインドネシアから伝わったSatay(サテー)という串焼きに使われているピーナッツソースのことです。

同店では、ベースとなるサテソースにピーナッツバターでコクを出し、さらに台湾版のサテソースである沙茶醤(海鮮ベース)を加え、カレーパウダーで香り高く仕上げるというこだわりです。

下味をつけて仕上げた牛肉は固くならないよう丁寧に加熱されているので、柔らかく食べやすくなっています。チキンベースのスープにもサテソースの味わいが広がって、インスタント麺が一気にグレードアップしますよ。

沙嗲牛肉麺(サテビーフ麺)のセット

セットには、スクランブルエッグ、トースト、ドリンクが付きます。イギリスの植民地だったことからイギリス式朝食も香港では定番食です。

香港迷ならば、器にも注目ですね。こちらは、「砂鍋」といわれる素焼きの土鍋で、片手鍋になっているのが特徴です。この鍋を見ているだけで、現地の店先に積み重なった砂鍋を思い出す人も多いのではないでしょうか。

サテビーフはごはんメニューになることも。ほかにも肉厚の香港叉焼や手羽中の甘辛醤油煮といったアジアンテイスト満載料理が日替わりで揃っているので、ぜひチェックしてみてくださいね。

香港の朝食シーンには粥が欠かせない

皆さんは粥をいつ食べたか記憶にありますか? もしかしたら、「体調を崩した時に食べた」と、遠い記憶をさかのぼる程度かもしれません。しかし、香港では専門店があるほどに日常食です。早朝から営業している店では、朝靄に立ち上る湯気と共に一日が始まります。粥の魅力はなんといっても魚や肉などのトッピングの豊富さ。モツなどの内臓系も人気です。

同店の粥は3種類あり、中でもおすすめはピータンと豚肉の粥です。

皮蛋瘦肉粥(ピータンと豚肉のおかゆ)
粥セット「皮蛋瘦肉粥(ピータンと豚肉のおかゆ)」(1180円)
高菜漬け、点心1種、揚げパン付き。揚げパンの油条は粥に浸して食べてもおいしい。
追加トッピングもできますよ。

アヒルの卵を発酵させた中国料理でおなじみのピータンも人気の具材のひとつです。老鶏ガラで取ったスープと蒸し鶏を作る際に出たスープを合わせて粥が炊かれています。味付けは塩のみなので、鶏出汁の味わいが米粒一つひとつに浸透して、やさしい味わいです。

他にも、「椎茸と蒸し鶏のおかゆ」や「本日のお魚のおかゆ」があります。粥には白コショウが欠かせないので、香港流の食べ方でぜひ味わってみてくださいね。

これぞ香港なドリンク&デザート

香港のドリンクってなんて魅力的なんでしょう。冰室や茶餐廳のドリンクメニューは、派手なキラキラドリンク的なものはなく、日本でもよくある定番のドリンクなのです。でも、ちょっとした“香港らしさ”のポイントがあるんですよね。

たとえば、「レモン」!

これでもかとレモンスライスが入っていて目が釘付けに。紅茶にもコーラにはもちろん、レモンスライス入りのお湯やレモン入りのコーヒーもあって、現地ではガシガシとレモンをつぶして楽しみます。

港式檸檬茶(香港紅茶レモンティー・アイス)
「港式檸檬茶(香港紅茶レモンティー・アイス)」(500円)

テーブルに置かれたコップにはレモンスライスが4枚も! 日本だと普通1枚ですよね。香港では大量のレモンスタイスは当たり前。現地同様にマドラーでガシガシとレモンをつぶしていただきましょう。

続いては、デザートを!

香港での食べ歩きには、デザートもマストですよね。種類が多くて何を食べたらしいか迷ってしまいます。エッグタルトは食べ比べすると楽しいし、甘い糖水は種類が多すぎてさらに迷ってしまいそう。デザートだけでも何軒もお店巡りしたくなるほどです。

そんな色々と試したくなる人におすすめなのが、同店でお得なこちら!

人気のエッグタルト、フレンチトースト、小豆アイス、の3種が一度に食べられる嬉しいデザートです。

港式甜點套装(ホンコンスイーツセット)
「港式甜點套装(ホンコンスイーツセット)」900円

どれも昔から愛されている味ばかりです。サクサクのクッキー生地とカスタードがたまらないエッグタルト。揚げ焼きする香港独特な調理法のミニサイズフレンチトーストはピーナッツバター入り。あんことアイスの組み合わせは、冰室のテッパンです。

フレンチトーストは、トッピングにハチミツか練乳が選べて、食パンサイズの通常メニューもあります。エッグタルトはテイクアウトもできますよ。ドリンク付きのセットになっていて、紅茶とコーヒーをミックスした香港ならではの「鴛鴦茶(ユンヨンチャー)」がおすすめです。

さらに、メニューには、魚の団子の定番おやつ「カレーフィッシュボール」や人気香港デザートをパフェ仕立てにした「楊枝甘露パフェ」も。このデザート、マンゴーとパールタピオカたっぷりで、甘味と酸味が絶妙のおいしさです。こちらも、ぜひチェックしてみてくださいね。

絶対買いの豆乳ドリンク&香港のデザイン雑貨

思う存分、香港メニューを楽しんだら、ぜひ見ておきたいのが物販コーナーです。

物販コーナー

オリジナルや麦芽豆乳などの種類がある豆乳飲料「ビタソイ」は、あるとついつい買ってしまいますよね。さらに、8月からは香港人と日本人のカップルユニットである「MOMOZAZA」の香港フードをデザインしたポーチやTシャツといったグッズの販売も始まりました。私もいくつか持っているのですが、どれもテンションが上がる可愛さなのです!

店舗では、香港が恋しい人や広東語を話したい、知りたい、という人たちに向けた広東語で注文や会話ができる「広東語デー」を設定したり(日本語でももちろんOK)、香港を身近に感じてもらったりする企画やイベントも予定されています。

店内ポスター

香港好きな人はもちろん、香港のことをあまり知らない人でも、気軽に立ち寄れる居心地の良いお店ですので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

店舗情報

香港冰室(香港カフェ)

香港冰室

目黒区鷹番2-15-11 産伸ビル2F
03-6303-0646
営業時間
11:30~15:00(L.O.14:30)
18:00~22:00(L.O.21:30)
定休日 月曜日
http://hongkongcafejp.com/

*価格、内容は取材時のもの(税込み価格)。今後変更される場合もあります。

Writer
記事を書いてくれた人

伊能 すみ子

プロフィール

イベントのお知らせ

香港カフェ×ウォン・カーウァイ(WKW)映画公開記念コラボ企画
第2弾はトークイベント「WKWと香港の今をつなぐ10のこと」
9月10日(土)午後6時から学芸大学「香港カフェ」にて開催

WKWと香港の今をつなぐ10のこと

「香港冰室(香港カフェ)」が、いま公開中の王家衛(ウォン・カーウァイ 以下wkw)4kリマスター作品5本とコラボ企画を展開中。

「恋する惑星」「天使の涙」「花様年華」…。‘90年代から2000年代にかけて世界的なヒット作を次々に発表した、香港の映画監督・ウォン・カーウァイ(WKW)の作品が、本人による4Kリマスターで生まれ変わって8月19日から全国で上映されています。

ウォン・カーウァイ(WKW)


https://unpfilm.com/wkw4k/ >

この映画公開期間中、香港カフェではコラボ企画第1弾 映画半券で香港のドリンク「柑橘檸蜜(ハニーレモンドリンク)」か「雪梨茶(ピーチティ)」のどちらかお好きな1本をプレゼントプレゼント に続いて、第2弾はウォン・カーウァイ映画を当時見た人にとっても初めての人にも、今回のリマスター版を見る前にも見た後でもより深く楽しめるトークイベントを開催します。

「WKWと香港のいまをつなぐ10のこと」 は9月10日(土)午後6時から。WKWリマスター版の印象的な10のテーマを現代の香港事情と合わせて、香港カフェオーナーの陸さん・陳さん夫妻が解説します。香港カフェで夏の限定メニューとして出されている香港の夏の定番スイーツ「楊枝甘露」付きで2000円。

お申し込みは以下のフォームからどうぞ。


https://forms.gle/79DUazKUnqiEU3Th7 >

*狭い店内での開催のため、お申込み多数の場合は抽選になります。

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